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日本の新聞の見方

時事問題の視点ー今の新聞テレビの情報には満足できない人のために

産経新聞の福島香織記者退社

2009-10-21 15:14:58 | マスメディア
 産経新聞の福島香織の退社が決まった。今日の彼女のブログによる。
彼女は昨年まで同新聞の北京特派員だった人。産経新聞というメディアはまったく買っていないが彼女の取材ブログは日本の新聞記者の中国もので唯一読みごたえがあった。ということは中国政府と共産党にとっては不都合な人物。昨年彼女を首相官邸に配置転換したのは、中国側から圧力があったか、同社の自主規制かいずれかであろう。

 そもそも産経新聞というのは、昭和30年代の初め、財界が大手新聞は左翼に牛耳られていると認識し、それに対抗するために作った新聞である。そうした生い立ちは同社の論調を強く規制することになる。
 コラム「正論」の執筆者である小堀圭一郎、渡部昇一、三浦朱門、曽野綾子、藤岡信勝といった顔ぶれを見ただけで私などは辟易し食欲が減退するほどだ。但し一部のマニアックなファンがあることは知っている。米ソ冷戦が終わり日本では左翼が退潮するとともに同社の存在意義は乏しくなった。今や、気息奄々、フジテレビ等親族会社の支援でかろうじて生き延びている。

 昨年12月7日当ブログの「2009年十大ニュース予想」で「産経新聞がなくなる可能性20%」と書いたことを思い出した。

パリは燃えているか?

2009-08-17 21:54:03 | マスメディア

 今朝18日大幅に加筆したので再読していただければ幸いである。 

 このところおもしろいテレビ番組が多くて読書の時間が減った。「おもしろい番組」と言ってもタレントが出てギャーギャー騒ぐ番組は時間の無駄だから一切見ない。タレントのスキャンダルと事件の番組も見ない。
 ここ数日で特によかった番組はBSハイビジョンの「フランス絶景50選」と「イベリア半島絶景30選」。
 ヨーロッパは二度の大戦に遭ったにも関わらず古い建築物が残っていること、それが周辺の自然と渾然一体となっていること、統一ある街並みの美しさに感銘を受けた。一つは石造文化の賜であろう。日本には保存したい街並みがどれだけあるか甚だ心もとない。
 但し宮殿に付属している庭園はいずれも幾何学的なシンメトリックな構造で日本人の美意識から見ればさほどでもない。
 さっきの「フランス絶景50選」にはパリからいくつか選ばれているが、実はパリは先の大戦で二度辛くも破壊を免れた。最初は1940年ドイツの侵攻に対し無血開城することによって、次いで1944年ドイツ軍が撤退する時ヒットラーはパリを徹底的に破壊するよう命令を下したにも関わらずその命令をドイツのコルティッツ将軍がサボタージュしたおかげでパリは救われた。
 この物語は「パリは燃えているか」という小説(後に映画化)に描かれている。題名の「パリは燃えているか」は自分の命令が忠実に実行されていることを確かめるためヒットラーが「パリは燃えているか」と電話で何度も叫んだことから。
 イタリアを舞台にした映画「アマルフィ―女神の報酬」が公開されている。ストーリーや人物にはまったく興味はないが背景となっている自然や建造物を見たい。
 
 それに引き換え中国人は古い歴史を誇るが、古い建築物はほとんど残されていない。北京の故宮だって明代の宮殿は李自成の乱で焼失し清代に再建されたもので400年も経っていない。これは姫路城とほぼ同時代。日本のほうがよほど古い建造物が残っている。 
 これは異民族の侵攻、辛亥革命以後の軍閥の抗争、支那事変、国共内戦、文化大革命等によるもので日本も責任の一端がある。
 歴史教科書を見ると秦の始皇帝が万里の長城を作ったと書いてある。だが現存する万里の長城はほとんどはるか後世明代のものである。それに大切に保存されているのは八達嶺など観光客用のごく一部であり、99.9%は放置され荒れるにまかされている。

