京漬物近清の九代目日記

毎日、お店や九代目の周りで起こった事、九代目からのお知らせ等を日記形式でお伝えしていきます。

お店の裏側 ホテルのバイキング

2007年03月24日 | Weblog
ホテルの元調理場勤務の方に「ホテルの食べ放題バイキングって本当のところお得なんですかね?」ってダイレクトに聞いてみた事が有ります。

その返答は「どっちとも言えないですが、概ねお得なんじゃないですか?って言う微妙な返答でした。

それもそうですよね!現場の方はそれ程料理の事以外は深く考えませんから、ただ話は聞いてみる物で、内容から大体の事が判りました。

「バイキングの際は結構大変なんですよ!フロアーのメンバーが減るのはまあ当然なんですが、厨房もレギュラーが1人、2人出て後は全部アルバイト、まあてんやわです。」

う~ん、確かにオーダー取りや給仕の作業が無くなるのでフロアーは減っても良いんですが、厨房まで削るとなると相当人件費は浮いてきます。

「でもメインスタッフ居なかったら料理作れないんじゃないですか?」

「うちは殆どの料理を外部業者から冷凍完成品や半製品で買うんですよ!ホテルバイキング専門の下請け業者さんが有るんでね!それを電子レンジでチンしたり、オーブンで焼いたり、切って盛り付けたり、加熱して少し手を加えたり」

「それにバイキング以外の時はかなりの量の原材料を廃棄したり、賄いに使うんですが、バイキングだと殆ど廃棄しないでいいんでロス率は低いんですよ、仕込が無いんで楽でいいしね」

「成るほど、半製品を買ってプロの調理人が仕上げをするんでそれなりのクオリテイーを保てるんですね!」

仕込が無いって事は出勤時間を大幅に遅く出来、プロスタッフもいらない、この手法で人件費を削り、ロスを無くして原価率を下げ価格を落としている、もしくは可能な限り高級食材を導入してるって感じですね、つまりホテルバイキングは一般のレストランのランチを食べてもらって喜んでもらい、デイナーに繫げるって言う戦略では無く、バイキングはバイキングの客、デイナーはデイナーの客と割り切り、それぞれ利益を出しに行ってると考えられます。

最後に「グラタンやチキンのトマトソース、ミートボール、スパゲッテイなんかは冷凍なんでロスが無いし、ポテサラもロングライフの小分けなんでロス無く出せるんですが、生野菜とフルーツ、ローストビーフ辺りは日持ちしないんで辛いんですよね」

と言うと最後の3点辺りが自家製ですか?

「ううん、ロースとビーフもバイキング専門の業者さんから買うの、それを湯煎して出すんだけど一度湯煎すると次は火が通り過ぎて使えないんでね、ロスに成るって訳、まあまかないのピラフやカレーに使いますけどね」

惣菜の常識で、ワンヒートつまり煮炊き物では一度加熱して調理しますが、加熱殺菌や温めなおしなどもう一回加熱しなおすとツーヒートと言って味が落ちる、更にもう一回加熱するスリーヒートはもう完全に味が落ち商品にはならないと判っています。

まあその理屈でいくと湯煎を一回したらもう後は食べてもらうか、捨てるしかないって訳ですね。

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