有権者も候補者も国会議員は地域代表であるという思い込みがある。憲法には「全国民を代表する」と書いてあるにもかかわらず。
島根県の某衆議院議員は、高速道路を作ってくれという地元からの陳情団に対し山陰に高速道路など必要ないと言った。彼は次の選挙で落選した。
以上は最近の事例
以下は昔の事例
吉田茂が首相の時、彼の選挙区高知県から、道路や鉄道を作ってくれと言う陳情団がきた。吉田は「そんな仕事は内閣総理大臣たる私の仕事ではない。県会議員の仕事だ」と突っぱねた。
富山県に松村謙三というりっぱな政治家がいた。農地解放を実施した農林大臣であり、後年日中国交回復にも陰ながら貢献した。彼は地元サービスは一切しなかったが選挙では常にトップで当選した。彼が死去した当時日本は佐藤内閣であり北京政府と国交はなかったが、葬儀には高いレベルの政府特使が北京から弔問に訪れた。こうした動きも次の田中内閣での国交回復の伏線となった。
政治家の質が低下した嘆く人が多い。その通りだが、低下したのは政治家の質だけだろうか。私には政治家の質の低下は有権者の質の低下の裏面であるように見える。