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ローマ街歩き(その2)ナヴォナ広場~パンテオン周辺~トレヴィの泉~スペイン階段

2017年01月06日 | 夏のヨーロッパ家族旅行2014
2014年 8月20日(水)

ROMA
ティヴォリから、今朝最初にメトロに乗ったLepando駅に戻ってきた。時刻は3時半。これから残された時間はローマの町中散歩だ。明日は朝早く空港に向かうので、これが今回の家族旅行最後の観光となる。エステ荘の涼しさはどこへやら、ローマ市街は暑い。。! まずはジェラッテリーアでアイスを食べる。2種盛り合わせで2ユーロ。


名勝サンタンジェロ城の前は人だかり。お城の真正面、テヴェレ川に架かるサンタンジェロ橋の両側には見事な彫像が立ち並ぶ。橋の上も観光客でいっぱいだ。


サンタンジェロ橋を渡り、ウンベルトⅠ世橋までテヴェレ川沿いに歩き、そこから街中へ入って行く。やって来たのは有名なナヴォーナ広場(Piazza Navona)。明るくて大きな広場に意匠を凝らした噴水が3つ並ぶ。

写真は一番北側にある「ネプチューンの噴水」。ここから徒歩観光を始めた。


サンタゴスティーノ教会 Chiesa di Sant'Agostino
最初に訪れたのが、ネプチューンの噴水から100メートルほどの距離にあるサンタゴスティーノ教会。教会のファサードは目立たないが、中にはラファエッロやカラヴァッジョの絵がある。その前に、この聖母子像は有名な作品ではないようだが、質素だけれど趣きのある色使いや、素朴で力強い表情が気に入った。


入口から見て左手前にある祭壇には、カラヴァッジョの祭壇画「ロレートの聖母」がある。カラヴァッジョの代表作の一つ。「巡礼の聖母」とも呼ばれるこの絵のイタリア語の原題は"Madonna dei Pellegrini"。Pellegriniとは、巡礼者が身に着けていたケープのことで、「ケープを身に着けた聖母」が直訳。

ナポリで見たカラヴァッジョの作品と共通する、漆黒の背景から浮かび上がるマリアと幼子イエスの、リアルで神々しさを感じる描写に惹きつけられた。


カラヴァッジョの絵から聖堂中ほどへ入った柱には、ラファエッロのフレスコ画「預言者イザヤ」(Profeta Isaia)、その下にはヤコポ・サンソヴィーノ作の彫刻「出産の聖母」(Madonna col bambino, detta del Parto)がある。

「預言者イザヤ」は縦2メートル半もある大きな作品だ。カラヴァッジョとは対照的にラファエッロらしいパステル調のカラフルで柔らかなタッチが目を引く。


そのすぐ下にあるサンソヴィーノの彫刻はミケランジェロの影響を受けたと言われているが、上のラフェエッロの作品と同様に柔らかな感触から、聖母マリアの優しい眼差しが感じられた。


サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会 Chiesa di San Luigi dei Francesi
サンタゴスティーノ教会から更に100メートル足らずで、これまたカラヴァッジョの傑作に出会えるサン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会がある。

聖堂の左奥の祭壇を囲むように、新約聖書の「マタイによる福音書」で知られる聖マタイの生涯を描いたカラヴァッジョの「マタイ三部作」が配置されている。「聖マタイと天使」(San Matteo e l'Angelo)を中央に、左面に「聖マタイの召命」(Vocazione di san Matteo)、右面には「聖マタイの殉教」(Martirio di san Matteo)。カラヴァッジョ独特の明暗のコントラストと細やかな筆致で、「驚き」や「恐怖」、「戸惑い」などの感情が赤裸々に描き出されている。