 文化大革命に関して言いたい。毛沢東は中国歴代の帝王を見下すような詞「沁園春、雪」をつくっているが、治世の実績では彼らの誰よりも見劣りする。

 そういうわけで物的文化財が残っていないことはある程度理解できる。私が初めて中国の土を踏んだ時失望したのは無形の文化的遺産も感じられなかったことである。なぜそうなったかは現代中国論の私の大きなテーマの一つである。機会があれば当ブログでも取り上げたい。 
 もっとも他国のことだけあげつらうのはフェアではない。日本だって明治維新に際し多くの天守閣が破壊されたし、廃仏毀釈という一種の歴史破壊、文化破壊があった。
 私権至上主義のため美しい街並みを維持するのは市民の社会的義務であるという観念も失われた。
 桂離宮の美だってブルーノタウトに指摘されるまで忘れていた。

 さっき無形の文化的遺産と書いて思いだしたことがある。ラフカディオヘルンのこと。ヘルンは旧制松江中学の英語教師として赴任したが、冬の寒さが耐えがたく一年余で熊本の五高に代った。それでも松江がヘルンの卸元のような顔をするのは理由がある。ここで生涯の伴侶と出会ったこと(彼女から聞いた民話を元に「怪談」を書いた)、
そして何よりも近代化によって失われつつある日本の伝統文化が松江にこそ残っているとヘルンは感じた。こうした感覚は熊本や東京では決して得られなかったものである。
 彼の帰化名「小泉八雲」に出雲への思いが表れている。「小泉」は夫人の姓であり「八雲」は出雲の枕詞である。
 余談だがここで出雲とは島根県の東半分を指し、松江市も含まれる。出雲市とは違う。


NHKへ投稿する人

2009-04-23 13:24:13 | マスメディア
 NHKラジオでリスナーからの便りをたまに聞くことがあるが「今日は孫の小学校の入学式です」とか「庭に何とかの花が咲きました」の類ばっかり。本人以外にはまったく意味がない。
 私は、これはNHKの巧妙な受信料徴収作戦だと疑っている。ラジオは受信料の必要ないがこうして投稿する人は当然テレビももっているだろうし、一度でもNHKで便りを読みあげられた人は喜々として受信料を払うことであろう。

 たまにリスナーからの政治的な意見を聞かされると、「政治家はけしからん」といった床屋政談レベルばっかり。床屋政談とは「悪いのは政治家」、「世の中正直者が馬鹿を見る」、「泣くのは庶民」の類。新聞の投書欄もこの類が多い。もっとも投書欄などこの十数年読んだことがないが。つまり、メディアで取り上げられる意見は、大概自分のことは棚に上げてみんな他人(政治家であったり、官僚であったり、経営者であったり)が悪いという話ばっかり。お客様(新聞の購読者であり受信料を払ってくれる人)は神様だから悪口を言うわけにはいかないのだろう。

NHKついでに
松平定知さんがナレーターを務めていた歴史番組「その時歴史が動いた」が終わった。
 ある人から「あなたは松平さんと同じくらい歴史にお詳しいですね」と言われたことがある。私の答え「冗談じゃない。彼は他人が書いた原稿を読んでいるだけ。自分の頭で考えたことは一つもない。いっしょにしないでほしい」。ただ原稿を読んでいるだけなのにあたかも自分の考えであるかのように話すアナウンサーのテクニックがその人にはわかっていないようだ。それにあの番組を私がまったく評価していないことは当ブログの読者にはおわかりいただけると思う。

草なぎ剛逮捕

2009-04-23 12:05:50 | マスメディア

 草なぎ剛が公然わいせつ罪で逮捕された。私はこのニュース自体にまったく興味がない。興味があるのは報道のあり方。NHKがお昼のニューストップで報道したのには驚いた。彼をCMに起用している企業や団体にとっては大問題かもしれないが、一般の人には関係のないことである。大麻吸引もそうだが、こうした被害者のない犯罪を大きく報道する今のマスメディアのあり方に疑問を感じる。そんなものは女性週刊誌にでもまかせておけばいいではないか(私は決して読まないし、本屋で手に取ることもない)。ご丁寧に一々容疑者をつけて。
 警察は飲酒度の呼気検査もやったようだが、飲酒運転でもないのに何でそんな検査が必要なのだろう。どれだけ酒を飲もうが大きなお世話ではないか。
 私はこうした事件報道のあり方には、記者クラブに代表される警察とメディアとのなれ合い関係が背景にあると思っている。つまり警察が手柄顔で発表するのを、メディアは大げさに報道することで警察の歓心を買っているのである。
 私が彼の敬称を省いたのは警察に逮捕されたからではない。彼がタレントだからである。敬称をつけるかどうか警察に左右されるものではない。

