政治ウォッチ!

新たな時代の政治を真摯に見つめるブログです。

見ウォッチ 2月23日菅直人財務大臣会見 所得税の最高税率の見直しについて

2010-02-26 16:40:45 | 政治

問)

最近大臣が所得税の最高税率の見直しについて言及されておりますけれども、改めてこの狙いと、それから所得税をめぐって金融税制とか、あと控除の見直しなんかも従来民主党は言っておりますけれども、この辺りの考え方をお聞かせください。


答)

実は所得税、法人税、消費税等について3月から本格的な議論を税調で始めると私が言った時に、皆さんが消費税しか書かないものですから、消費税だけではありませんよということの意味も含めて多少所得税についてこの間発言をしているというのが若干の本音のところでもあります。それと同時に、この10年間の税制の再検討を専門家委員会の方にお願いしようと思っていまして、そういう議論の中では多分、今の所得税のいわゆる所得再配分機能が大分低下してきているという指摘もありますので、そういったことは若干念頭にあったものですから、そういう意味でこれからの議論がこういうことについての議論になるだろうという予測の下に少し申し上げました


会見ウォッチ 2月19日 福島みずほ内閣府特命担当大臣会見 「DV相談ナビ」の充実について

2010-02-25 17:17:06 | 政治

これは2月22日からスタートです。DVに苦しんでいる女性でどこに相談していいかわからないという方を相談機関につないで、支援に関する情報を入手できるよう昨年1月から全国共通のダイヤル0570-0-55210で最寄りの相談窓口を案内しています。この案内サービスについて、来週の22日からさらにサービスを充実して、相談窓口の案内だけではなく、利用者が希望する場合はそのまま窓口に転送して相談を受けることができるようにしています。

この間もDVで殺人事件が起きたと報道されていますけれども、被害に悩んでいる方が少しでも早く支援に結びつくことができるよう、便利になった「DV相談ナビ」について知ってもらい、利用してもらいたいと思っております。

これについては、ホームページや政府広報の一環として全国紙、ブロック紙でもお知らせをする予定です。ぜひこれを広く報道をお願いします。

この転送は、第1次補正、前政権の第1次補正で盛り込まれていたものを削らずに、やはりきちっと転送サービスの開始をしようというものです。DV被害がなかなかなくならない中で、この転送サービスによって、より便利にして相談の充実を図りたいと考えています。

(問)

話戻って恐縮なんですけれども、この「DV相談ナビ」ですが、充実させるということですけれども、大臣としてこのDVの問題について、今どういった問題認識を持っていらっしゃるか教えてください。

(答)

私は弁護士としてDVとセクシャル・ハラスメントをやってきたので、国会議員になって、これは超党派で与野党を超えてドメスティック・バイオレンス防止法をつくり、1次と2次の改正もやりました。これは議員立法で、しかも超党派でやったということで、自分のやってきたことと立法が結びついて、保護命令の導入だとかドメスティック・バイオレンス防止センターをつくるとか、あるいは市町村に広げる、NGOに対する援助やさまざまな施策を、とりわけ10年間の間にかなり進んだことは、世界の潮流と日本の国内の多くのNGOや当事者の頑張りと国会と内閣が結びついたいい例だと思っています。

第3次改正をやるかどうか、これは必要な部分もあるでしょうし、今、内閣府の男女共同参画担当大臣として取り組んでいるのは、基本計画に女性の暴力についてきちっともっと盛り込むということです、どうやって根絶をするのか。

それから2点目は、NGOが今やはり財政逼迫をしておりまして、委託事業という形だと、どうしても運営費などに困ってつぶれていっているNGOも多いので、どういう工夫をすればNGOに対して財政援助ができるのかという問題。それからDV防止法が結婚していることを前提にしていたので、どうしても恋人やいろんなレベルではまだカバーできないと。それは相談所には行けるんですが、そういうDV防止法からちょっと適用しにくい、本当は適用あってもいいと思うんですが、という部分をどうやってきちっと拾い上げていくかということ。それから、いろんなところの連携や、それから今回の事件でもそうですが、もう少し連携を組んだり、一歩進んで何かできなかったのかということについての検討をしたいと思っています。ですから、ちょっと長くなりましたが、昨日の男女共同参画会議、官邸で開かれた会議でも、女性の暴力については有識者の皆さんからも、閣僚からもちゃんとやるべきだ、大事な問題だという意見が出たところです。

