森にようこそ・・・シャングリラの森

森に入って、森林浴間をしながら、下草刈りをしていると、自然と一体感が沸いてきます。うぐいすなど小鳥たちと会話が楽しいです

泰平の悪風・・・水雲問答⑨

2024-06-15 12:08:02 | 森の施設

 

     泰平の悪風・・・水雲問答⑨

 

雲     天下が泰平になりますと、人情が薄くなり風俗がみだれますが・・・。

水     お尋ねの問題、いかにも痛切であります。

雲     どうして矯正したらよいか、その方法をお伺いいたします。

水     これはたいへん難しい問題で、まずこの風をなおそうと思ったならば、綱紀を正す

      すなわち何事によらず筋道を正す。そして風俗の堕落にまかさず、その風俗を直す

      ことが第一であります。

 

     鼻まがりでも・・・水雲問答⑩

雲     鼻がまがっても呼吸さえできればよい、ということわざがありますが、この節義の

     ない悪い風俗習慣をどうして矯正したらよろしいのでしようか。

水     このような節義の風が衰え、よごれた風俗が盛んになる、悪酔いしたような有様で

     ある。というのは、下から起るのではなく、上に立つ者がそういう手本を見せるから、

     だんだんそうなるのである。節義とはしめくくり、節を通すということであります。

 

    種を残すこと・・・水雲問答⑪

雲     およそ火事がおき火勢が猛烈な時には、人は近づくことができない。一時の火事で

     さえこの様である。まして世の中がだんだん頽廃して、世も、末だというようになった

     時には、人がこれをすぐにどうしよう、こうしようと思っても、どうすることもできま

     せん。無理にやろうとすると副作用に敗れることがあります。花が、春過ぎて枯れゆく

     時には、植木屋の名人でもどうすることもできません。それよりも来春のために種を残

     すということがあります。

      治国の術も同様であって、こういう頽廃した世の中を救えるような人物・精神・道徳

     信仰というものを残すことです。そうすると必ず時がくるとそれが育つものである。

      そういうことでは間に会わぬ、という考えも成立ちましようが、それでは他に方法が

     あるかと言いますと、なかなか都合のよい方法はありません。天下の俗流・時流に動じ

     ない、毅然とした人物・精神・道義・信仰というものを大事にしますと、必ず時代と人

     心を救うことができるものであります。

水     太田道灌の詠に、「いそがずばぬれざらましを旅人のあとより晴る々野路の夕立」と

     あるように、如何にも時を心得ない勇往直進する者を戒めている如く、これもよほど

     信念と見識がないといけません。いずれにしても大変難しい問題です。 

 

 

         

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