更に注目すべきは、絵の中に描かれている光線の扱いが、実際に祭壇に差し込んでくる光の向きと一致していること。創作と現実の見事な融合!カラヴァッジョが、作品の配置を計算して制作したその場所で実物を見ることができる貴重な体験だ。ナポリでカラヴァッジョの作品に初めて出会い、こうしてローマでもカラヴァッジョを観ているうちに、益々この画家の無言の魔力のようなものに引き込まれて行った。



「聖マタイと天使」


「聖マタイの召命」


「聖マタイの殉教」


それにしても、歩いて数分の距離にこんな世界的な名画が飾られた教会が並んでいるというのは、さすがローマだ。

パンテオン Pantheon
そして、そこからまた数分で、1900年も前に造られた世界最大の石造建築のパンテオンがある。ここは前回ローマに来たときに行きたいと思っていて行けなかったところ。その願いが10年ぶりに実現するのでワクワク!


パンテオンは古代ローマ時代の神殿。正面に出迎えてくれる前室から既に荘厳な雰囲気を湛えている。上部に記された文字は、焼失した初代のパンテオンを建設したローマ皇帝の側近、アグリッパに敬意を表して記された言葉だそうだ。


そして内部へと入って行くと、美しい曲線から成る巨大なクーポラが高い。神々しい美しさに息を呑む! 堂内には人がたくさんいるが、神聖な場所ということで静かにしなければならない。たくさんの人がいる中での静寂は、益々特別な空気が支配しているのを感じさせる。

ローマは古代遺跡の宝庫だが、こんな完全な形で残っている古代の建造物はここだけ。しかもこんなに大きな建物が!屋根の高さ・直径ともに43.3メートルもあるそうだ。これが2000年近く前に建てられたなんて、奇跡に近い。


時間と共に、堂内の唯一の光源として真上に空けられた丸穴から入る陽光に照らされ、クーポラの内壁にできる「日なた」の位置が徐々に動いていく。これをじっと見ていると、これまで2000年近く流れてきた悠久の時間を実感する。


去りがたい気持ちで聖堂を出て、前室の屋根をもう一度見上げる。2000年もの長きに渡ってこの屋根を支えてきた柱は全部で16本。実に逞しい!


パンテオンを後にして、次の見学スポットはサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会。
パンテオンの裏手にある。美術館級のたくさんの重要な美術品を見ることができるという。

ミネルヴァ教会が建つミネルヴァ広場には、オベリスクを背負う象ののモニュメントが立つ。オベリスクはナポリの旧市街でも良く見かけたが、この古代遺跡を象に背負わせたのは、ローマで活躍したバロック時代の巨匠芸術家ベルニーニ。

この象、鼻をくねらせて表情もどこかおどけていてかわいい。その後ろにミネルヴァ教会の至って質素なファサードが見える。

サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会 Basilica di Santa Maria sopra Minerva
殺風景な外観とは打って変わって、ミネルヴァ教会も内装は華やか。小美術館とも呼ばれる美術品をゆっくりと見て回る。入口に近い右側に掲げられているのは、アントニアッツォ・ロマーノの「受胎告知」。金の背景に、くっきりと浮かぶ黒や赤を纏ったマリアと天使と、白い服を身に着けた子供たち。鮮やかで精巧な筆致が目に飛び込んできた。


聖堂内を奥へ進んだ右手にあるカラファ礼拝堂、ここのフィリッピーノ・リッピによるフレスコ画がこの教会の最大の見ものだという。

カラファ礼拝堂の正面にある「受胎告知」。柔らかな色使いと優しいタッチが印象的。さっきのロマーノの「受胎告知」とは随分趣きを異にする。


カラファ礼拝堂は通常は薄暗く、照明は「受胎告知」の場面にだけ当てられているのだが、€1と記されたコインベンダーにお金を入れると礼拝堂全体が照らされ、「受胎告知」の上に描かれている「聖母の被昇天」も浮かび上がる。極彩色の色使いはまさにパラダイスといったところ。