第3次基本計画に女性の暴力についてきちっと盛り込んで、根絶するための基本計画にするということ。2点目は、第3次改正も視野に入れながら、とりわけNGOへの援助の充実やその他についてもきちっと今の段階でもできることをやっていくということです。

現在、NGOに対してどう援助ができるか協議をしたり報告を受けているところです。


*永住外国人地方参政権に賛成?反対? TBSラジオ「アクセス」文字起こし Part.4(最終回)

2010-02-24 17:43:42 | 政治

16日放送のTBSラジオ「アクセス」は永住外国人地方参政権がテーマ。藤井誠二さんは条件付賛成派、ゲストの宮台真司さんは条件付反対派でバトル。再びリスナーと電話の後、賛成派の東京外語大学の北脇保之さんを加えてバトルトーク。

(リスナーYさんの意見)

中国人の留学生は、日本のことを知って、日本人とか日本が嫌になって帰っていく人が多い。留学生側にも問題はあるかもしれないが、日本人がいかに国際的に味方を増やしていかないかということが分かる。知人に、10年以上日本に住んでいたビルマの家族がいたが、アメリカのグリーンカードの抽選に当たったら、荷物をまとめて嬉々としてアメリカに移住しちゃった。彼らには日本よりアメリカの方が魅力的な社会だったということです。

(藤井)

Yさんのお知り合いは、何で日本が好きになれなかったと仰ってましたか?

(Y)

どこに行っても、欧米人と比べて、人間として見てくれなかったり、言われの無いことで馬鹿にされている傾向があるようなんですよね。日本の味方を増やすためにも、地域に根付いている外国人については限定的に参政権を認めるべき。


(北脇)

まず一つは、外国人が社会に十分参加していくことが、本人にとっても、社会にとっても大事だと思います。社会に参加するというのは色んな面があるんですけども、教育、雇用の面だけではなく、政治の面でも参加していくことが必要だと思います。それがしっかり出来ないと、外国人が社会の底辺に追いやられるとか、平行社会をつくってしまう。そういうことが、社会の不安定の要因にもなっていくし、本人達にとっても不幸なことになってしまうので、それを防止していくために社会参加を推進する。その一つとして、永住外国人に地方参政権を認めるべきだと思っています。

(渡辺)

日本でもっともブラジル人が多く住む浜松市で、2期市長をお勤めになった北脇さんに伺いたいのは、浜松市での永住外国人はどういう現状ですか?

(北脇)

元々、特に外国人が多い町だったわけじゃないんですけども、入管法改正以来、南米出身の日系人がどんな仕事でも出来るという形になったので、自動車産業を中心に工場で働くために移り住んできて、90年以降急激に外国人が増えたという、そういう町なんですね。
ただ、それがリーマンショック以来、非常に失業が増えて、状況がかなり厳しくなっているという現状なんです。

(藤井)

浜松は昔、結構「ブラジル人お断り」と堂々と張り紙が貼ってある店があって、それが社会問題になった。その時に、色んな裁判が起きたりして、「日本は人種差別撤廃条約に批准してるのに、何でちゃんとした法律が無いの」と皆がびっくりした。それがきっかけになって、永住権を持っているのにどんどん離れていってしまう、そこで地域との軋轢が更に生まれてしまうという悪循環を感じた。当時、取材する中で、一つの社会に参加する権利として地方参政権があれば、状況が違ってくるのかなと思ったんですよね。

(北脇)

私も市長として、外国人の皆さんも地域社会、特に地域経済を支えているという点では貢献しているので、やはり外国人を含めた形での地域社会をつくっていこうということで、一生懸命やってきたんです。そういう中で、浜松に住んでいるブラジル人の皆さんも、「住みやすい」と言ってくれるようになってきたので、そういう事を大事にしたいと思うんですけどね。

(宮台)

全くその通りで、先ほどのリスナーの意見もそうなんですけど、日本と日本人を好きになってくれる外国人をどれだけ増やすのかということがとても大事で、戦前のアジア主義者と言われる人たち、例えば内田良平、遠山満という、玄洋社、黒龍会の頭目達は、食客として色んな国籍、色んな立場の人を抱えた。つまり、戦前の右翼というのは、「日本人がアジアの人たちから尊敬されるようにならなければ日本の未来は無い」と考えた人たちで、偏狭な排外主義とは完全に無縁だったんですよ。なのでその歴史を辿ろうというのが、例えば鈴木邦男さんの新右翼、新しいと書くけど、元々は戦前の右翼に返りましょうというルネッサンス運動だったんで、その辺を僕達はちゃんと教養として知らなきゃいけないなと。

(藤井)

邦男さんは賛成らしいですよ?

