『極楽とんぼ』は、75歳で大往生した男の生涯を当時73歳の里見弴が書いた、世間でいうところのユーモア小説。文庫本で総量170頁は中長編と呼ぶのだろうか。
小津安二郎について書かれた本や写真集を見ていると、1950年代から里見弴が現れる。それも支那服を着ていたり、芭蕉そっくりの俳人スタイルだったり、割烹着で天ぷらを揚げていたり(助手が小津)で、マトモな服装で写っている写真がない。おしゃれ、というより変わった服を着て遊んでいるのだ。コスプレのはしりかもしれない。
小津との関係では、『彼岸花』(小津映画初のカラー作品)の原作者で知られている。『彼岸花』は、京都の料理屋の娘役を演じた山本富士子がいいですね!あの若さであの貫禄と押し出し。五社協定に邪魔されていなければ、小津に重用されて別のタイプの大女優になっていたのではないか。小津は小津で、原節子のあと、主演女優を決めあぐねた節がある。うつわの大きさといい、容姿といい(派手なタイプの美人好き)、山本富士子は好適だった。見たかったなあ……、永田雅一のばか。
里見弴は、もっと読まれていいもっと評価されていい作家の筆頭だ。里見が作品と自らの人生で示したものが『教養』というものではないだろうか、と著作を読むたびに思う。
まあ、根本はへんなおじさんですが。