天井や側面にもリッピのフレスコ画が描かれ、パラダイスの中に身を置いた気分を味わえる。ここではお金をケチらずに是非とも1ユーロを払って礼拝堂全体を明るく照らし、パラダイスをしばしリアル体験するといい。

フィリッピーノ・リッピは有名なフィリッポ・リッピの息子。ボッティチェッリの弟子でもあったということで、夢のような天上の世界の描写の巧みさは、ボッティチェッリ仕込みのようだ。


クリックで拡大

この教会にはミケランジェロや大好きなフラ・アンジェリコの作品があるはずなのだが、それらがある場所は丁度ミサを行っている礼拝堂にあるようで、入ることができなかった。残念。。。

だけどカラファ礼拝堂のフレスコ画は本当に素晴らしかった。こんな重要な美術作品を入場無料で、ほぼ独り占め状態で心行くまで鑑賞できるなんてスゴイ!

次に訪ねるのはジェズ教会。この教会には「ザビエルの手」が祀られているという。ミネルヴァ教会から、教会の名が付いた風情のあるジェズ通り(Via del Gesù)を南に200メートルほど下れば、通りの終点がジェズ教会のあるジェズ広場だ。

ジェズ教会 Chiesa del Gesù
今日訪ね歩いた教会の中では一番見栄えのするファサードを持つジェズ教会。でもこれは、簡素なデザインだったものに後から手を加え、このような2層のファサードになったのだそうだ。「ジェズ(Gesù)」とはもちろんイタリア語で「イエス」のこと。16世紀に創設されたイエズス会の教会だ。


イエズス会は清貧をモットーの一つとして掲げているが、それに反して教会内部は更に豪華。金色の装飾が格調高い雰囲気を醸し出していた。


この教会の一番の見ものは、フランシスコ・ザビエル礼拝堂に祀られているザビエル自身の手。イエズス会の創設者の一人でもあり、何よりもキリスト教を日本に伝えた伝道師としてあまりにも有名なザビエルの体の一部を見られるというのは実に感慨深い。

人間の腕の「ミイラ」を見た気持ちはちょっと複雑だが、丁重に拝んでおいた。これもカトリックが大切にする「聖遺物」の一つなのだろう。興味があれば、写真をクリックしてアップを見てください。


クリックで拡大

ジェズ教会からプレビシート通りを行けば、大きなロータリーになっているヴェネツィア広場越しに、昨日ジャニコロの丘からもよく見えたヴィットリオ・エマヌエレ2世記念堂が、その威容を見せつけている。


トレヴィの泉を目差し、Ⅳノヴェンブレ通りからピロッタ通りへ入り、ルッケージ通り~サン・ヴィンチェンゾ通りへと一本道を進んで行く。



一本道がサン・ヴィンチェンゾ通りになった辺りからお土産屋さんが増えてくる。17年前にローマに来た時に泊まったホテル・トレヴィを見つけた! 以前と変わらない佇まいに懐かしさが…


そしてトレヴィの泉に着いたが、2か月前から大規模な改修工事が行われていて水がない。事前に知ってはいたものの、やっぱり残念。。。


その代わり池の中央に足場が渡され、水が抜かれた泉の上を歩けるようになっていた。ここを歩くための行列に並び、普段は見ることができない泉の反対側からの景色を見ることができた。

ローマに来ると必ずここで、またローマに来られますようにとコインを投げる。今回は、泉のど真ん中でコインを後ろ向きで投げた。乾いた泉の底にチャリン!といい音がした。今度来たときは、やっぱり水を湛えたあの美しい泉の姿を見たいものだ(改修工事は2015年11月4日に完了)。


小腹が空いたので、この近くでカンノーリを買って食べたが、生地のパリパリ感がイマイチ。。もう晩ご飯の時間なので、スペイン広場近くまで歩き、レストランが多い界隈でちょっと気取ったお店に入った。

今夜が家族旅行最後の夕食。子供たちは相変わらずスパゲッティ単品だが、僕はせっかくローマにいるので、名物のカルボナーラを一皿目に、メインもローマ名物のサルティンボッカを頼んだ。奥さんはサルティンボッカを単品で…