(宮台)

うん。当然でしょうね。

(北脇)

私も、開かれた心とか、そういうのを大事にしたいです。地方参政権の話になると、どんな人でも自分で参加して決めたルールは尊重しようというのがありますよね。だから自治体の仕事というのは、日本人であれ外国人であれ、自分の生活に密着してますよね。そこでルールであるとか政策であるとかに外国人も一定程度参加してそれを決めたということになれば、それを尊重して、守ろうとなっていくと期待できると思います。

例えば、ゴミ出しのルールを守らないとか問題になるんですけど、自治体は環境政策としてゴミの分別収集をやっているわけで、そういう政策に外国人も関与する事で環境問題が大事だからやっているんだというようなことが分かれば、守らなくちゃいけないなとなっていくこともある。政策決定に全く参加しない、参加しないが為に関心を持たない。だから、大事なことだと思わないという。そういう悪循環になるので、組み込んでいくということが大事なことだと思います。

先ほど、意見を聞くだけだったら参政権を持って無くてもいいということを仰いましたけど、それは拘束力が無いので、そこと次元は違うと思います。


(渡辺)

ネット含めてのご意見の傾向は、賛成が12%、反対が83%でしたが、ネットの意見を除外すると、賛成35%、反対57%でした。

途中から宮台さんはおとなしくなった感じがしましたが?

(宮台)

何度も同じことを繰り返して飽きたんですけどね、皆さんね、クリント・イーストウッドの映画を見て頂きたいと思うんです。「グラン・トリノ」を見れば、モン族、つまりイエローマイノリティズでもグラントリノにさえ乗りゃ、アメリカ人なんだという主張だし、新しい「インビクタス」という映画でも、基本的にへたれじゃない人間たちは誰をも包摂するんだというメッセージなんです、簡単に言えば。

関東大震災の時の朝鮮人差別、流言蜚語による虐殺を調査したのは、内田良平の黒龍会なんですよ。右翼が調査したわけ。つまり、戦前の右翼にとっては、排外主義というのはヘタレの技なんですよ。そういう意味で言えば、僕は北脇さんと同じで包摂主義でありたいと思うけど、なんでいま反対するのかと言うと、交じり合っていないところで、偏見で感情的に噴き上がれば、まさにその事がみっともない帰結を招くからです。

(藤井)

議論のレベルをもっと上げて欲しいですよね。ネットとか特に。


永住外国人地方参政権に賛成?反対? TBSラジオ「アクセス」テキスト化 Part.3

2010-02-22 18:31:46 | 政治

16日放送のTBSラジオ「アクセス」は永住外国人地方参政権がテーマ。藤井誠二さんは条件付賛成派、ゲストの宮台真司さんは条件付反対派でバトル。リスナーの意見を踏まえた議論を文字起こし。

ここからは電話参加で、賛成派、関西学院大学教授 李英和(リ・ヨンファ)氏と、反対派、首都大学東京教授 鄭大均(テイ・タイキン)氏を交えてのトークバトルになります。

(李)

経済学を専攻しているので、そういう観点から言うと、「代表なくして、課税なし」というのが揺るがない原則で、そういった意味では、代表を選ぶ権利がないのに課税しているのは基本的にはおかしいと思います。

サービスの代価を受けているからいいだろうと言いますけど、どういうサービスを受けるのかを決める権利というのが参政権です。定住外国人の意見を地方レベルでもくみ上げるというのが、民意を幅広く反映する手段として何の不都合もないんじゃないかと。

(鄭)

典型的な在日コリアンというのは、1930年代に日本に来ているんですね。ということは、日系アメリカ人の歴史よりは若干短いんですけど、日系アメリカ人が日本の政治なんかに無知であるように、在日も基本的に母国から遠い存在になってるということだと思うんです。確かに、韓国籍、朝鮮籍を持っていますけど、韓国に対する帰属意識があるわけではないですね。そういう意味では、ペーパー韓国人という言い方をしますけど、そういう存在になっている。

