亢進症な生活

甲状腺機能亢進症(バセドウ病あらため甲状腺ホルモン不応症)と膠原病(SLE&シェーグレン)を併発した働き者。のんびりと♪

ハイドロキシクロロキン(プラケニル)のリスクは、どんなことがあるの?

2009-07-06 | ヒドロキシクロロキン(プラケニル)
ハイドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)がなぜ承認されないのだろう、という資料をいろいろ読んでいたのですが、うまく根拠があまり見つからないので、ハイドロキシクロロキンと同じ系統のマラリア治療薬で、少し副作用の頻度が高いと言われるクロロキンを調べてみたら…、認可が取り消された時期のことが書かれているサイトがいくつかありました。

クロロキン網膜症は、1959年から1975年にかけて発生しています。
網膜症というのは、眼底の血管(網膜血管)で細くなるなどの問題がおきて、視力が低下したり、ひどくなると失明もしてしまったりするもの。(糖尿病がひどくなると、失明することもある…と言われるのも、網膜症ですね。)

クロロキンは日本では1955年に抗マラリア薬として販売を開始、その後、慢性腎炎、妊娠腎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、癇癪などについて、承認されました。
ただ、その後、網膜症の報告があいつぎました。1964-1965年には、リウマチ学会でクロロキン網膜症の集中討議されていたようです。1969年、クロロキン網膜症を添付文書に記載の指示が出たそうです。
当時は、治療法がなく、薬の服用を中止しても、網膜症はしばらく進行したようです。この治療で失明した方は、推定で1000人ほどいらっしゃるのではないかと言われていて、心が痛みます。

ただ、今でも、アメリカやイギリスでは、SLEの初期のお薬としては、「副作用が少ないから」といって、ハイドロキシクロロキン(プラケニル)を使用することが多いそうです。日本でも、最近、リウマチや間質性肺炎で、「使ったよ」という人もいるようです。
クロロキンも現役みたいです。リウマチやSLE以外でも、がん治療に使われることもあるようです。USの代表的ながんセンターである、M.D.アンダーソンがんセンターの研究グループによると、休眠状態のがん細胞に対して、癌細胞の再成長が阻害する効果があったという報告があるようです。

副作用について、どう考えているのかということを調べているのですが、問題だ!と取り上げているのは、60年代の資料ばかりがヒットします。
アメリカ、イギリスの現場では、網膜症が起きているのは、大量投与で、最低2年に1度の定期検査も受けていない場合に起きているとされているようです。今は、網膜症については、レーザー治療で、眼底の出血やむくみを止める治療をする方法などが出てきて、60年代とは状況は違ってきているようです。

今のエビデンスでは、1日の服用量の上限を守り、5年を越える長期使用になった場合は、よく観察しておけば、問題ない としている資料が多そうです。
眼底検査は、ちょっといやですが、SLEの場合は、どっちにせよ、眼科の検診はありますし、眼底検査は、切らずに血管の検査ができる貴重な検査ですしね。

なんだか甲状腺のプロパジールの使用が2年を越えた場合は、Ancaを検査するというのと似ている気もします。Anca関連血管炎だって、機序がよくわかっていないし、けっこう命にかかわるような腎不全が起きるし、治療もステロイドパルスになるし…と生易しくないようにも思いますが、だからと言って、承認が取り消されるわけではありませんからね。むしろ、バセドウ病の治療薬がメルカゾールだけになる方が、「薬疹がでたら、あとはステロイドか手術」みたいなことになりかねませんから、リスクが高い気がします。

リウマチの場合と比べて、SLEに対してこのお薬を使う場合は、お薬の量も少ないから、やっぱり、使う先生がリスクをよく知って、経過観察をしながらなら、導入の可能性があるんじゃないかなぁと思うのです。

ああ、先生にいろいろ聞きたいときに限って、次の外来が遠いのが残念(笑)

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2 Comments

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ハイドロクロロキン (momo)
2009-07-06 23:45:55
先生から頂いた妊娠中に使って良い薬リストにこの薬が入っていましたよ。
確かSLEの皮膚症状に効くと書いてあったような?
SLEの患者さんに使う薬のリストでこの薬は私の病気には使わないので詳しくは調べていませんが。。
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妊娠中も使用することがあるようでした! (ぷろぱ)
2009-07-07 22:06:07
momoさん、こんばんは。

そうなんですね。情報をありがとうございます!
この薬は、全身性エリテマトーデス(SLE)でも、皮膚に症状が出る円板状ループす(DLE)でも効果があるようです。

妊娠中は使わないことを推奨しているというドクターの説から、「使わない」と書いたのですが、

>先生から頂いた妊娠中に使って良い薬リストにこの薬が入っていましたよ。
ということで、調べて見ると、米国食品医薬品局(FDA)の定義では、カテゴリーCで、「リスクについて否定できないもの」でした。(ほとんどの薬剤がここに分類されています。)

報告を検索している限りでは、人の胎児で問題が起きた例はないけれど、臨床数は多くなくて、動物では関連が証明されていないけれど、問題ないとはいいにくい例がある、ということのようです。
妊娠を予定している場合は、主治医に服用に関するリスクとメリットを検討してもらって決めるのがいいだろうというところのようです。
http://antibiotics.emedtv.com/plaquenil/plaquenil-and-pregnancy.html
http://okusuri.jp/knowledge/01/003.html

勉強になりました!
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