現在行われているプロ棋士編入試験。
今まではプロ棋士になるためには「奨励会」に所属して
昇級・昇段を続け、最終的には「三段リーグ」で上位2位までに入る必要があった。
「三段リーグ」は年2回開催されるが、年間4人しかプロになれず、
満26歳までにリーグを突破できなければ退会(一部例外有り)となる。
瀬川さんは元奨励会員で三段まで行ったが年齢制限で退会となった。
その後、アマチュア将棋界で活躍し、
アマチュアが参加できるプロ棋戦で高勝率を残している。
その「高勝率」と「将棋への情熱」を後ろ盾に「嘆願書」を提出。
今回の編入試験へとこぎつけた。
61年ぶりの編入試験とあってマスコミでも取り上げられて
BIGLOBEストリームでは独占無料配信も行っている。
将棋が注目を浴びることはうれしいのだが、若干気になることがある。
まず始めに「言った者勝ち?」。
今回の件に限らず、世の中「言った者勝ち」の傾向にあると感じる。
瀬川さんは奨励会の規定によりプロ棋士の道を絶たれた。
同じように残念な結果となった人は多い。
その人たちはアマチュアに転向したり、
指導棋士になったり別の道に進んでいる。
一石を投じた行動力は認めるが
対プロ棋士で高勝率を残しているとはいえ、
良い意味での「わがまま」が通って良いのだろか?
「強くないと意見を言えない」という風潮を反映している気がする。
次に「アマチュアを必要以上にネタにしている」こと。
本来はプロ棋士同士の対局で話題を作り、アピールすることが大切だと思う。
そこにアマチュアを担ぎ出して
「○○円の経済効果」とか「すべて将棋世界で報告する」とか
プロ編入試験とは別のところで話が進んでいるように感じる。
第1局に限っては「公開対局」となった。
いくら注目を浴びているから(浴びせたいから?)といっても
人生を決める編入試験で公開対局は無茶だと思った。
最後に「試験内容のあやふやさ」。
6番勝負の第5局・第6局は面接も兼ねて総合的に判断する?
意味が分からない...。
なぜ代打ちにする必要があるのか?
第5局に関してはその代打ちすら変更になっている。
確かに元名人がアマチュアに負けたら一大事かもしれないが、
勝負事である以上、どのような結果も受け止める必要があると思うし、
現に彼らは受け止めてきたハズだ。
今回試験官を勤めたA級棋士が過去に瀬川さんに敗れたことを
引き合いに出し「リベンジを期待する」と勝手なことを
言っておきながら自身は恥をかく(表現がおかしいが)可能性を回避している。
最終的には
瀬川さんには是非プロ棋士になってもらいたい。
ただし、
トップ棋士になることよりも、この経験を生かして
アマチュア界との架け橋になることを期待している。
今回の件で
プロ棋士養成のあり方に一石を投じたことは大きな評価だと思う。
また、久々に将棋界にスポットライトが当たったように感じる。
これを一過性のものにするのではなく、今後も
プロ棋士・アマチュア棋士・ファン・スポンサーが
一体となって将棋界を盛り上げて欲しい。
瀬川プロ誕生を期待している。
将棋のプロ棋士を目指すアマチュア強豪、
瀬川晶司さん(35)=横浜市在住、会社員=は10日、
東京都渋谷区の将棋会館でフリークラス編入試験6番勝負の第4局に臨み、
中井広恵女流6段(36)に勝って通算成績を2勝2敗とし、
悲願のプロ入りに大きく前進した。
試験は原則として3勝した時点で合格、4敗した時点で不合格となる。
後手の瀬川さんは、中井女流6段の鋭い攻めをかわしながら、
一進一退の攻防の末、粘り勝ちした。
戦後初の編入試験を受けている瀬川さんは、
第1局で奨励会の佐藤天彦3段に敗れたが、
第2局で神吉宏充6段に勝利。
第3局で久保利明8段に敗退し、黒星が先行していた。
第5局は11月6日、同将棋会館で高野秀行5段と行われる。〔共同〕 (19:30)
日本経済新聞社
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20051011STXKB017710102005.html
|