一方で、外国人登録証を持っているわけですけども、外国人意識も無いわけです。従って、日本人と区別される事を差別と感じるような、そういう??を持って生きているわけです。私は、それをペーパー外国人になっていると言いまして、一方で自分を説明しにくい存在になっているわけで、そういう不透明性というものを解消するように在日というのは色んな形で努力をする必要があると思うんです。

~回線の不都合で、音声が乱れていたので、鄭さん一旦退場。

(渡辺)

今のところ、在日朝鮮人には参政権を与えないということなんですけど、これはどう思いますか?

(李)

80年代の後半から、この問題が出てきてから以降、一貫して北朝鮮は反対してますよね。あるいは、朝鮮総連も。いらないと言ってますから、いらない人に与える必要はないんで、外れてもいいんじゃないかなと。

今後は、日本は労働力不足、少子化で定住外国人をどんどん入れなきゃいけないと思うんですけど、働かせるだけ働かせて、税金を納めてもらって、政治に参加できないというのは

(宮台)

でも、それは当たり前じゃないですか、どこの国でも。僕らがアメリカで働いたら税金を払いますけど、アメリカの国籍もらえませんよ?

(李)

いやいや、そうじゃなくて、定住というね、

(宮台)

日本で問題になっているのは、定住じゃなくて永住ですよ?

(李)

永住資格を持っている人に与えるかどうか、与えるか与えないかは立法の裁量権の問題です。

で、国民新党が反対していますけど、国民新党はフジモリ大統領を参議院選挙を立候補にしていますよね。その時は別に議論にならなかった。その事の方が定住外国人に地方参政権を与えるより、国政に与える影響が大きいんじゃないかなと思ってね。

(宮台)

逆に今の例は、エスニックアイデンティティーとナショナリティが別だという我々の捉え方が有り得るというケースをあらわしているんであって、それだったら在日コリアンの方々だって、エスニックリソース以外に日本のリソースを沢山使えるんだったら、どうぞご自由に帰化してくださいということでいいんじゃないですか?帰化したってエスニックアイデンティティーを保てるでしょ?

(李)

それは人によるでしょうけどね。私は、帰化制度を簡便化するということに反対しているわけじゃありません。それでも帰化しない、出来ない人がいるというのであればその人たちの政治参加をどう考えるかということと二本立てで考えればいい。もう一つ言えるのは、フジモリさんの場合は二重国籍を持っているからペルーの大統領になり、日本の国政選挙にも立候補できるんですけども、日本の二重国籍制度をどう考えるか、これは立法政策で色々議論すればいいと思います。

~鄭さん復帰

(鄭)

基本的には在日コリアンというのは、日本国民として統合?されていい時期にきていると思うんですね。望むならば、コリア系日本人として生きていく。外国人参政権が多文化共生に寄与するという意見もありますけど、本当の多文化共生を望むのであれば、日本人という概念を多様化するのが一番確かな方法なわけで、そういう面ではコリア系日本人として生きていくという体でいいと思うんです。

まぁ、国民とはなんぞやというのを日本人の立場から考える人がいるんですけども、本当はこの問題というのは在日の立場から考える必要があるわけで、在日コリアンは韓国籍、あるいは朝鮮籍を持っているわけですけど、しかし今は母国に対する帰属意識が弱くなってますし、文化的な絆とかそういうものも希薄になっています。一方では、内国民待遇をどんどん要求していると。ですから、そういう人にとって、韓国籍を持つ意味というのが問われてもいいと思うんですよ。在日コリアンの悪い癖だと思うんですけど、日本を問うという姿勢はあっても、自分自身を問うという姿勢が無いんですよね。日本の民主主義を問うだとか、基本的人権をうんぬんという前に、本当は些細な自分の国籍の問題を考えればいいというだけの話ですよ。要するに、在日というのはこれからも日本に住み続ける人ですから、大体日本の国籍が必要だと知っていますし、大まかに言えば、参政権に対する待望があるというよりは、むしろ品の良い形で日本の国籍を選択する機会を待っていると思うんです。

(藤井)

ご質問なんですけど、僕の周りにも在日コリアンの友達とか知人が多くて、その中で参政権の問題がどう議論されているかというと、それほど盛り上がっているわけでもないんです。これは、李さんに聞いた方がいいのかな、総連は北朝鮮から見ると海外公民じゃないですか。朝鮮総連は組織としては同化されるのは嫌だということで、選挙権はいらないと言ってますよね。民団は途中から変わりましたけど。やっぱり、そういう政治的な対立の中でこの問題が議論されるのが避けられてきたという側面があるんですか?

