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シリーズ平成の本音―自民党憲法改正草案、これでは国はまとまらない! (その3)

2013-05-16 | Weblog
シリーズ平成の本音―自民党憲法改正草案、これでは国はまとまらない! (その3)
 自民党は、憲法改正草案を公表し、7月に予定されている参議院議員選挙において憲法改正を公約として訴えるとしている。
 自・公政権は、61年前の4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効し(1952年)、主権が回復されたことを記念して、天皇皇后両陛下ご出席の下で記念式典を開催した。議事次第には載せていなかったが、閉会に際し“天皇陛下、万歳”を唱えた。これは、1947年5月3日に施行された憲法は、主権が奪われていた占領下で成立したもので、自分たちの意志ではなかったと言っているに他ならない。今回公表された同党憲法改正草案は、時計を戦前の帝国憲法に戻すような復古調が強く、保守政権の改正案とはなっても、これではとてもとても国論を纏められそうにない。
 現行憲法は、成立の経緯は別として、戦争の惨禍を経験した熟年層はもとより、戦後教育を受けた若年層から中堅層まで広く定着して来ているが、ここでは特に、現行憲法から乖離が著しい下記の3点について論点を提供したい。自民党憲法草案は、民主党政権時代の野党であった頃に、全自民党議員の参加の下で3年半を掛けて纏めたと言われており、国家のあり方や、基本的な国民の権利義務、統治機構などについて同党の本質、本音を文字化したものと言えるので、国民が慎重に判断し、選択することが必要のようだ。
 1、天皇の元首としての明文化は世襲元首の恒久化          (その1で掲載)
 2、9条改正で自衛権と共に、軍の治安出動、国民の生命・自由の制限が可能に (その2で掲載)
 3、国民の自由、権利を制限する“公益”、“公の秩序”とは何か?        
現行憲法では、国民は”個人”として尊重され、諸権利はこれを濫用してはならず、”公共の福利に利用する責任を負う”とされている。
同党の改正草案では、国民は“人”として尊重され、自由と権利は乱用してはならず、“常に公益及び公の秩序に反してはならない”と規定(12条)されている。さらっと読むと問題なさそうであるが、実は問題が多い。
まず国民は“人”として尊重されとあるが、これまで国民は“人”として尊重されていなかったのであろうか。その上、“個人”としての尊重が削除され、個人主義が消えることになる。そして自由と諸権利は、“公益及び公の秩序”に反してはならないとして規制さる(12条)。更に、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は、”公益及び公の秩序に反しない限り”、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されると規定され(13条)、”公益及び公の秩序”が優先する形となっている。個人の自由や権利に対する国家権力の制限が加え易くなる上、”公益及び公の秩序”については非常に広い概念であり、恣意的な解釈が可能となり、法令でいかようにでも規制が出来る。
このように、同党の憲法改正草案は、“個人主義”を否定し、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を”公益及び公の秩序”により制限するものであるが、現行憲法でも身勝手な行き過ぎた個人主義については、公共の福祉に沿うよう戒められている。それを更に強化することは、個人主義から全体主義へ近づけることを意味し、国民としては慎重な判断が求められる。
4、憲法改正判断前に不可欠な1票の格差の解消            (その4に掲載)
(2013.5.12.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)

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