これに関連して
 CMキャラクターの起用を見ると、一業種一社というしばりはあるけれど特定の人気タレントに集中している。そのため私生活ではベンツに乗っているタレントが軽自動車のCMに出ていたり、酒を飲めないタレントがビールのCMに出ていたりする。
 これは大企業の広報担当の横並び意識によるところが大きい。もし無名の人物を起用して外れたら担当者はぼろくそに言われる。これに反し多く使われているタレントを起用して外れても責任を問われることはない。他社も使っていますというわけ。つまり無難なのである。

 


テレビ購入他

2009-04-16 18:59:34 | マスメディア

ヤフー・ショッピングでテレビを買った。テレビを買うのは何十年ぶりだろう。
22インチ液晶ハイビジョン。チューナーは地上アナログ、デジタル、BS、110度CSデジタル全部ある。接続端子もPC、電話等大体そろっている。画素数1680×1050。
 値段は送料と代引き手数料込みで38,859円。価格が安いのはメーカー品ではなく、船井電機製だから。
品質面。まだ丸一日も使っていないが不満はない。それよりあまりにも機能が多くてすべて使いこなせるのはいつになるだろうと心配だ。
  多分見るのはスポーツ(特に野球、ゴルフ)、放送大学、ドキュメンタリー、将棋など。ドラマやバライティは決して見ない。中国から持って帰った映画DVDも二三枚試してみたが問題ない。
 最近ネットショッピングを利用することが多い。価格を比較するとどうしても店頭で買うより安い。

アマゾンから以下のような通知があった。
Amazon.co.jpで、以前に「リヒター(カール)の『バッハ:ミサ曲 ロ短調』」をチェックされた方に、コルボ(ミシェル)の『バッハ:マタイ受難曲【SHM-CD仕様】』のご案内をお送りしています。『バッハ:マタイ受難曲【SHM-CD仕様】』、2009年4月22日発売予定です。
考えてみると、店頭で買うお客さんのデータを集めることはできないが、ネットショッピングでは顧客情報を相当集めることが可能である。ネットショッピングのフロンティアは無限である。

まぐまぐニュースから。
今日の一面!:目指せ年収一千万?紙芝居師募集
年収1000万円超のプロ紙芝居師として注目を集める「ヤッサン」こと安野侑志
氏の『紙芝居師養成オーディション』が、4月28日 東京・渋谷で開催されます。
主催は、マンガ家のマネジメントなどを手掛ける (株) 漫画家学会。不況下の
失業対策の一環として、1000人の紙芝居師を養成し需要先を開拓するとしてい
ます。
コメント;
私が興味をひかれたのは年収1000万ではなく、紙芝居復活の可能性である。
紙芝居では視聴者の想像力にまつところが多い。その意味では読書体験に近い。
このブログではNHK大河ドラマの悪口をしょっちゅう言っているが、あれを紙芝居でやればはるかによい番組になると思う。安手タレントのくさい演技を見る必要もなくなる(昔大河ドラマで郷ひろみが徳川家康役で出てきたのですぐチャンネルを変えた)。しかも製作費ははるかに安い。
 先日、昔あったNHKの人形劇「三国志」を推奨したが、人形劇も紙芝居に近い。
テレビが普及し始めた頃、テレビを「電気紙芝居」と言った人がいたが(大宅壮一だったかな?)これは紙芝居への冒瀆であろう。私も紙芝居の復活に少しでも貢献したいものだ。

今日イチローが張本のヒット数の記録に並んだ。
イチローは日米通算、張本は日本だけ。大リーグは日本より試合数が多いし、引き分けがないので打数が増える分だけ日本より有利である。その代り長距離の移動等日本よりはるかに過酷な条件もある。なにはともあれ大記録おめでとう。次の目標はピートローズの大リーグ記録。
 張本が先日新聞で書いていたが、プロ入りの際の契約金600万円で両親に家をプレゼントした。今なら4、5千万円というところか。
 ルールでも変わらない限り破られことのない400勝投手金田は契約金50万円で運送業を営む父親のためにトラックを買ってあげた。
野球好きの慶応の田島先生(数学)によればプロ、アマを通じて日本野球界が生んだ最高の投手は内村祐之(一高野球部、東大医学部教授、プロ野球コミッショナー、内村鑑三の息子)、沢村栄治、金田正一。金田の時代スピードガンはなかったが長嶋によれば160キロは間違いなくあったとのこと。
  
川上哲治の定理「親孝行な選手は大成する」というのは真理である。

新広島球場の評判がいい。一度行ってみたいものだ。



地震に怒ったディレクターはどこへ消えた?

