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巨大な核をもつ惑星

2005-10-01 08:50:41 | 最新ニュース
ニュース#167

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ニュース用語集:英数字~あ行 か行~た行 な行~ん

 日米共同観測チームが、すばる望遠鏡を使って発見した惑星が、巨大なを持つガス惑星であることを発見したょ。惑星の大きさは土星より少し小さいけれど、その核の大きさは木星の核よりもはるかに大きかったんだ!巨大ガス惑星がどのようにしてできたのかを知るヒントになりそうだょ。

 惑星はN2Kプロジェクトっていう観測チームが発見したょ。N2Kは、日本、アメリカ、チリの天文学者が集まって、太陽系外の惑星を探そうっていうプロジェクトなんだ。惑星探しには、すばる望遠鏡、ケック望遠鏡、マゼラン望遠鏡などの口径8m以上の大型望遠鏡を使ってるょ。新たに2000個の恒星を観測して(N2Kはnew 2 kiloの意味)、ドップラーシフト法を使って数十個のホット・ジュピターを発見する計画なんだ。ホット・ジュピターっていうのは、恒星のすぐ近くを回る巨大ガス惑星のことで、木星や土星のような太陽系の巨大ガス惑星とは違って温度がとっても高いょ。まずはそのドップラーシフト法について簡単に説明しておこうね。

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 オリンピックにハンマー投げっていう種目があるよね?重い球にひもがついてて、選手はそのひもを持って振り回し重い球を遠くまで投げるんだ。ハンマー投げのように重いものを振り回すと、振り回している人間も大きく揺さぶられるょね。球が重いほど遠心力が強く、球が外側へ飛んでいこうとして、人間を引っ張るからなんだ。

 これと同じことが恒星とその周りを回る惑星の間でも起こってるょ。恒星と惑星の間には重力(万有引力)がはたらいているから、惑星の公転に合わせて、恒星もわずかに揺さぶられるんだ。万有引力は重さ(質量)に比例し距離の二乗に反比例するから、惑星が重く恒星に近いほど強くなり、恒星の振動も大きくなるんだ。

 でも恒星の振動はわずかで、それを直接望遠鏡で観測することはできないょ。そこで光のドップラー効果っていう性質を利用するんだ。近づいてくる物質から出る光の波長は縮み、近づく速度が速いほど大きく波長が縮むんだ。逆に遠ざかる物質から出る光の波長は延びるょ。つまり恒星が振動して地球の方向に近づくときには波長が短くなり、地球から遠ざかる方向へ動くときには波長が長くなるってわけ。恒星の光の波長のわずかな変化を捉えれば、恒星の振動の大きさや周期がわかり、そこから惑星の軌道や重さ(質量)が計算されるんだ。このようにして惑星を発見する方法がドップラーシフト法だょ。

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 2004年7・8月、このドップラーシフト法により、すばる望遠鏡を使った観測から恒星HD149026が惑星を持っていることが発見されたょ。さらにすばる望遠鏡とケック望遠鏡の観測データから、惑星の質量と軌道が計算されたんだ。その結果、惑星HD149026bの質量は土星くらいだってことがわかったょ。

 その後、アリゾナ・フェアボーン天文台で、この惑星が恒星の前を通る恒星面通過が起こっていることが発見されたょ。惑星の軌道を真横から見ると、惑星が恒星の前を通り過ぎ、そのとき惑星に遮られて恒星が少し暗くなるんだ。惑星の直径が大きいほど、恒星の明るさはより暗くなるはず。だから逆に、惑星が前を通過したときに恒星がどのくらい暗くなるかを測定すれば、惑星の直径が計算できるんだ!その結果、HD149026bの直径は土星よりも一回り小さいことがわかったんだ。となると、惑星の密度(質量÷体積)は土星よりもかなり大きいことになるよねぇ。だとすると、この惑星の内部構造は、木星や土星とは少し違うはず。

 木星や土星などの巨大ガス惑星は、ほとんど水素やヘリウムのガスからできているんだ。下の図(やぎが独自に作成)を見てね。中央に氷や岩石からできた核があるんだけど、その上に水素とヘリウムからなるガスが分厚く集まっているんだ。核に近いところでは、水素やヘリウムが押しつぶされて金属状態になっているょ。ほとんど水素やヘリウムのようなとっても軽い物質でできているから、密度も小さいんだ。

 でもHD149026bは普通の巨大ガス惑星よりもちょっぴり密度が大きい。これは、軽い水素やヘリウム以外の、もっと重い物質がたくさん含まれてるからなんだ。つまり、中心の核の部分が普通より大きいってこと。計算した結果、HD149026bの核の質量は地球70個分もあることがわかったんだ!下の図は、HD149026bと木星の内部構造を比べたものだょ。核の大きさが全然違うよねぇ。



 巨大ガス惑星はどのようにしてできたんだろう?惑星ができる前の太陽系は、ガスやちりが集まって原始惑星系円盤ができていたんだ。そのちりやガスが集まって惑星ができていったょ。巨大ガス惑星ができるメカニズムとして、2つの考え方があるんだ。一つは、ガス円盤内のガスが集まって巨大ガス惑星が直接作られ、中に含まれる重い物質が沈んでいって核ができたっていう考え。もう一つは、まず氷や岩石からなる核ができた後、その重力で周りのガスを集めて巨大ガス惑星に成長したっていう考え。巨大な核を持つHD149026bが発見されたことで、どうやら2番目のガス集積モデルが正しいらしいことがわかったょ。つまり、核ができてからガスが集まって巨大ガス惑星になったと考えれば、集めたガスの量が少なかったために核の割合が大きくなったと説明できるってわけ。

 それにしてもどのようにこんなに大きな核が作られたんだろう?これまでの考えでは、コアは地球30個分の質量までしか成長できないはずなんだ。限界ぎりぎりの地球35個分の質量の核を持つ2つの巨大ガス惑星が、互いに衝突して合体してできたって考える人もいるょ。

 下の図はHD149026bの想像図。恒星に近いためにかなり高温で、夜側の部分も1200℃もあり、熱で赤く輝いてるらしいょ。表面のガスの流れの模様はコンピュータ・シミュレーションで計算した結果を基にしたものなんだ。恒星にあまりに近いから、ガスが少しずつ剥ぎ取られているかもしれないょ。



中心恒星データ   
名称   HD149026 
赤経 (h m s) 16 30 29 
赤緯 (°′″) +38 20 50 
距離  (パーセク)  78.9±6.6 
スペクトル型     G0IV 
実視等級     8.15 
質量  (太陽質量)  1.3±0.1 
鉄含有率  (Fe/H)  0.36±0.05 


惑星データ   
名称  HD 149026 b
質量(木星質量) 0.36±0.03
直径(木星直径) 0.725±0.03
軌道長半径(AU) 0.042
公転周期(日) 2.8766
離心率  0
昇交点経度(°) 0
軌道傾斜角(°) 85.3
恒星面通過時(ユリウス日
2.450.000)
3530.751

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