政治ウォッチ!

新たな時代の政治を真摯に見つめるブログです。

「大塚副大臣・浜矩子がギリシャ危機緊急検証」 プライムニュース一部テキスト化

2010-05-26 18:12:21 | 政治

BSフジ・プライムニュース「大塚副大臣・浜矩子がギリシャ危機緊急検証」のダイジェスト動画を一部テキスト化しました。

http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d100521_1

出演:大塚耕平内閣府副大臣、浜矩子(同志社大学大学院ビジネス研究科教授)、飯田泰之(経済学者・駒澤大学経済学部准教授)


・ギリシャ危機は対岸の火事か?“借金大国”日本の実態

(八木)

政府の債務残高対GDP比見通しなんですが、ギリシャが125%、対して日本は181%なんですね。大塚さん、我々はこの数字をどのように受け止めたらよろしいんでしょうか?

(大塚)

日本も安心しては駄目ですよという意味はあります。

ただ、ギリシャは125%の大半を国外で借金しているんですね。日本は181%の大半を国内で消化しているので、今のところ数字としてギリシャよりひどいということは無いんですが、先進国の中では最悪で、200%までいいとか悠長な事は言ってられませんので、この数字を引き下げる努力を一刻も早くしなければならないですね。

(飯田)

日本の場合、政府系の関連機関が持ち合いで持っている比率が非常に多いんですね。政府債務のかなりの部分を日本銀行、郵貯、特殊法人、または地方自治体が所有している。こういうのを相殺していくと、3分の2ぐらいになります。更に、政府は売れる財産を結構持っているので、借金というのはバランスシートで見ないといけないんです。財務省のデータでは、500兆円のGDPに対して300兆円前後が純粋な借金なんです。

先進国の中ではかなり悪いんですけれども、「物凄く悪いんだ、もう駄目だ」と言ってしまうのは良くないんです。かといって、安心して「日本国内は資産も持ってるから大丈夫」と言うのも間違っていて、リーズナブルな範囲で問題を処理していかなければならないんです。その意味で言うと、日本の債務問題というのはギリシャと違って解決可能だけれども、このまま使い続けたら破綻するという瀬戸際の状況であると思います。

(浜)

「日本の国債は日本人が持っているから大丈夫」ということはよく言われるんですが、これほど国民を愚弄した言い方は無くて、要するに「借金を返せ」と身内は言わないであろうということを前提に開き直っているご都合主義な考え方ですね。

それと、公的機関がお互いに持っているというのも恐いことで、弱者の寄り合いみたいな感じであんまり頼りにならない。それから、資産も見ないといけないという指摘はその通りですけど、要するにそれって、いざとなれば値の張る家財道具を売ればなんとかなるだろうという風に言っているに過ぎないことであって、そういうこともしなければこの状況を切り抜けられることが出来ないという借金人との姿というのは大いにやばいと思うんですね。

(大塚)

単に消費税を上げればいいとか、歳出を削ればいいとかということではないんですね。増えるメカニズムを変えていかないといけないんです。そこにメスを入れているのが、事業仕分けだとか独法仕分けなんです。これはただ単に金額を削れればいいということじゃなくて、ああいうものの中にどんどん借金が増えていく日本の構造があるんです。

(八木)

浜さんが「内輪で持っていれば大丈夫というのは借金人の都合のいい言い訳だ」と仰いましたが、その点はどうですか?

(大塚)

それはその通りですよ。ただ、いたずらに不安を煽るわけにもいきませんから、ギリシャとは違うという意味で申し上げたまでで、決してこれでいいとは思っていません。半世紀、とりわけこの20年間借金が増え続けた我が国の仕組みは一体何だったんだということが今まさに問題になっているわけです。

・どうする?日本の財政再建

(反町)

飯田さんは、鳩山政権の財政に関する取り組みをどのように思っていらっしゃいますか?

(飯田)

事業仕分けで出てくるお金と言うのは、あくまで一時財源なんですね。恒久的な財源というのは事業仕分けからなかなか出てこない。最終的には誰かの負担によってしか生まれないものなんだということを意識する必要があるということが一つあります。
もう一つ、181%と言った時にもう一度、式を見たほうがいいと思うんですね。GDP分の債務残高なわけです。ということは、債務残高が減る事によっても下がりますし、分母であるGDPが増える事によっても減るわけです。問題は、税収が少ない、GDPが成長していない、支出が多いことで、この3つをバランスよく改善していかないといけません。

(大塚)

経済成長と言った時に、何故2~3%程度の成長が過去15年間できなかったのかというところなんですよね。これもさっきの話と関係があって、需要のあるところに経済政策が打てるような予算の使い方をすればよかったんだけれども、不要不急の組織の存在意義を証明する為に予算を使ってきたので、そこから+αが全然出てこなかったんですね。なので、いま色々と枝野さんを中心にやっていることの芽が出てくると、借金が増えるメカニズムも崩壊して、需要のあるところに予算を使えるようになる。だから、正念場なんです。

(八木)

浜さんにお伺いしますが、財政再建に向けて、こうしたらいいという解決策はありますか?