2009-03-16 09:25:08 | マスメディア
 よくこのブログでテレビの悪口を書くが、昔テレビ番組制作に関わっていた人(森達也氏)のテレビ批判があったので紹介する。

 技術的進歩によって多様な編集が可能になった、リモコンの普及によって簡単にチャンネルを代えられるようになったために余白や行間が許されなくったという辺りがおもしろい。
 著者の森さんは、テレビはニュースとドキュメンタリくらいしか見ないと言っている。テレビ番組制作の内側にいた人だけに批判は鋭い。

日中インターネット環境の比較

2008-12-24 21:28:56 | マスメディア
日本に帰国してよかったことの一つはインターネット環境である。中国よりはるかに速いし、政治的なサイトの制限もない。中国では当局が特定のキーワード例えば「台湾独立」とか「チベット独立」などを設定してそれを含むサイトは自動的に遮断される。ウィキペディアでさえ見ることができない。中国でインターネットの速度が遅いのは検閲の時間を稼ぐためわざと遅くしていると聞いたことがある。但し未確認。

ブラウザーと言えばこれまでンターネットエクスプローラーしか知らなかったが、最近二つのブラウザーを試している。Google ChromeLunascapeである。まだそれぞれの得失を知るには至っていないが、少なくともこの二つがインターネットエクスプローラーより速いことは確かである。現在インターネット接続速度に不満がある方は試してみられたらよい。

産経新聞のこと

2008-12-17 08:27:37 | マスメディア

昨日産経新聞を見たら、一面にリチャードクー氏の論稿が載っていた。相変わらずバラマキを主張していた。麻生弁護論も開陳していたが説得力ゼロ。今どきこんな説を紹介するために大きなスペースを割くなんて産経の知的レベルを疑う。田母神支持キャンペーンも同様。

池田信夫氏は、リチャードクー氏の本
「よい財政赤字、悪い財政赤字」の書評の中で、彼のことを次のように書いている。因みに池田氏はこの本を「よんではいけない本」の一つに挙げている。

「米国の連銀に勤務した経歴を売り物にしているが、実際には学位もとれず、連銀もクビになって、日本に逃れてきた。野村証券の田淵元会長のスピーチ・ライターとしてバブルをあおり、親分の失脚とともに追い出された植草一秀といい、野村総研は「落第難民」の避難所なのだろうか。こんな人物が「人気アナリスト」になる日本の貧しい知的状況を知るには格好の本かもしれない。

もっとも、産経にもいい記事がある。この前まで北京特派員だった福島香織の書くものはよかった。今でも読むことができる。中国語も堪能で直接取材できるのは強みであった。日本に帰任させた(政治部総理番)のは残念。日本の風土では長い海外勤務はキャリアにマイナスになるという配慮か、それともしばしば中国政府の耳障りなことを書く彼女の身の安全を図ったものか。

話変わって将棋の話。
今日から渡辺対羽生の竜王戦最終局。もし渡辺が勝てば三連敗後の四連勝という将棋界初の快挙となる。決着は明日の夕方。日本将棋連盟のホームページから中継サイトに行くことができる。第六局羽生としては不出来な内容であったのが気になる。無茶苦茶な過密日程であるのは気の毒だが、大山の全盛期の忙しさは今の羽生の比ではなかった。羽生は将棋に専念できるが、大山はその上に連盟会長を務めていた。竜王戦は全棋士参加のトーナメント方式であるので羽生といえども挑戦権を得ること自体容易ではない。羽生もこの機会を逃すと今度はいつ挑戦できるかわからないので、ここで永世竜王の称号を得たいところ。

