世にある日々

現世(うつしよ)は 愛おしくもあり 疎ましくもあり・・・・

五十路の坂

2017-03-19 | ひとりごと










五十路の坂


若造のボクが言う

51なら充分だ
しっかり老いぼれている
今のボクは才気あふれて
全て余裕だよ
なのに なんでそんな歳になって
情熱を隠して
いちばんキツイ坂道を登るんだい

今の僕が答える

オイ 生意気な若造よ
この坂道は
充分すぎるほどの坂道さ
鎧をつけて
自分を守りながら攻めいるオマエには
自分が重たくて登れまい
たしかに
みっともないくらい弱みをさらけ出して
なりふりかまわず登る姿は
オレのスタイルじゃない
それでもオレの人生には充分すぎるくらい充分さ
それも悪くない

でも 若造のボクには
そんな坂道を登ることは
知らないほうがいい
ボクだって
鎧を脱げば愛の溢れる人間さ
あなたが未来のボクなら
それはそれで充分ですよ

ともあれ 五十路の坂道一年目の夜だ
未来の老いぼれたボクはおもしろい
そんなあなたにお茶目あれ


          2008.3.19 記




とりとめのない自分語りを少し・・・・

上の文章は、51歳の誕生日に自分のブログに載せたもの
それで、今日60歳になりました

この文章の通り、50歳の生活はずっと坂道
妻を亡くし、独りで子供を4人育てて
一番下の子供は、障害を持っていて
介護しながら仕事をしてきました

仕事も、5時ピン男で
家に帰れば主夫業が待っている
でも、50の男になると仕事の責任も大きくなるし
「出来ませんでした」じゃ済まなくなる
それで、娘を気にしつつ休みの日に出勤する日々
ウツになる寸前で見た、自分のこころの中

ほんと、なりふり構わず、しがみつくように上った
五十路の坂だった

それも、今日でおしまい
この3月31日で定年退職して
介護を中心として、ゆっくり働こうと思っています

でもね、この坂を上ってみて
得たものがある

それは、情けない自分を許すことができたこと
それと、精神的にタフになったこと
どんな人にも優しいこころで接することが
出来るようになったこと

そして、どんなときにもお茶目に生きてきた
自分へのプライド

振り返ってみたら、なかなか面白くて
エキサイティングな坂だった

人生の夕暮れ時に
手に入れる金貨の価値は大きいというけど
どのような金貨を手に入れたのだろうか?

あの世に帰って、それを確かめてみるのも一興だよね