音のしっぽ

音楽のこと、娘のこと、日々のつれづれ♪

田舎に帰る

2010-06-06 | いろいろ

海が見えた。海が見える。

五年ぶりに見る尾道の海は懐かしい

汽車が尾道の海にさしかかると~

 

林芙美子の『放浪記』より

林芙美子の本が好きではないけれど
この詩には特別な思いがある。

汽車が駅に近づき、川のように狭い海にいくつかの船が見える
反対側は山
幼い頃の記憶がよみがえってくる
大きくなった頃には、父は車で帰ったし
今は、新幹線で、林芙美子の世界は味わえない。

 

父の故郷、尾道
幼い頃から、小学生の頃まで
いわゆる「田舎に帰る」という言い方で
夏休み、父の実家に泊まりに行っていた。

おじいちゃん、おばあちゃん、
おじさん、おばさん、いとこたち

家の前には池があり
池の向こうには、みかん畑
遠く海が見える。
坂 坂 坂の田舎道

家と、トイレ、お風呂が何メートルか離れていた

トイレは、ぼっとんで
お風呂は、五右衛門だった

お風呂の匂いを今も思い出すことができる

一番の思い出は、、トイレがイヤでイヤで仕方なかったこと

でも、年上のいとこたちと遊んだ楽しい思い出
将棋の駒を積み重ねて遊んだ
花札も子どもの頃から覚えた
トランプもした

ごはんが麦飯だった記憶
おばあちゃんに、こっそりとゆで卵をもらった記憶
ヤギを飼っていた記憶
おばさんが、背中に大きなカゴを背負って、畑に行き
カゴにいっぱいの野菜を入れていったこと
すごく重たかったと思う

法事で帰ったとき
女たちは忙しい
大量のごはんとおかずを作る

今、思えば、叔母は今の私の年齢より
もっと若い頃から、そんな大変なことを取り仕切っていた。

舅と姑と
うるさい小姑たち、男兄弟も多く
本家の嫁を務めていた

そんな、苦労して苦労した叔母が
3日前に亡くなった。

昨日が友引だったので、今日がお葬式
両親と一緒に、式に行きたかった。

今の私の状況から止む無く断念した。
朝、姑さんから電話があって、いろいろ言われ
そんなことなら
「行けばよかった」と
後悔した。
本当に、後悔ってこういうことだわ と思った。

 

遠く尾道を思う
坂の町 海が見える

林芙美子の詩を読んで泣いた

神戸生まれの私は
同じく、海が見え坂のある町で幼少を過ごし

海と坂道に 特別な思いがある

その思いと 叔母の苦労
行けば、可愛がってくれた叔母を思い

会いに行けなくて ごめんね


ありがとう

と、つぶやく。

 

 


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