刑事コロンボ役のピーターフォークがアルツハイマー病という記事があった。
あのテレビドラマは最初から見ている。あのドラマが画期的であったのはそれまで刑事ものが謎解きであったのを知的ゲームにしたことである。ここでは視聴者はスポーツのゲームを楽しむようにドラマを楽しむことができる。上海にいた時DVDを探したがなぜか一度も見当たらなかった。同じくテレビドラマのアンタッチャブルもなかった。もっともエリオットネスがアルカポネを脱税で挙げたのは事実だが、それ以外はほとんどフィクションである。
ネスは野心的で山っ気の多い人物だったようだ。彼は財務省の役人でFBI入りを希望したが果たせなかった。

FBIと言えば「FBIフーバー長官の呪い(文春文庫)」は去年読んだ本でベスト5に入るおもしろさ。ジョセフ・ケネディと息子JFKのことが詳しく出てくる。ここではマリリンモンローを殺したのはJFKの弟ロバートだったと書いてある。

DVDで思い出したが、渥美清の寅さんシリーズは、日本の習俗、人情を中国に紹介するのに適していると思うが、これもなぜか見当たらなかった。



NHKオンデマンド

2008-12-02 21:54:07 | マスメディア

 昨日からNHKオンデマンドサービスが始まった。テレビをもっていない当方は興味があって価格を見たがおおむね100円~300円くらい。もともと見るとすれば、将棋と映像の世紀くらいしかないが、この金額では買う気にはならない。一番組100円以下でなければ買う気にはならない。
 絶対に見ない番組はドラマ(大河ドラマ、朝の連続ドラマ等)、紅白などの歌番組、「その時歴史は動いた」などの歴史番組。
 いったいどんな客層を想定しているのだろう。しょちゅう見る人はテレビと録画機を買うだろうし。売上をいくらと想定しているか知らないが、おそらく予想を下回るだろう。もっとも従来テレビを持ちながら受信料を払っていない層からも金をとれるというメリットはあるかもしれない。
 
NHKにはやめた方がいい番組が少なくとも三つある。
先ず、大河ドラマ
時代劇なのに派手な合戦シーンがほとんどない。それに場面転換が少ない。予算の制約があるのだろう。もう一つはミスキャスティング。有力な芸能プロダクションとのなれ合いがあるに違いない。極め付けはくさいセリフ。政治的IQが100にも満たない脚本家が、飛びぬけて政治的IQが高い歴史上のヒーローのセリフを書こうとするところに無理がある。とても45分間辛抱できない。CMもないのに何で視聴率を気にするのだろう。

次は、紅白歌合戦 
何で男女対抗なのかわからない。それに歌がわかるとはとても思えない特別審査員。そうぞうしい応援団。秒単位のせわしい進行。ジョークも全部予めシナリオに書いてある。やくざの親分とゴルフをした歌手は外されるだろうが、興行界とやくざとの結びつきは世間周知のことなのに、カマトトぶって。美空ひばりが山口組三代目にかわいがられていたのは誰でも知っている。そのためにNHKが出演を拒否したという話は聞かない。これってダブルスタンダードじゃない?

最後に、素人のど自慢
のど自慢と銘打っているが実は、オーディションをやって上手いのと下手なのと適度にバランスを取っている。上手ければ選ばれるとは限らない。下手でもおもしろそうなのは選ばれる。これは歌をダシにしたふるさと紹介番組と観念して見ればいいかもしれない。


ジャーナリズム崩壊  Ⅱ

2008-09-09 12:36:56 | マスメディア

NYTでは署名記事が原則であるため記者一人一人に重い責任が課される。他人が、書いた本人に無断で修正することはない。

NYTでは記者がハイヤーやタクシーを使うことはない。
フレンチ氏(NYTの東京支局長)は『朝日新聞の経営陣はなんでそろいもそろってあんなに若いんだのか?』と聞いてきた。どうやら黒塗りのハイヤーに乗って取材先に向かう記者のことを指していると気づいた筆者はこう説明した『あれは経営者ではなく記者だ』。フレンチ氏『そうか、それにしても朝日新聞の記者には金持ちが多いんだな』。フレンチ氏の勘違いはまだ解けていないようであったので再度説明した『あれは会社の車だ』。中略。フレンチ氏『あんなことで本当の取材ができるのか。あれでは一般市民の視線から乖離してしまうではないか。政治家や経営者と同じ視線に立ってしまっていったいどんな記事が書けるのだろう(97-98頁)』」

NYTなどアメリカのメディアでは新卒はほとんどいない。
ある記者はNASAに関係している会社から、ある記者はアフリカ専門の大学教授だった。また別の記者は銀行から引き抜かれている。みんなそれぞれ専門分野があるからこそ詳しい記事が書ける。(132頁)」

