経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2023-06-19 07:54:11 | 株価
◇ バブルの様相を深める東京市場 = ダウ平均は先週422ドルの値上がり。3週間の連騰で、終り値は3万4300ドルへ。週央14日にはFRBが利上げの見送りを発表したが、株価は230ドルほど下落した。パウエル議長が年内2回の追加利上げを示唆したことに驚いたためである。しかし株価は、すぐに上昇軌道に戻ったようだ。このことは量的金融引き締めの効果がまだ小さく、カネ余りが続いていることを示している。

日経平均は先週1441円の大幅な値上がり。こちらは10週間の連騰で、この間の上げ幅は6188円に達した。10週間の連騰は過去4番目の記録。終り値も3万3700円を超し、33年ぶりの高値となった。堅調な企業業績、自社株買い、それに円安の進行が、主たる買い材料となっている。相変わらず海外投資家の勢いが強く、6月第1週までの11週間で計5兆8000億円を買い越した。

ニューヨーク市場は、7月の利上げはほぼ織り込み済み。9月は経済指標次第でまだ不明という見方。だから弱気にはなっていない。一方、東京市場はさすがに急ピッチの上昇には警戒感も。このところ先物の売り残が急増しており、個人が逆張りを始めた様子がうかがえる。全体として、バブルの匂いが強まっていることは確かなようだ。

今週は23日に、5月の消費者物価。アメリカでは19日に、6月のNAHB住宅市場指数。20日に、5月の住宅着工戸数。22日に、5月の中古住宅販売。23日に、製造業のPMIが発表される。

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

スタグフレーション突入 /  ユーロ圏

2023-06-17 07:25:32 | 世界経済
◇ ドイツの落ち込みが目立つ = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は15日の理事会で、政策金利の0.25%引き上げを決定した。昨年7月からの引き締め政策で8回連続の利上げ、政策金利は4.0%になった。消費者物価は5月に前年比6.1%にまで上昇幅を縮小したが、まだインフレ圧力は強いと判断。ラガルド総裁は、今後も利上げを継続する姿勢を明らかにしている。

EU統計局は先週、ユーロ圏20か国の1-3月期GDP改定値を発表した。それによると年率換算の実質成長率はマイナス0.4%で、速報値のプラス0.1%から大きく下方修正された。その結果、ユーロ圏のGDPは昨年10-12月期に続いて2四半期連続のマイナス成長に。いわゆる理論上の景気後退に突入した。22年の成長率プラス3.5%に比べると、その落ち込み方がよく判る。

つまり現状は、インフレと不況が共存するスタグフレーション入り。政策的にインフレを抑制しようとすれば、景気が悪化。景気を刺激すると、物価が上昇してしまう。きわめて厄介な状態に陥った。それでもECBが利上げを続けたのは、まずインフレを退治しようという姿勢の表れだ、アメリカのFRBが利上げを見送った直後だけに、ECBの選択が目立つ。

ユーロ圏内でも、経済大国ドイツの悪化ぶりが著しい。1-3月期のGDPは、年率でマイナス1.2%。フランス・イタリア・スペインなどがプラス成長を維持したのに、主要国のなかではドイツだけが沈み込んだ。ロシアの天然ガスに依存し過ぎていたことが大きい。国民の間にインフレ・マインドが浸透してしまい、企業や商店による便乗値上がガ目立つという。シュルツ内閣は30兆円の財政支出をしたが、プラス成長を維持できなかった。

        ≪16日の日経平均 = 上げ +220.59円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】  

苦渋の 金融政策 : FRB

2023-06-16 08:16:39 | アメリカ
◇ 利上げは見送り、重石を2つ置いた = FRBは13-14日に開いたFOMC(公開市場委員会)で、政策金利の引き上げを見送ることを決めた。昨年3月に金融政策を引き締めに転じてから、10回の会合すべてで利上げを決定してきたが、今回はじめて金利を5.25%に据え置いた。ところが今後の見通しとしては、年内に0.5%の引き上げもありうると示唆。このため発表を受けて、ダウ平均は230ドルほど下落した。

FRBが利上げ見送りを決めた最大の要因は、直前に発表された5月の消費者物価だったろう。前年比で4.0%上昇にまで落ち着き、昨年1月の記録9.1%上昇の半分以下に鈍化した。たとえば雇用統計では非農業雇用者が予想以上に増加する一方、失業率は上昇。景気の強さを測り切れなかった。だが物価がここまで落ち着けば、引き締めを強化する必要はない。しかし利上げを見送ると、株価は急騰するかもしれない。FRBとしては、株価バブルも好ましくない。

