シリーズ平成の「変」-ガソリン暫定税率の再可決強行の「変」
4月23日、政府与党は、3月末で失効したガソリン税等の暫定税率を改めて10年間延長するなどを中心とする歳入関連法案を30日に衆議院で再可決す方針を決めたようだ。同時に暫定税率を延長するに当たり、「道路特定財源の一般財源化を求める決議」を採択する方向で検討されているという。同決議の文言はなお検討中と見られるが、10年間で59兆円にも達する「道路整備中期計画を5年間に見直す」ことなども含まれると伝えられている。
既に08年度予算は開始しており、また、民主党を中心とする野党との協議が、従来の考え方に固執する自・公両党と暫定税率の撤廃と一般財源化を主張する野党との間で差が縮まっていないので、仕方が無いと言えば仕方が無い。
しかし、ガソリンなどの特定物品について、本則の税率と消費税に加え、高率の「暫定的税率」を更に10年間課すということであれば、納税者、国民が納得するような特別の理由、目的が明示されるべきであろう。
他方、福田総理(自民総裁)の下で政府・与党(関係閣僚及び与党関係役員)は、4月11日、09年度より「道路特定財源」を廃止し、「必要な道路」は整備するとしつつも、「全額一般財源化」することを決定し、公表している。この決定に基づけば、今年度1年間の取り扱いは別としても、明09年度からは「一般財源化」されるにも拘わらず、ガソリン等の特定のユーザーに対して、09年度以降も引き続き高率の「暫定税率」を課す理由が明らかではない。「一般財源」であれば、基本的には一般税とすべきであり、特定の物品の利用者に高率の「暫定税率」を課すべきではないのではないか。逆に、自動車重量税などは、環境対策の一環として、燃費の良いエコカーを低率にする一方、排気量の多い自動車の重量税を燃費に従って引き上げても良いのではないか。新しいニーズが出てきており、「前例」に縛られる必要はないばかりか、情勢が変化しているのに「前例」に固執することは弊害ともなる。
「変」である。暫定税率を課すとしても1年間に限定すべきではないか。また税率自体も、最近の物価高対策、消費の下支え対策として、これまでの暫定税率(約25円)の約半分を納税者に還元するなどの工夫が欲しい。また、まず予算の浪費や無駄を無くすべきであろう。その決意は見えてこない。財源、財源というが、国民の側も福祉負担増や年金の将来不安、物価高などで決して楽ではなく、ここでまた生活防衛により消費を冷え込ませては消費税その他の税収を収縮させる恐れがある。多くの知事等や市町村長が財源確保と言うが、そのために地方住民に負担を強いた上、その財源は道路分野にしか使えない財源であることを認識すべきであろう。
更に、09年度より「道路特定財源」を「全額一般財源化」することを決定しておきながら、従来通り10年間、59兆円の道路整備を前提とした道路整備特別措置法案を再採択する理由はまったく見当たらない。
「変」である。それを強行採決するということは、政府・与党に「一般財源化」しても道路整備計画を抜本的に見直す意思がないことを示すものであり、形だけ「一般財源化」し、中味はほとんど道路が占めるということにもなり兼ねない。単なるその場しのぎの問題の実質的な先送りでしかなくなるのではないか。
「変」! である。(08.04.) (Copy Right Reserved)
4月23日、政府与党は、3月末で失効したガソリン税等の暫定税率を改めて10年間延長するなどを中心とする歳入関連法案を30日に衆議院で再可決す方針を決めたようだ。同時に暫定税率を延長するに当たり、「道路特定財源の一般財源化を求める決議」を採択する方向で検討されているという。同決議の文言はなお検討中と見られるが、10年間で59兆円にも達する「道路整備中期計画を5年間に見直す」ことなども含まれると伝えられている。
既に08年度予算は開始しており、また、民主党を中心とする野党との協議が、従来の考え方に固執する自・公両党と暫定税率の撤廃と一般財源化を主張する野党との間で差が縮まっていないので、仕方が無いと言えば仕方が無い。
しかし、ガソリンなどの特定物品について、本則の税率と消費税に加え、高率の「暫定的税率」を更に10年間課すということであれば、納税者、国民が納得するような特別の理由、目的が明示されるべきであろう。
他方、福田総理(自民総裁)の下で政府・与党(関係閣僚及び与党関係役員)は、4月11日、09年度より「道路特定財源」を廃止し、「必要な道路」は整備するとしつつも、「全額一般財源化」することを決定し、公表している。この決定に基づけば、今年度1年間の取り扱いは別としても、明09年度からは「一般財源化」されるにも拘わらず、ガソリン等の特定のユーザーに対して、09年度以降も引き続き高率の「暫定税率」を課す理由が明らかではない。「一般財源」であれば、基本的には一般税とすべきであり、特定の物品の利用者に高率の「暫定税率」を課すべきではないのではないか。逆に、自動車重量税などは、環境対策の一環として、燃費の良いエコカーを低率にする一方、排気量の多い自動車の重量税を燃費に従って引き上げても良いのではないか。新しいニーズが出てきており、「前例」に縛られる必要はないばかりか、情勢が変化しているのに「前例」に固執することは弊害ともなる。
「変」である。暫定税率を課すとしても1年間に限定すべきではないか。また税率自体も、最近の物価高対策、消費の下支え対策として、これまでの暫定税率(約25円)の約半分を納税者に還元するなどの工夫が欲しい。また、まず予算の浪費や無駄を無くすべきであろう。その決意は見えてこない。財源、財源というが、国民の側も福祉負担増や年金の将来不安、物価高などで決して楽ではなく、ここでまた生活防衛により消費を冷え込ませては消費税その他の税収を収縮させる恐れがある。多くの知事等や市町村長が財源確保と言うが、そのために地方住民に負担を強いた上、その財源は道路分野にしか使えない財源であることを認識すべきであろう。
更に、09年度より「道路特定財源」を「全額一般財源化」することを決定しておきながら、従来通り10年間、59兆円の道路整備を前提とした道路整備特別措置法案を再採択する理由はまったく見当たらない。
「変」である。それを強行採決するということは、政府・与党に「一般財源化」しても道路整備計画を抜本的に見直す意思がないことを示すものであり、形だけ「一般財源化」し、中味はほとんど道路が占めるということにもなり兼ねない。単なるその場しのぎの問題の実質的な先送りでしかなくなるのではないか。
「変」! である。(08.04.) (Copy Right Reserved)