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シリーズ平成の本音―自民党憲法改正草案、これでは国はまとまらない! (その2)

2013-05-18 | Weblog
シリーズ平成の本音―自民党憲法改正草案、これでは国はまとまらない! (その2)
 自民党は、憲法改正草案を公表し、7月に予定されている参議院議員選挙において憲法改正を公約として訴えるとしている。
 自・公政権は、61年前の4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効し(1952年)、主権が回復されたことを記念して、天皇皇后両陛下ご出席の下で記念式典を開催した。議事次第には載せていなかったが、閉会に際し“天皇陛下、万歳”を唱えた。これは、1947年5月3日に施行された憲法は、主権が奪われていた占領下で成立したもので、自分たちの意志ではなかったと言っているに他ならない。今回公表された同党憲法改正草案は、時計を戦前の帝国憲法に戻すような復古調が強く、保守政権の改正案とはなっても、これではとてもとても国論を纏められそうにない。
 現行憲法は、成立の経緯は別として、戦争の惨禍を経験した熟年層はもとより、戦後教育を受けた若年層から中堅層まで広く定着して来ているが、ここでは特に、現行憲法から乖離が著しい下記の3点について論点を提供したい。自民党憲法草案は、民主党政権時代の野党であった頃に、全自民党議員の参加の下で3年半を掛けて纏めたと言われており、国家のあり方や、基本的な国民の権利義務、統治機構などについて同党の本質、本音を文字化したものと言えるので、国民が慎重に判断し、選択することが必要のようだ。
 1、天皇の元首としての明文化は世襲元首の恒久化 (その1で掲載)
 2、9条改正で自衛権と共に、軍の治安出動、国民の生命・自由の制限が可能に
 “国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない”ことを9条第1項で明記し、武力侵略や積極的、攻撃的な武力の行使等を行わないことを維持していることは評価出来る。
その上で、“自衛権の発動を妨げない”とし、“国防軍”を保持するとしており(同条の二)、名称は別として、自衛権の明確化と、自衛力の保持を明確にしていることも、現実の自衛隊の実体を明確にするものであるので、理解出来る。
 しかし、“総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃や地震等による大規模な自然災害”の他、”内乱等による社会秩序の混乱その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発する”としている。政府や国の体制に反対する国民が大規模なデモや集会などをの抗議活動を行った場合、緊急事態を発し、国防軍が治安出動などを行えるようになっており、自民党や防衛省は否定するであろうが、極限状態においては、軍がこうした国民に銃を向けることも可能となる。例えば、元首である天皇制に反対し、大統領制や首相公選制を要求し大規模且つ激しいデモ、集会等が行われるようなことがあると、憲法違反行為、国益を損なうなどとして軍を出動させて鎮圧することも可能となる。
 このような重要な規定を国会の過半数で通してしまえば、保守政権は安泰であろうが、民主主義を否定する恐れがある。
更に、”主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない”(9条の3)とし、また、”生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り”、最大限に尊重(13条)としていることから、徴兵制の導入や、公益や公の秩序に反した場合には、国民の生命、自由及び幸福追求の権利を制限することも可能になる。 
全体として、天皇を元首とし、国防軍を有し、防衛と共に国内の治安出動を可能にし、国民の生命、自由及び幸福追求の権利を制限することも可能にするなど、実体的に旧帝国憲法の下での専制国家を意図した憲法草案となっている。
 なお改正草案では、”国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合”のため、”国防軍に審判所を置く”としている。制服組及び背広組双方に、通常の裁判制度の外に軍事裁判所が置かれることになるが、これも軍が独自の審判所を持ち、内局の公務員も対象とし、睨みを利かすことにより、シビリアン・コントロールにも暗黙の影響を与えることとなろう。
 3、国民の自由、権利を制限する“公益”、“公の秩序”とは何か?         (その3に掲載)
4、憲法改正判断前に不可欠な1票の格差の解消           (その4に掲載)
(2013.5.12.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)

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