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森にようこそ・・・シャングリラの森

森に入って、森林浴間をしながら、下草刈りをしていると、自然と一体感が沸いてきます。うぐいすなど小鳥たちと会話が楽しいです

清き心の未知なるものの為に㉔・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-04-22 10:49:36 | 森の施設

 

   清き心の未知なるものの為に㉔・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

      夜は近きにあり

 

------「わが居るところに汝らもおらん」という約束に較べれば、この世の楽しみなどに

ものであろうか。

 

 絶滅の渦巻く炎のうちにあり、

 仮借な自己減却による

 冷徹な犠牲的行為のうちにあるときなら、

 おまえは死をよろこび迎えもしよう。

 しかし、日一日と、それが

 おまえのなかでおもむろに成長するとき、

 おまえは不安にさいなまれる。-----おまえの生命の頭上に懸かることばなき判決の重さの

 もとにあるがゆえに。

  そのあいだにも、愚者の楽園では木の葉が散って行く。

 選ぶとき、自分が運ぶ対象と心かなうのを覚える。者の味わう幸福、

 磁場の磁力線のままに向く鉄片の静穏、

 自我をすべて脱ぎ去って、

 諧和(やわらぐ)のうちに憩う魂の安心------

 この幸福は、ここにいま

 宇宙的な永遠のいまの瞬間にある。

 おまえのうちにある幸福------しかし、おまえの幸福ではなく。

 

 孤独の不安にあるとき、死の不安という嵐の中心から吹きおこる風がおまえめがけて

押し寄せる。いまは他人のものであるものだけが、まことに存在するものとなる。なん

となれば、おまえが他人に与えたものだけが------ありがたく受け入れて、感謝を与えた

だけであろうと------さもなくばおまえの人生が化かしてしまうかもしれぬ虚無のなかか

ら浮かび上ってくるであろうから。 

 

 

   

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清き心の未知なるものの為に㉓・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-04-21 09:27:09 | 森の施設

 

   清き心の未知なるものの為に㉓・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

 彼は自分自身の安樂をだいじにする。

 そして、つかのまの満足を得て報いられたと思うものの、そのあと恥ずかしいさを空しさ

とが長いあいだ続いていて、心が疲れつきてしまう。

 彼は自分の地位を失うまいと闘う------

 自分の務めをりっぱにやりとげるには前提条件があれこれやと必要だ、などと言ったりす

るものの、これは自己険悪から身を守るには障害としてもろすぎるのである。

 彼は自分の任務に献身する-------

 しかし、その重要性を疑わしく思うものだから、たえずそれが重要だと人に認めてもらい

たがる。避難の矢を浴びせられないことをありがたく思うと言った心境には少しずつ近づい

ていようが、避難を受け入れるところまではまだ遠い、まだじつに遠い。

 おまえは重荷を運ばせてほしいと頼んだ-------そのくせ、主にを肩に押し付けられたとき

には嘆き声を立てるのであった。おまえが予想していたのは、それとは違う主にであったの

か。おまえは本気で犠牲の匿名性を信じていたのか。真の犠牲とは、世間の目に犠牲の反対

のように映ずることを受け入れるところの犠牲である。

 ビリポ・カイザリヤの地方よ。論難をば、傾注した努力の結実として、また努力を傾注す

べき業を識別し、また選択するまさにそのときに受け入れること。

 

 

 

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清き心と未知なるものの為に㉑・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-04-20 09:43:23 | 森の施設

 

  清き心と未知なるものの為に㉑・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

 安らかに-------凝滞(ぎょうたい)していた苦渋が溶けて、涙となって流れるときのように。

雪が融けてあらわれでた大地。やわらかな光を受けてしっとりと光かがやく、ひろびろした

水面。

 私のまわりには、雪どけの霞がふわふわした壁をなし、低く垂れこめた、葵色の空が冬の

夕陽に照らしだされている。

 水鏡の世界のなかでは、白鉛の地色に淡いオリ-ブ色をなして、はんの木の裸の枝がゆっ

たりとゆれている。-------あるかないかの波につれて、そよ風に吹かれているようにゆった

りゆれている。

 そしてそれから------

 やんわりした暗闇のなかに、ただひとつ燃えたつ炎がふくよかな光に包まれている。鏡の

なかは仄暗く深い泉をなし、そのうえにかかる白い片雲とも見粉うヒヤシンスが、ささやき

かわす森林のように並び立つ書物のあいだにちらりと見える。

 

 いまもわれわれのものではなく、おそらくいっかなわれわれのものとはならぬ、安らぎ。

 われわれが逃れてきた、だが、われわれが逃れきることのないであろう話あいの、あの声

の音色が、静寂のかなたからいつまでもひびきわたっている。静けさのなかで、思い出が遠

い昔のなかから小声で語りかけ、重荷をいっしょに担うそのときには安らぎが生まれるのだ

と約束してくれる。

 すべての人の安息ではない安息はなく、すべてが成就せられぬうちは安らぎはない。

 

 

 

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清良き心と未知なるものの為に㉑・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-04-19 10:03:37 | 森の施設

 

   清良き心と未知なるものの為に㉑・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

 なんと、遠いことのように思われるのだろう!

 夜明け前の暗がりの薄れゆく時刻である。鸚鵡どものあげる鋭い叫びが、最後まで残って

いた。薄く張り詰めた、皮膚のようにやわらかな、夜陰のしじまの膜をついに破りさる。そ

の叫びは、彼らの白い姿がすばやく飛び交うにつれて、うねりと塩と微風との織りなす布地

のなかに織り込まれてゆく。

 眠りは浅かった-------野獣の眠りのように。そして眠っているうちに、五官が新しい一日

のほうへと蝕手を伸ばしてゆくのであった。

私がすぐそばまで近づくと、彼ははじめてものうしげに翼をばたつかせて、数メ-トルだけ

横っ跳びするのである。------腐肉をくらう、栄養のよい鳥であって、われわれのあいだにて

も平気なのである。

 

 

 

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清き心と未知なるものの為に⑳・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

2025-04-18 15:53:38 | 森の施設

 

  清き心と未知なるものの為に⑳・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より

 

 鸚鵡(おうむ)はただ一羽、霧のなかに包まれて、じっとり濡れた、流れのうえにそそり立つ、

黒い石の欄干にとまっている。それは肥えており、お尻が重く、ふっくらした羽毛でまるみを

帯びた曲線を描くからだを蔽われ、しなやかな筋肉の波打つ頸を誇らしげに立てている。恥知

らずの琥珀色の眼は、むきだしの貪欲さ以外なんの表情も浮かべていない。獲物をあさるよう

にできた、黄色い、がっしりした嘴(くちばし)。だがそこには、猛禽類にみられる、あのほっ

そりした、残忍な優雅さは備わっていない。

 彼らが潮の流れにつれて浮きつ沈みっしながら、腐った食べ物の屑をまとに争っているのを、

私は見たことがある。彼らが飛び立ってぐるりと旋回し、それから、休日のあと波止場のそば

の澱みに流れこんできたコンド-ムを突っつきまわしているのを、私は見たことがある。秋の

じめじめした不愉快な日々、彼らが畑地のねっとりぬかった畔溝に入って、よたよた尻を振り

ながら歩き、ばっくり壊れている地面の裂け目------その側面は雨に濡れてぬるぬるし、またす

べすべしている------のなかから地虫をぶざまな恰好でつまみだしているのを、私氏は見たこと

がある。

 

 

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