(李)

まぁ、在日コリアンのほうですよね。主な団体の意見が真っ二つに分かれたというところが大きいかと思いますけど。

(藤井)

今は日本の政治の側から提起されてる状態じゃないですか。

(李)

当時、もう一つ日本側の方で有力な論点だったのが、相互主義ですよね。日本は認めるんだけど、相手の国は日本人に認めているかと。この問題がクリアされない限りは駄目だという論調が強かったんですけどね。それが少なくとも韓国ではクリアされた格好ですよね。北朝鮮は、参政権そのもの自体が自国民にも保障されてない国ですからね。

(藤井)

これは政治的に見て、民団の策略じゃないかみたいな意見が一部にあって、そういうのはどうなんでしょう?

(李)

無いでしょう。私がこの問題に関わった、かなり最初の頃から、民団の方は傍観者というか、そ知らぬ顔をしていました。むしろ、民団から離れた人たちが個人の資格で始めた。

(藤井)

要するに、市民運動的なところから始まったわけですよね。

(李)

そうですね。当時を思い出しますけど、いま賛成に回っている共産党とか、あるいは旧社会党は当時は強行に反対していましたよね。私は憲法については専門外ですけど、こう思うんですよ。国民固有の権利というのは、ちょうど基本的人権が人間固有の権利だというのと同じで、奪ってはならないという意味ですよね、最低限。それを与える範囲を広げる事についてですよね。それを禁止しているものじゃないんじゃないかと。与える対象が広がっていく事で民主主義が発展してきたわけですから、そういった意味では定住外国人に広がる番かなと。在日コリアンということだけじゃなくてね。

あと、アイデンティティーが揺らいでいるから問題だと言いますけど、それを言うなら日本人は個々人にどんなアイデンティティーがあるのかと問われますから、アイデンティティーの揺らぎと参政権の付与はあんまり関係が無いと私は思います。

(鄭)

私が言うアイデンティティーというのは、なんというか、私はアイデンティティーと帰属の間のずれと説明しているわけですが、帰属というのは国籍のことで、これは客観的なアイデンティティーのようなものですよね。それは韓国、朝鮮籍を持っている限り、例えば韓国人の場合は、韓国人としてアインデンティファイされるわけですよ。外にいた場合は、韓国のパスポートを持って出るわけですし、外で事故にあった場合には韓国の大使館が在日コリアンを助けてくれるわけでしょうが、しかし、そういう人が来たとしても在日コリアンは韓国語で事情を説明する力が無くなっていると思うんですね。そういう風に、日本にいるとアイデンティティーと帰属のずれみたいなものがあんまり問われるということは無いんですけども、外に出るとすぐにそういうことが問われるようになると思いますよ。

例えば、韓国に行って、韓国語が喋れないのに韓国籍を維持しているとしたら、それはやっぱり何故韓国籍を持っているのかと問われると思うんですね。韓国人というのは、ある種の韓国人らしさを実践しない人間をあまり韓国人として認知しないと思うんです。それはもちろん、韓国人という概念としてはやや狭いものであると思いますけれども、一理はありますよね。そういうものに問われるというか、そういう色んな、他者に問うという体験はあっても自問する機会が在日はあまりにも少なすぎたと私は思います。

李さん、鄭さん出演終了。

(宮台)

僕は、永住外国人の参政権問題は長い目で考えた方がいいと思う。というのは、このままだと日本は生産人口が急減をしていく。そうすると、生産人口を外国人で補うしかなくなっていくんです。その時に、元々のエスニックルーツは日本人ではないけれども、日本を愛し、忠誠を誓うような人が増えないと秩序が保てないし、社会の活力も保てないんです。だから単に融合するという話でもなければ、単に排除するという話でもなくて、基本的にはエスニックアイデンティティーを持ったまま、道具として日本語を使いこなし、日本人との関係を自由自在に取り持つように形成していくような外国人が増えないと、日本の地域社会、工業だけじゃなくて、農業にしろ畜産業にしろ外国人労働者なしでは回らないんですよね。それは日本映画にも散々描かれるようになってきている現実なんです。