ところが、カルボナーラを食べ終わっても僕のサルティンボッカがなかなか来ず、「デザートかコーヒーはいかがですか?」と聞いてきた。注文したのに!僕のイタリア語がちゃんと通じていなかったのかも知れないけど、どうもここの店員は最初からあまり感じが良くない。隣のテーブルの白人グループにはとても愛想がいいのに… ちょっと機嫌が悪くなり、この人にはイタリア語を使うのはやめて英語にした(片言でも現地の言葉を使うのは、僕の親しみの表現でもあるので)

やっと出てきたサルティンボッカ、お味の方はとても良かった。だけど、レシートにコペルト(パン)代が入っていて、またも。パン、出されてないんですけど! 言ったらその分は当然引いてくれたけど…

チップは払うつもりなかったが、お釣りを多くよこしてきたので、多くもらった分だけチップとしてテーブルに置いて、にこやかに「バイバイ」と挨拶を交わして店を出た。最後の夕食、まあこんなもんかな…

夕食の後は、家族旅行最後の見学スポットとしてスペイン広場を訪れた。スペイン階段は相変わらずの賑わい。ところが、ここの景観を象徴する階段上のトリニタ・デイ・モンティ教会がこれまた工事中のようで、布で覆われているではないか!おまけに階段前の噴水も工事中で目隠しされていた… これじゃあ雰囲気台無し。。


周囲の印象のせいもあるかも知れないが、階段も何となく照明が暗くてあまり長居したい気分にはなれず、早々にメトロを使って宿へ向かった。

気分を取り直し、さっきのレストランではデザートも食べなかったので、ホテルの近くの既に行きつけとなったジェラッテリーアでアイスを食べた。イチゴとイチジクの2種類のジェラート、うまかった! 10時45分にホテルに戻る。
2014年 8月21日(木)
翌朝は早起きして共用の冷蔵庫のものを食べてたら、ロベルタさんが昨日より早くやってきて、僕たちのためにコーヒーとクロワッサンを用意してくれた。Grazie!! 慌ただしく外へ出ると、「ホテルのオーナーの友達」と思しき人が大きなワゴン車で待っていた。フィウミチーノ空港までスイスイで25分。チェックイン時に言われていた金額の40ユーロを渡した(これが正当なものかはわからない…)。

空港から奥さんと息子は一足先に帰国の途へ。僕と娘はドイツへ戻り、それぞれ単独での行動が始まる。

先にチェックインした奥さん達を見送ってから、まだチェックインまで時間がある僕たちドイツ組は、カフェ(エスプレッソ)とスフォリアテッラでイタリアを名残惜しむ。
ドイツ・ライン河畔の小さな町、バッハラッハから始まり、4か国を15日間かけて巡った家族ヨーロッパ旅行、本当に様々な体験や楽しい出会いがあった。

子供も大きくなったので、こんなに長い間、家族でディープに過ごすことは珍しいが、家族の意味を改めて感じ、色々な文化に触れたことで、みんながちょっとずつ成長できたかな。

それにしても今回のブログのレポートが終わったのは、旅行から2年4か月以上あと、ブログの作成にも1年半近くかかってしまった。後から色々調べて記事を書くのは追体験にもなって楽しいが、余りに時間と労力を使い過ぎた。次からはもっと簡単なレポートにしよう。

ローマ街歩き(その1)ヴァチカン美術館、ジャニコロの丘、トラステヴェレ
エステ家別荘の庭園 ~噴水が織り成す壮麗なハーモニー~(ティヴォリ)
ヴィテルボ ~エトルリアの息吹が伝わる鳩の町~
オルヴィエート ~美しすぎるドゥオーモのある中世の町~
レモンが実るリゾートの町、ソレントでアグリトゥーリズモ初体験

ヨーロッパ家族旅行2014

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