森にようこそ・・・シャングリラの森

森に入って、森林浴間をしながら、下草刈りをしていると、自然と一体感が沸いてきます。うぐいすなど小鳥たちと会話が楽しいです

権と人・・・棄物なし⑨-------水雲問答

2024-06-07 13:15:15 | 森の施設

 

    棄物なし⑨・・・水雲問答

 

雲   用にもいろいろありますが、有用の用ばかりではなく無用の用というものもあります。

   これはもっぱら老荘思想家などの喜んで論ずるところです。「荘子」という書物が「老

   子」と対になって出ておりますが、この場合は孔子の弟子に有名な曽氏(そうし)という

   人がありますので、これと紛らわしいので、老荘の場合には荘子(そうじ)という読み癖

   になっております。さて、いろいろの物事について絶えず心がけて、何事によらず工夫

   をしておりますと、どんなものでもみな棄てるものがありません。風月のような問題、

   それを題材にして詩を賦(ふ)し、酒を愛するというようなことも、往々にして世を離れ

   た閑人(ひまじん)のやることだと、いう風に考える人もありますが、工夫の仕方によっ

   てはたくさんの益を得られることが、しかもちょっとやそっとではありません。鯨を

   刺すのに余りとぎすぎた刀を使うと、すべて抜けてしまします。ところが、鈍刀、なま

   くらの刀は鯨が動くとますますはいる。従って鯨を仕留めるには利刀よりも鈍刀の方が

   よい、と聞き及びまして初めて感悟いたしました。大事をなす者はありとあらゆるもの

   を引き込み、時宜に従って取り出し活用することだと存じます。

 

水   こういう大手段がないと、すなわちケチでこせこせした方法では、大きな問題の解決

   はできません。大きな政治問題になると、型にはまった方法ではなく、自由自在の大手

   段が必要であります。牛の小便、馬の糞、破れ太鼓の皮までみな薬に活用するのが名医

   であると書かれております。

    また、たとえば、鶏の泣き声をうまくまねたり、犬の吠えるのを上手にやったりする

   ようなつまらない者でも居候においておくと、どんな役に立たないとも限りません。

   「史記」に孟嘗君(もうしょうくん)が亡命するときたいへん役に立った居候の話が書い

   てあります。孟嘗君が朝暗いうちに城を抜け出そうとしたが、門が閉まっていて通れな

   い。どうしたらよいか困ったあげく、鶏の朝鳴きの上手な居候を呼び、試しに鳴かせた

   ところ、門番はもう夜があけたと思って、目をこすりながら門を開けた。それでうまく

   逃げたという話であります。

    しかし、あらゆる者をひっぱりこんで使うには、これをちゃんと見分ける、あるいは

   使い分ける能力がないと、逆にこういう与太者のためにしてやられます。だからその見

   識が必要であります。これはよほど目のきく、腹のできた人でないとできないことであ

   ります。

 

 

 

 

  

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