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ブルターニュ紀行 47 < プロエルメル > 不思議な雰囲気の教会 と 近代時計技術の粋を極めた天文時計

2021-05-21 00:09:38 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 :  旧市街に残る城壁

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を巡ろう
47


前回の「ケルゲネエック城」から東へ30km
『Ploërmel プロエルメル』という町へ行ってみよう

町には
町を囲んで防御していた中世の城壁の一部が
残っている

城壁の角度の変わる角の塔は防御の拠点となる




この塔は完全に民家の一部になっているようだ




城壁の上部を利用して建てられた民家もある

城壁自体も窓があったり
壁の一部に
その壁を利用して民家に作り変えられていたり


城壁の上の水平狭間(石落とし)の部分も
そのまま民家の一部になってしまっている

そして
やはり町の中心は教会

『Eglise saint-Armel 聖アルメル教会』

西側正面の扉口を持つ鐘楼の
圧倒的存在感




扉口上のアーチ装飾


南側側面

 内部を見てみよう


身廊から内陣を望む内陣に至るあたりで幅が狭くなり
左側面だけ内側にカーブしている

身廊から正面扉口を振り返る



内陣と主祭壇

南側側廊


正面扉口を入ったところにあるパイプオルガンの下部に
木張りで天井をふいてある






斜めにかかる屋根と天井の圧に壁が堪えるように
梁を渡す
今まで散々見てきたブルターニュのやり方

左側面の壁の曲がる部分は
現在の教会を建てる以前の古い教会の残った構造をそのまま使っているから


翼廊部の天井の圧を壁に流す部分から
力を流すための細長い控えが降りてくる


その控え部分の先端にも怪獣の顔の装飾が施されている





そして


側面の壁の部分を占める「聖アルメル礼拝室」は
現在聖具室となっており
その上部に二階席を設えた

洗礼水盤

北側扉口
主な出入り口は西側正面鐘楼下ではなく
北側の側面


北側入り口は
ステンドグラスとびっしりと施されたレリーフのオーナメントが
素晴らしい














雨水を吐き出す口を持つ怪獣自体が
別の怪獣の口に半分飲み込まれかかっている形










ここ「プロエルメル」にも「カルメル会」の修道院があった


廃墟化している正面の部分はこれから修復工事を待つ
屋根の中の最上階は失われ
屋根窓だけ痛まないようにシートで包まれている


修道院聖堂は完全に修復され過ぎて
まっさらに見えなくもない程整ってしまった




実はこの町には特筆に値する
ユニークな文化財がある

『Maison de la Congrégation des Frères de Ploërmel プロエルメル兄弟修道士会館』

それは
この建物の中庭にあるガラス張りの亭の中にある
『Horloge Astronomique de Frère de Bernardin ベルナルダンの神父の天文時計』

作られたのは1850年から55年の間
作ったのはブルナルダン共同体のガブリエル・モラン修道士
この神父は
修道会が運営する学校の数学と天文学と航行技術の教授だったが
時計技師ではない



夜間航行技術のために天体の動きを研究するにつれ
それを視覚的に理解出来る「天文時計」を作りたくなり
授業が終わった夕方から学生たちをの協力のもと
全体研究のような形で作り上げた



裏側から見た天文時計
輪っかが7つ積み重なっているのは「遊星(動く星)」の位置を動かす仕組み
「太陽」
「水星」「金星」
「地球」「月」
「火星」「土星」
「土星の4衛星」「天王星」「海王星」
この時計を作る数年前に発見された「冥王星」は正確な軌道計算がなされておらず
この時計には現れない

その向こうの緑色の盾型は
反対側に付けられている文字盤の針や仕掛けを動かす仕組み




歯車が「円形」ではない事が凄い
この裏側がいわゆる文字盤となる

文字盤

文字盤は10個あり

①『時刻』「プロエルメルの町の経度の平均時刻」



②『カレンダー』「日付」「年の何週目」「月の四半期」



③『月の位相』「28日58時間刻み」「月星座」「四季」



④『太陽時間』「赤道上の平均時間」「日の出時刻」「日没時刻」「太陽歴と陰暦の誤差」



⑤『北半球のある地点の時刻』「位置特定のための北半球の正射修法付き」




⑥『南半球時間』「同」




⑦『プロエルメルにおける太陽と月の正対位置』


⑧『プロエルメルにおける天球傾斜度(北半分)』




⑨『天球の傾斜度(南半分)』



⑩『日の出の上昇角度の傾斜度』



その日ごとに表す



時計といえば平べったいものという無意識の認識ですが
機械は複雑怪奇
収められている亭の中全体に
腕やら紐やらがぶら下がってたり飛び出していたり



最終的に10面の文字盤に結果を表示するとはいえ
この空間全体が時計の機械部に成っている



理解するのに頭の痛くなる
複雑怪奇な「天文時計」ではあります
実は
学校の製鉄作業場で作られそこに置かれていたのですが


ベルナルダン共同体というカトリックのミッションが解体された際に
一度廃棄処分が下され
競売に課されたのですが
金属の重さでの販売にもかかわらず買い手がつかなかったとか


その後すぐ保存が決まり
施設を受け継いだ「プロエルメル兄弟修道会」の中庭の
「キオスク」として作られたガラス張りのこの「亭」に
組み立て直されて
今日に至っています

その他「プロエルメル」周辺には
4箇所のカルヴェール
1本のメンヒル
1箇所のドルメン
複数のシャトー
などもありますが文字数の制限でここまでにしましょう
=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
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