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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

CHARITY CONCERT ~声楽を学ぶ者たちによる~

2011年05月01日 | pocknのコンサート感想録2011
5月1日(日)チャリティーコンサート
~声楽を学ぶ者たちによる~
葛飾シンフォニーヒルズアイリスホール

【出演】
歌:石井美沙樹、石井勇祐、久保田絵美、辻百紀、増田朱紀、横田定、吉田志門、吉成文乃、和田美樹子
ピアノ:石井勇祐、鈴木麻衣加、竹沢友里、林くるみ、村上仁紀

【曲目】
~第1部~日本歌曲~
♪橋本国彦/お菓子と娘
♪信時潔/行々子
♪別宮貞雄/さくら横ちょう
♪山田耕筰/この道
♪中田喜直/さくら横ちょう
♪ 山田耕筰/かやの木山の
♪小松耕輔/母
♪高島豊/鯨法会
♪中田喜直/むこうむこう
♪新井満/千の風になって

~第2部~各国歌曲&オペラ作品~
♪ペルゴレージ/歌劇「奥様女中」~私の怒りんぼうさん
♪モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」~恋とはどんなものかしら
♪スカルラッティ/陽はすでにガンジス川から
♪ボノンチーニ/お前を讃える栄光のために
♪ロッシーニ/セレナータ
♪ヴィヴァルディ/歌劇「ジュスティーノ」~この喜びをもって会います
♪シューマン/蓮の花
♪ヘンデル/オラトリオ「メサイア」~いざ喜べ叫べ!シオンの女
♪スカルラッティ/すみれ
♪ロッシーニ/歌劇「セビリアの理髪師」~今の歌声は
♪フンパーディング/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」~踊りましょうお兄ちゃん

~クロージング~
♪ふるさと

声楽を勉強する若い人達によるチャリティーコンサート、芸大在学中の吉成さんが、みすゞの詩に曲をつけた拙作の「鯨法会」を演奏してくれるというので出かけた。

日本歌曲による第1部と、オペラのアリアを中心にした外国の歌による第2部から成るコンサートは、曲目も多彩だし、様々なタイプの歌い手が、それぞれの持ち味を活かした演奏を披露してくれて、とても楽しく聴けた。声楽を勉強しているといっても、もちろんいろいろなレベルがあるわけだが、このコンサートの出演者達は、かなりのハイレベル集団。誰もが、今日の本番に向けて演奏曲目をいかに表現し、どう仕上げていくか真剣に取り組んできたことが窺えた。

そのうえで少々気がついたことを言うと、とても素晴らしい声を持っていながら、音域によってその持ち味が活かしきれなかったり、緊張のせいか表情が堅くなったり、音程が甘くなってしまったり、或いは、声も表現力も十分なアピール力を持ちながら、顔の表情や体の動きが硬いせいで、視覚的な印象が、歌全体の印象にマイナスになってしまっている、というもったいないケースなどがあった。ただ、これらの点はここまでのレベルにまでもってこられる彼らであれば、今後更に研鑽と場数を積んでいくことで、更に目覚ましい進歩を遂げるに違いない。

そんななかで特に印象に残ったのは、清澄な美声がよくコントロールされ、明るくくっきりと歌の輪郭を描いたソプラノの久保田絵美さんや、安定した広がりのある瑞々しい声と表現力に将来の器の大きさを感じたバリトンの横田定さん、そして、吉成文乃さんの歌はメンバーの中でもとりわけ素晴らしかった。会場の空気を演奏する歌の色に染め、聴き手の心をその世界へと引き込んでしまう力はソリストとしての素養と力を既に備えていると感じた。ひとつひとつの言葉に真っすぐ向き合い、全体を把握しながらのブレス配分も的確で、とりわけ、「桜横ちょう」と「鯨法会」では、ひとつのドラマを表現することに成功していた。きちんと自分の歌として消化していることの証であろう。竹沢友里さんの柔軟で格調高いピアノ伴奏も素晴らしく、自作の曲をこのように演奏して頂いたことは嬉しい限り。プログラム最後の「ヘンゼルとグレーテル」では、吉成さんと辻百紀さんの軽妙なやり取りが、オペラの1場面をリアルに再現、二人の演技力にも拍手!

このコンサートは定期的に行っていくとのこと。メンバーの益々の成長が楽しみだ。

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