 日本の記者は社内或いは業界での評価ばかり気にする。これでは独立したジャーナリストとは言えず、サラリーマンと言ったほうがいい。
彼らにとって良質な記事を書けるかどうかはさして問題ではない。問題は社内でいかにいいポジションをキープしつづけるかどうかがすべてである(65頁)」  

 記者クラブ制度への批判は国内だけでなく、海外からもある。例えば日本外国特派員協会FCCJ
 「FCCJは長年にわたってこうした閉鎖的な記者クラブ制度の改善を求めてきた。だがいまやそうした要望を出そうとする意欲すら消えてしまったようだ。前出の匿名の人物が語る。『もう日本の記者クラブという談合集団に貴重な時間をさいているヒマはないというのが正直なところだ。ボードメンバー(理事)もそんなにヒマではないのだ。実際日本のメディアの健全化など私たちからすればまったくどうでもいいことだ。相手にして時間を無駄にしたくない。私たちには他にも取材すべきことがたくさんあるから』(104頁)」
 
 「(記者クラブ制度は非関税障壁として)欧州委員会でも改善決議がなんども採択されているという(106頁)」
 しかもこうした事実を日本の新聞が報道することは決してない。 kisya clubは今や英語にもなっているという。それほど世界でも特異な制度であるということ。

  「(安倍前首相や森首相の海外同行取材に関して)彼らにとってなにを取材するかは重要ではない。重要なのは他の記者が取材に行くかどうかということなのだ。つまり単に仲間外れにならないことだけに気を使っているに過ぎない(170‐171頁)」

 「記者クラブに所属している新聞やテレビを報道機関というのはおかしい。あのような仕事は政府の広報機関と同じ役割だ。私が取材した中で思うのは日本で報道機関と言えるのは雑誌だけだろう。彼らや一部のフリーランスだけが我々と同じジャーナリストと認められる(前記のフレンチ氏の言葉、177頁)」

筆者のコメント; 
 日本の新聞はインテリがつくり、ヤクザが売っていると揶揄される。だが日本の新聞記者はインテリとも言えない、せいぜいインテリもどきだろう。このブログの読者ならその理由はおわかりいただけるであろう。  

 組織は他からの批判だけで変わることはない。変わるのはこのままでは組織が立ち行かなくなるとの危機感が生じたときだけである。 これは悪い方に変わった例だが戦前朝日新聞が軍部に批判的であったのが、親軍に変わったのは満州事変の際、「在郷軍人会」の不買運動の脅しに屈してから。

 日本で公開されたかどうか知らないが、ニクソンのウォーターゲート事件をあつかったアメリカ映画「大統領の陰謀(主演:ダステン・ホフマンとロバート・レッドフォード)」をアメリカのジャーナリズムのあり方という視点から見直すのもいいかもしれない。主役の二人はワシントンポストの記者。  

 ちなみにNYTワシントンポストもローカル新聞であって発行部数は前者が100万部強、後者が80万部弱。いずれも読売(1000万強)、朝日(800万強)はもとより日経(300万弱)にすらはるかに及ばない。
 アメリカの全国紙はUSA Todayであるがそれでも日経の6割未満。日本の大新聞に匹敵する発行部数を誇る(?)のは世界で中国の人民日報くらいではないか。してみると発行部数と質は反比例するという定理がなりたちそうだ。少なくとも新聞の価値は発行部数ではないとは言える。こんな発行部数の多い日本の新聞に「クォリティペーパーであれ」と注文するのが無理かもしれない。

 田中角栄失脚につながった立花たかしの「田中角栄研究」、児玉隆也の「淋しき越山会の女王」はいずれも文芸春秋に掲載されたもので新聞とは無縁である。蛇足だが私は立花のその後の作品はいずれもこの処女作を超えることはできなかったと思っている。特に最近彼の書くものは全く精彩がない。


 前回と重複したりしてまとまりが悪くなったが、これは私の読書メモ程度と見てほしい。詳しくは同書をお読みいただきたい。

 この書名だが私なら皮肉を込めて「世界に冠たるキシャクラブ」とでもするところである。この著者には「官邸崩壊」という本がありかなり売れたのでゲンをかついのだろう。