(記者)
自民党に望むことは何かありますか。(国会の審議についての質問)
(亀井)
今日も、予算委員会でいろいろ聞いていたのですけれども、ああいう司法の場でなされていることに対して、国会としては政治の浄化、国民の信頼回復について何がなされるべきかという基本的な立場から扱っていかないと…、総理と小沢幹事長の問題を、「手を変え品を変え」と思ってやっているけれども、全然同じことだなと。手も変え品も変えていないのですよ。オウムみたいなことを言っているだけの話であって、私は、ああいう追及の仕方というのは、もう、ある面ではみっともないと思いますよ。
やはり、私は前から言っているけれども、政治資金規正法をめぐって、簡単に言うと、政治家と検察が長い間、ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ喧嘩ばかりしてきているわけですよ。そのことが、本当の意味の政治浄化につながっていっているのかどうかということを、今、もっと冷静に判断をすべきだと思いますよ。政治資金規正法が、本当の意味での「政治とカネ」の関係、本当に国民が信頼できるような状況にしていっているのかどうか。極めてテクニカルな法律が、その都度その都度、何かあると改正されて、木造建築に今度はプレハブがくっついてしまって、さらにコンクリートをやってみたって、またぶっ壊してどうにかみたいな、テクニカルな形でそんなことばかりやってきてしまっているのですね。私は、それが本当にトータルとして、政治資金規正法としてふさわしいのかどうかという抜本的な議論をしなければいけないと思いますよ。何かあると、国民向けにアピールだけしていれば良いということをやるべきではないだろうと思います。
そういう意味で、今の政治というのは劣化しましたね。昔から劣化しているのですけれども、劣化が激しくなりましたね。ポピュリズムですよ。結局、国民の方々の限られた情報に基づく、皆さん方の報道は、もちろん正しい報道もあれば、どうかなという報道もあるけれども、そういうマスコミの渦の中で、何をどうしていけば、日本の政治というのが、本当に国民のためにちゃんとした政治ができるようになっていくのかどうか、どうしたら良い政治家が選ばれて、良い政治家がちゃんとした政治活動をしていくようになるのかという、その基本を、国民の方は大脳皮質でしっかりとお考えにならなければいけないと思いますよ。
そういう点、本当に、私も30年以上政治家をやっているけれども、賽(さい)の河原に石を積んでは崩して、石を積んでは崩して、そうでしょう。本当に、同じようなことが紙面に躍り、テレビに出てやられている中で、では政治家は良くなったのかと。良くなっていない証拠に、経済がガタガタになってしまったでしょう。生活自体が…、殺人事件の半分は親子、兄弟、夫婦の殺し合いみたいな世の中になってしまったのですね。もう希望のない、そういう光が見えないような、若者が下を向いて歩いているような、そんな元気のない世の中になってしまったし、お年寄りは生きているのが申しわけないというような気持ちを持たなければいけないような状況にもなってしまっているでしょう、残念ながらね。
残念ながら、政治家がそういう状況を作ったと言われても仕方がない。やはり、政治家が責任を持たなければいけない話です。そのための政治資金がどうあるべきか。私は、政治資金規正法というものを抜本的に考えたら良いと思いますよ。馬鹿の一つ覚えで、「企業団体献金の禁止」なんて、すぐぶち上げてしまう。企業献金が問題になってしまうと、すぐ「企業団体献金の禁止」なんて言ってしまうと、エクスキューズ(許)されるような気になってしまうのですね。それを言うと、国民が「わぁー」と拍手してくれると思ってしまっている。では現実にそのことが可能かどうか(ということ)は全然考えないで、格好良くそんな言葉を言ってしまうでしょう。
個人献金が現に(金額が)伸びているのかと言うと、全然伸びていないでしょう。そういう中で、鳩山(総理)さんのような、そういう立場の人間でないと政治家になれないのかと、政治活動をやれないのかということになりかねないです。どうやったらきれいにお金が集まって、政治家がそのお金をきれいに使っていくかという、結局、これに尽きるのですよ。それを、今年から(改正政治資金規正法が)実施でしょう。1円まで領収書を要求されるようになったと。そんなことが政治浄化に、政治家がちゃんとした政治活動をやることに役立ちますか。いつも言う皆さん方だって、そうでしょう。あなただって、取材費は全部1円までの領収書をきちんと出せますか。
(記者)
今、うちの会社も、いわゆる会計検査(監査)を受けているので、1円まで(の領収書が)基本的には必要になります。
(亀井)
ああ、だから、ろくな記事しか書かなくなるのだよ(笑)。
(記者)
政治資金規正法がだんだん厳しくなっていったのは、やはりそれまで不透明なお金の使い方があって、国民の信頼を失っていったから厳しくしていこうという流れがあったと思うのですけれども、そこは政治家の責任というのもあるのかもしれないですし、今後、政治資金規正法を変えていくとしたら、どういう方向で変えていくのが望ましいと思われますでしょうか。
(亀井)
だから一つは、ここで冷静にならなければいけないということは、「政治家も選ばれている」ということですよ。自分一人で、なりたい人がなったわけではないわけでしょう。激烈な戦いの、全人格的に、政策的に晒されて、その中で選ばれているわけでしょう。それを、政治家を泥棒を扱うみたいな扱いをして良いのかという問題が、基本的にありますね。反対に、選ばれて、選んだ人に代わって政治をやっていくという、そういう政治家に対する扱い方があるはずだと。やはり、そういうものに対して敬意なんか払う必要は何もないのだと、何か放っておくと悪いことばかりするのではないかとか、政治家のお金の問題だって、そういう感覚で規制をしていくというのは、私は、基本が間違いだと思いますよ。
だから、そういう面で、やはり選ばれているわけです。選ばれた政治家は、また4年なり、それまでに選挙があれば、悪いのは選挙民が落としていけば良いわけでしょう。そういう意味では、常にクリーニングがかかっていくわけですよ。そういう立場にあるという、これが官選の議員みたいなわけではないのでね。
~中略
(記者)
その問題意識は分かったのですけれども、例えば、それをこの国会で変えようという方向に、自ら動いていくお考えはおありでしょうか。
答) これは、だから、つい口を開けば、すぐ国民向けの格好良いことばかり言おうとするでしょう。民主党だって、社民党、自民党だってどこだってね。まず、そこらのことをちゃんとした上でないと、まずかみ合わないだろうと思いますよ。だからそこをまず、そういう意味では、国民新党が各党の…、私が今、皆さん方にしゃべったことと同じような気持ちを持っている人も多いのですよね。だけれども、そういうものが形になって出てこないと。だから、私は国民新党としても、そういう努力をやらなければいけないと思っています。今、本音でのことをやらないと駄目ですよ。格好だけのことではね。
(記者)
この国会でですか…。
(亀井)
この国会を含めてです。私なんかも、本当のことを言って、そんなに長く政治生活をやっているつもりはないですから。今からの政治生活の中で、やはりそういうことを含めて、公正で、ちゃんとしたことをやった、やる努力をしたとは言われたいようにはしたいと思っています。
本当にこれは、政治家に、「本音のことを言ってみろ」と聞いてみてください。ところが政治家は、テレビ討論とかそういうことになったら、もう全然逆のことを言ってしまうのですね。全部、逆なことを言う。あなたたちに叩かれるのでないかと。私は、あなたたちが幾ら私を叩いたって屁とも思っていないですから何でも言ってしまうのです。