ただ、住んでいる場所によっては、そんなことを意識しないで生きていけるので、単なる感情的噴き上がりで排除するという議論ができるんだけど、まず現実を見てみろという話です。現実を見たときに、最終的にはエスニックアイデンティティーは日本ではないけれど、日本を愛するような外国人を増やさないとどうにもならないですよね。どういう風にして階段を上っていくのかということを考えるしかないんです。

(藤井)

そうするためには、もちろん自助努力も必要だし、国のシステムとしてそういうような法整備であるとか、様々な制度の整備というのが必要で、両方必要だということですよね。


永住外国人地方参政権に賛成?反対? TBSラジオ「アクセス」文字起こし Part.2

2010-02-20 16:15:11 | 政治

16日放送のTBSラジオ「アクセス」は永住外国人地方参政権がテーマ。藤井誠二さんは条件付賛成派、ゲストの宮台真司さんは条件付反対派でバトル。リスナーの意見を踏まえた議論を文字起こし。


・税金を払っているのだから、権利が認められるべきでは?

(宮台)

インフラ使用料として税金を取るのは、どこの国でも当たり前なんです。なので、参政権がなくても税金を払ってもらうというのは全く合理的なんです。ただ、どういうインフラをつくるべきなのかについて外国人から意見を聴取することは、参政権がなくても出来ます。

(藤井)

そこは宮台さんと同じで、税金だけでいったら定住外国人とかも同じになるわけで、=選挙権もとダイレクトにはならないと思います。あくまでも僕は社会に参加する手段としての参政権と捉えています。

(宮台)

僕に言わせると、自治体ごとに現状が違うので、国政が自治体の条例によっては参政権を認めても良いとするんだったら意味があるかもしれない。つまり、各自治体の各共同体の自己決定に任せますというのであれば、意味があるかもしれない。でも、それでも時期尚早だという感は否めません。

(渡辺)

どの辺りまできたら、時期が来たなと思いますか?

(宮台)

基本的には、一般永住の方の子どもが全員義務教育をちゃんと受けれて、そのプロセスでちゃんと日本語を習得できて、日本人との関係を持ち、日本人に対して偏見や負感情を持たない状態でちゃんとエスニックアイデンティティーを持ち続けることが出来るようになった段階。あるいは、逆に日本人が外国人と交わる事を通じて、彼らのことが分かっていったという段階で参政権の議論をすればいいと思います。

(藤井)

そういう状況になればいいと思うけど、そういう状況になるかな?

例えば、コリアン系の場合は5世ですよね。5世になったとしても、部分的には交じり合えているところもあるけど、基本的には日本のコミュニティと分かれてるわけですよ。色々な反発もあって、双方が溶け合うとは思えない。

(宮台)

先ほど言ったように、在日=強制連行ということを左翼が言いまくったから微妙な話になったんです。特別永住者と一般永住者を混同する事はできないと思う。

・憲法問題について

(藤井)

この時に一つ議論になるのは、国民とはなんぞやという話で、反対する方々は日本国籍を保有するものと解釈するけれど、日本の国内の政治的決定に状況的に従わざるを得ない人々と解する方もいるし、これはずっと議論がされてきているんですよね。

(宮台)

ナショナリティというのは、国によって、時代によって捉え方が変わるので、元々非常に微妙な問題です。逆に、参政権を与える事によって国民になってしまうという面もあるので、実際、歴史的に言えばそういうことです。アメリカの場合、1960年代までは、黒人だって女性だって、ある意味国民じゃなかったんだよ。実際、そういう議論のされ方をしてるもん。参政権を与えられて初めて平等な国民になった。それまでは国民以下だったと一般には言われてますからね。

・帰化しないのに参政権を欲しがる理由は?

(藤井)

日本国籍を取るということ=であればいいんだけども、日本人になりなさい、同化しなさいという特徴が一つの問題であるということです。帰化という性質から国籍を取るということを取り出して、そこだけ変えていくようにするのも一つの方法だと思います。