(浜)

ちょっと無理という感じです(笑)即効性のある再建策というのは無いですよ。まぁ、大塚さんが言われていた、原因解明をまずきちんとして、状況がどうであるかということを見極めたうえで、国民にじっくりお付き合い頂くということで、ある程度の増税も止むを得ないだろうと思います。

あとは、鳩山さんが私財を全部投げ売って、国庫に納めて頂くとか、まぁスーパーリッチな方に公共心を発揮してもらって、国家財政の建て直しの為に寄付をするファンドみたいなのを作って、そこに投資しないやつは悪い奴だという雰囲気を盛り上げていけばいいんじゃないですか。

(飯田)

浜先生の考えに近いものとして私が考えているのは、相続税です。日本は年間20兆円の相続財産に対して相続税収は1~1.2兆円に過ぎないんです。ここをフランスやドイツのように、中金持ちから小金持ちも納税をするように、例えば、一律20%の相続税にすることによって、12兆円の財源が出来ます。現在では、ある程度兄弟が多いと、普通の方は無税なんですけども、実は昔と違いまして日本における格差というのは、大金持ちと普通の方の格差ではないんです。一戸建てを持っていて、安定した職がある人と、非正規・フリーターとの格差、つまり真ん中と下の人の格差なんです。これを埋める為には相続税制の改正が良いのではないかと思っています。

また、日本の場合でも円安というのが大きな効果を持ち得るんです。何故かと言いますと、世界のどこに工場を建てるのかという立地の選択に関わるからです。今の90円台では、日本のブルーカラーの労働者には高すぎるんです。これが110~120円になったとしたら、日本の労働者は安くて優秀という世界に冠たる労働者に戻れるかもしれない。そうしますと、国内に雇用が戻ってくる、GDPが上がるというのがベストシナリオではあるんですけども、一つ考えられる財政の脱出だと思います。

(浜)

ここで日本が円安に頼るというのは、私は物凄く敗北主義だと思うんですね。ある意味では時代錯誤的だと思います。円が安くなるということはドルが高くなるということで、また基軸通貨がドルに復活という格好になって、またアメリカがいくらでも借金できるという形になってくる。そういう地球経済的な歪み、あっちに借金国があって、あっちに黒字国があってというのを更に助長することになります。日本単体だけで見ればいいことなんですけども、それを追求する事によって最終的に地球経済全体としてのバランスを崩す事によって、つけが日本にも戻ってくるという事になると思うんですよね。なので、1ドル90円という相場環境の中でも、日本経済が健全に機能していく道を追求するのが本来の姿ではないかと思います。

・第2のギリシャにならない為に 三者の提言

(浜)

「早目に本当のことを言うべし!」

ギリシャは嘘をついてきたわけで、ごまかしているうちにああいうことになったと。
なので、日本も消費税を上げなくちゃ駄目なら駄目だということを早く言うことがベストです。

(飯田)

「インフレ・成長・課税の三本柱!!」

先ほどもお話したように1つだけに頼らないという事です。

まず一つは、経済全体を活性化させるために、2%程度を目標にしたインフレターゲットが必要です。しかし、それだけでは立ち直りませんので、インフレを経済成長に繋げていく成長戦略。そして、それだけで足りるほど良くないので、更に課税が必要です。

僕自身は、相続税を20%、消費税を10%、所得税の累進を10年くらい前までの累進課税構造に戻す。そうすると、丁度プライマリーバランスを達成できます。まぁ、これはあくまで机上の空論ではあるんですけれども、そういう計算になりますんで、この3つを使って財政を立て直し、景気を良くしていく必要があります。


(大塚)

「ニムビィシンドロームからの脱却」

ニムビィというのは「Not in may back yard」の頭文字をとったもので、これは公共政策の分野で、アメリカで使われる用語なんですが、「自分に不利益なことはしてくれるな」シンドロームです。

一番分かりやすいのはダム建設についての話で、八ッ場ダムのようなものが未着工のもの含めて沢山あるんですよ。八ッ場ダムを止めていいかと聞くと、多くの人が止めていいと言うんですが、自分のところは造れと言うんです。だから、自分の不利益になる事は止めてくれということを皆が言っていたら、この財政状況は改善できません。ちょっとこの傾向が、我が国は他国より強すぎると思います。もちろん、まず政治や行政が自ら身を律し、やるべき事をやって、国民の皆様にこれをご理解いただかないといけないと思っています。



にほんブログ村 政治ブログ

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大塚耕一を日本の中心に (亀玄)
2010-07-15 12:51:46
さすがに大塚さんの理論はブレのない解り安い、内容ですな~後消費税と所得税相続税の問題は同感です。特に相続税は今の倍以上に上げるべきだと思います。第二第三の中内を作らないそれに脱税を許さない税制を作る事が、重要だ
返信する