そこで考え出したのが「年内0.5%の利上げもありうる」という重石である。現状では1回0.5%の利上げはありえないから、0.25%の利上げが2回。FOMCは8月がお休みだから、7月と9月ということになる。こうして重石は2つになり、年内の利下げ期待にも水をかけた。なかなか巧妙な作戦であり、市場もびっくりしたことは確か。

だが量的引き締め政策がまだ不十分で、カネ余り状態は解消していない。したがって市場はすぐに元気を取り戻すに違いない。その証拠に14日のニューヨーク市場でナスダックは下落せず、15日の東京市場でも株価はほとんど下落していない。株価バブルは、物価上昇を促進する原因になりかねない。FRBと市場との駆け引きはまだ続く。

        ≪15日の日経平均 = 下げ -16.93円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

3つの??? : 岸田首相の会見

2023-06-15 07:52:33 | 人口
◇ 解散、財源、成長戦略 = 政府は13日の持ち回り閣議で「こども未来戦略方針」を決定。これに伴い岸田首相は同日夜、官邸で記者会見を行なった。この会見を聞いていて、ぽっかり浮かんだ疑問点が3つ。その1つは質問に答える形で述べた、衆議院の解散に関する考え方。これまでは「頭の中にない」の一点張りだったのが、「諸般の情勢を総合して判断して行く」に変化した。岸田首相は明かに解散を考えているが、それが6月中なのか7月以降なのか。これは単純な「?」である。

2つ目は、年間3兆5000億円を要する少子化対策の財源。選挙を考えて、財源探しは年末までお預け。だが会見で、岸田首相は「国民に追加負担が生じないよう歳出改革を徹底する」と言明した。さて、本当にそんなことが出来るのだろうか。早くも霞が関では「財務省が3兆円ほどの隠し財源を持っているようだ」といった憶測も流れ始めた。もしそうなら、いまから表に出しておいた方が、選挙も戦いやすいのでは。これは微妙な「?」である。

3つ目は、成長戦略とは何かという問題。岸田首相は少子化対策を実現するうえでの最大のポイントは「経済成長実現と少子化対策を車の両輪とした大きなパッケージを実行することだ」と力説した。だが、この言い方は論理的にきわめて不鮮明。‟車の両輪”という言葉の使い方がおかしいからだ。それでも若者が将来に希望を持てるよう、持続的な経済の成長が必要だという意味に解釈しておこう。

首相も具体的に「持続的で構造的な賃上げ」「民間投資増加の流れを加速化」などを挙げている。しかし、そのための政策については言及なし。政府があす16日に決定する予定の‟骨太の方針”をみても、明確な成長戦略は見当たらない。適齢期の若者だけではなく、多くの国民が期待をかける持続的な経済成長。それをどうやって実現するかの方策が示されないまま、解散・総選挙となりそうな雲行きだ。これは落胆の「?」である。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +483.77円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

物足りない 企業景気調査

2023-06-14 07:55:20 | 景気
◇ いちばん知りたい点に触れず = 内閣府・財務省は13日、共同で実施した4-6月期の法人企業景気予測調査を発表した。それによると、自社の景況判断指数は大企業が2.7ポイント、中堅企業が1.9ポイントのプラス。中小企業は0.8ポイントのマイナスだった。業種別では食品製造業・化学・サービス業・運輸郵便業の景況感が大きく上昇している。

景況判断指数は「前期より上昇」と回答した企業の割合から「下降」と回答した企業の割合を差し引いた数字。全国1万1000を超える企業が回答した。調査では「景気の先行き見通し」も聞いているが、結果はきわめて強気。全産業ベースで7-9月期はプラス12.0ポイント、10-12月期はプラス8.6ポイントとなっている。

「自社の業績見通し」についても聞いた。景気の先行き見通しが明るいため、売り上げは順調に伸びると予想。全産業ベースで23年度の売上高は2.7ポイントのプラス。製造業は3.5ポイント、非製造業は2.4ポイントのプラスだった。ところが「経常利益の見通し」は製造業が9.9ポイントのマイナス、非製造業も2.4ポイントのマイナス。全産業では4.4ポイントのマイナスという結果になった。

景気の見通しがよく、自社の売り上げも伸びる。それなのに、どうして利益は鈍化する予想なのか。考えられることは、光熱費や燃料代、原材料費や人件費が上昇して利潤が減少してしまう。あるいは、ほかにも利益を抑制する原因があるのか。いちばん知りたい点だが、この調査では聞いていない。

        ≪13日の日経平均 = 上げ +584.65円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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