森にようこそ・・・シャングリラの森

森に入って、森林浴間をしながら、下草刈りをしていると、自然と一体感が沸いてきます。うぐいすなど小鳥たちと会話が楽しいです

花ぐもり

2024-03-12 11:44:28 | 森の施設

 

     花ぐもり

 花ぐもりというのだろう。薄い雲の上にぼんやりと日が透けて見えながら、空は一面に

くもっていた。ただ空気は暖かい。もうこの間ように、つめたい北風が吹くことはないだ

ろう。

 墓参りをすませて寺の門を出たとき、左手に見える野道を歩いて帰ろうかと思った。細

い野道は、曲がりくねって丘の下を通り、その先の丘の陰に消えている。初めての道だが、

歩いて行けばいずれ町はずれに出るだろう。

 丘の斜面から一カ所。道に覆いかぶさるように花がしだれているのが見える。薄い紅い

ろをふくんだ花は、ひょっとしたら桜かと思われたが、桜が咲くにはまだ北国では早い気

もした。

 薄日のあたたかさと、遠くに見える花に誘われるように、丘沿いにのびる道に降りて行

った。雑木の斜面と、丘のすぐ下まで耕してある水田にはさまれて、ところどころ途切れ

るほどに補足なったり、また道らしくひろがったりしながらつづいている。 

 丘が内側に切れ込んで、浅井い間のようになっている場所に出た。谷間の奥には、まだ

汚れた雪がへばりついていて、そこからにじみ出た水が道を横切って田に落ちこんでいた。

ぬかるみを渡りそこねて、足を少し汚した。

 だが、人陰もなく静かな道だった。枝の先が紅くふくらんでいる雑木の奥から、小鳥の

声が漏れて来る。その声はウグイスだろうか。

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 権は早く握って早く脱す・・... | トップ | 三寒四温・・・北国にも春の足音 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

森の施設」カテゴリの最新記事