今回は、ポーランドのクリスティアン・ツィメルマン
豪華で華麗な音と緻密に組み立てられた音楽で
完璧な演奏を聴かせる現代の巨匠のひとり
Krystian Zimerman
1956- ポーランド
弱冠18歳でショパンコンクール優勝
カラヤン、バーンスタイン、小澤征爾、ラトル、といった
巨匠との共演も多い
指揮者バーンスタインの最後の主要録音のひとつが
ツィメルマンとのベートーヴェンのピアノコンチェルト
全曲録音でした。
しかし、3曲録音した所でバーンスタインが亡くなり、
残りの2曲はツィメルマン自身が指揮をして録音。
演奏には妥協を許さず、必ず作曲家の自筆譜などを
入念に読み込んで研究するそうです。
また、録音は数多くすることはせず、
コンサートのプログラムも
リストのソナタをステージに上げるのに
10年費やしたり、ドビュッシーの前奏曲集Ⅰ,Ⅱ巻は
弾けるとは思わなかったと言い、こちらも
長い準備期間の末ステージに上げました。
ドビュッシーの練習曲集は全曲演奏するつもりで
準備を進めていましたが、納得いかなかったのか
曲目が変更になり、現在も公に演奏はされておりません。
ドビュッシーの作品は全曲弾いたそうです。
しかし、ステージで聴くことのできる曲は
ほんの一部です。
ツィメルマンの技巧は高度で、
音作りも何の困難もないように思えますが、
それでもご本人は納得できるものしか
ステージには上げないようです。
Liszt: Totentanz, S. 525
こちらの曲は小澤征爾さんが総監督をしていた
ボストン交響楽団との初めての録音です。
この「死の舞踏」は元々コンサートでもレコーディングでも
弾く予定がなく、ツィメルマンが小沢さんに
「こういう曲もある」と紹介した所、
小沢さんがすぐに楽譜を取り寄せ
急遽、プログラムに入れた曲なのだそうです。
十分にリハーサルをする時間もなく、
ほとんどぶっつけ本番だったそうですが、
小沢さんは暗譜で臨み、信じられないほどうまくいったと。
この演奏の9割はコンサートのライブ録音なのだそうです。
そして、ツィメルマンはこの曲を演奏したのは
あとにも先にもこの一度きり。
アドレナリン全開で音楽に没入した記録だと。