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日本の新聞の見方

時事問題の視点ー今の新聞テレビの情報には満足できない人のために

田岡俊次氏の軍事論―北朝鮮への先制攻撃論に関して

2009-08-25 17:21:24 | 北朝鮮

 朝日新聞の軍事専門家である田岡氏は北朝鮮への先制攻撃論に対し、次のように主張する。
 北朝鮮のミサイルは地下に格納されしかも移動可能であるので偵察衛星から探知することはできない。だから先制攻撃によってミサイルを完全に壊滅できない。一部でも残れば日本は核ミサイルによる報復攻撃を受ける。従って先制攻撃論は無意味である。

一見もっともらしいので、なるほどと思う人もいるかもしれない。だが疑問がある。田岡論が成り立つためには、北朝鮮のミサイルの精度が極めて高く目標に正確に命中することが前提となり、もし精度が高くなく例えば誤差が±100キロあるとすれば話は変わってくる。その場合「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」というわけで残存数が問題となる。 今の北朝鮮のミサイルの精度がそれほど高いとは思えない。それに北朝鮮の工業力と経済力で多数の弾頭を備蓄できるとも思えない。

 もう一つ。偵察衛星ではミサイルのありかを探知できないというが、先制攻撃するということは戦争状態に入ることである。その時情報収集手段は偵察衛星に限る必要はない。偵察機も利用できるし、場合によっては空挺部隊を送り込みミサイルの所在を探ることもできるし、敵の通信を妨害することもできる。
 従って偵察衛星で探知できないからミサイルを全滅できない、よって先制攻撃は有害無益とする説は成り立たない。田岡氏は多少の軍事的知識はあるようだが、想像力に欠ける。
 
 私は先制攻撃すべきと主張しているわけはなく、田岡氏の論法は成り立たないと言っているのに過ぎない。それに憲法論を度外視した、純軍事的なシミュレーションである。念のため。   


拉致問題の再調査を条件に一部制裁解除

2008-07-09 09:13:55 | 北朝鮮
 北朝鮮問題は多くのメディアやブログでも取り上げられているのでこれまで一度もここで取り上げることはなかったが、できるだけ他と重複しない視点から取り上げてみる。  

 「再調査」とはなんだろう。拉致は北朝鮮政府の極めて高いレベルが決定し実行したものである。彼らは全国に監視網をめぐらし自国民すら厳重な監視下においている。まして初めからあの国によい感情を抱いていない拉致被害者である外国人の動向を把握していないはずがないではないか。
 拉致はそれぞれ目的があったはずで、彼らを一般市民として自由に生活させていたわけではあるまい。言葉の不自由な彼らにそれができるはずもない。今更厳重な監視下にあった拉致被害者の動向調査が必要とは考えられない。

 必要なことは再調査ではなく、彼らが既にもっている情報を公表することである。たとえそれが彼らにとってどんなに不都合なことであっても。  
 ブッシュはかつて北を「ならず者国家」と言った。その言やよし。ところが拉致、ドル札偽造、麻薬密売等ならず者であることが遺憾なく証明されてから後なぜか北にやさしくなっている。ご都合主義も極まれり。 
 彼はレームダックらしく辞めるまで何もしてほしくない。それにテキサスの石油業者として財を成したブッシュ家に地球温暖化対策を期待する方が無理というもの。彼くらい知性を感じさせないアメリカの大統領もめずらしい。  
 北は何かというと日本の植民地支配をいうが、彼らにとってどんなに不本意であったとしても日本の韓国併合は一応は国家間の契約に属し侵略呼ばわりは当らないし、まして明白な犯罪である拉致と同列に論ずるなど言語道断。  

 日本が日清日露戦争に負けていれば、朝鮮半島はロシアの植民地になっていた。日本だからまだしも人間として遇してもらえたのであって、ロシアの植民地になっていれば彼らはまちがいなく奴隷となっていたに違いない。
 ロマノフ朝最後の皇帝ニコライ二世はいち早く近代化に成功した日本人ですら猿と呼んでいたくらいだから。  
 台湾と韓国の急速な経済発展は日本統治下の教育、ダム鉄道などの土木等インフラ投資と無縁とは考えられない。今の北の惨状は朝鮮戦争の戦禍とその後の金王朝の悪政によるもので日本の「植民地支配」とは何の関係もない。  

 日本の植民地支配はいずれも大赤字で投資の元手を回収する前に敗戦の憂き目を見た。賠償をいうのであれば日本が投資した分及び敗戦時に放棄した企業及び個人の財産を相殺させてほしい。  

 長江デルタ、珠江デルタ等南方沿岸部の発展に比べて沈滞が際立ってきたので中国は今になって東北(旧満州)振興と言い出している。 私はよく中国人の友人達に言ったものである。「東北振興を言うのであれば私に名案がある。それはもう一度日本に満州国を作ってもらってどんどん投資させることだ。20年ほど経ったところでこれは日本の侵略だと言って取り戻せばよい」と。  

 アジアで日本だけが一応の近代化に成功し、中国、朝鮮が中々そうはならなかった。このアジア近代化における跛行(はこう)性こそ実は彼らの不幸であっただけでなく日本の不幸の始まりでもあったというのが私の基本的な史観である。  

 蛇足ながら、以前ニュースで「北朝鮮」と言った後で一々「朝鮮民主主義人民共和国」と言い添えていたのが耳障りだったが、拉致問題露見後それがなくなったのはよかった。世襲制の専制国家が「民主主義人民共和国」を名乗るのもおこがましい。