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隊長のエンヤコラム 音楽家と私 その16 『NRBQと私』

2007-09-01 12:05:07 | 隊長のエンヤコラム 音楽家と私
醜悪なラブホテルが林立する渋谷円山町に佇むオンエアー・ウエストに入ると、やけに高いステージの中央で、ホーナー社製のクラビネットがスポットライトを浴びていました。
この楽器がこんな上等な扱いを受けることはありません。
この感動的なセッティングこそがバンドのイメージとポリシーを余すことなく象徴し、彼等を知る者は頬が弛み、胸が高鳴るんです。
NRBQ、ニュー・リズム&ブルース・カルテットの初来日ステージは、こうしてスタートしたのでした。
NRBQの曲はどれも短く、2分半ほどで殆どの作品が完結します。
私が初めて意識して聞いた『ミー・アンド・マイ・ボーイ』もその例外ではなく、その上ポップでキャッチーで明るく、耳馴染みも最高でした。
しかしレコードを聴くうちに「こりゃ、違う」と思いました。耳障りが良いのは最初だけ、良く聞くとエキセントリックでパワフルなロックバンドであることが分かりました。
ユーモアに包んだ反骨精神、野暮と粋をすれすれで綱渡りするセンス。
とりわけリーダーでキーボード弾き・テリー・アダムスのトリッキーな音作りが、私の音楽魂を揺らしたんです。
彼がかき回すと、バンドは一気にアクセルを踏み込みます。
その緩急強弱の妙、醸し出す雰囲気が、ただのロックバンドとは全然違っていました。
オーソドックスな曲はどれ一つとしてなく、時にはアバンギャルドともいえそうな実験まで、平気でやってしまいます。
そして、その主役ともいえそうなのが、クラビネットだったのです。
彼等のライブは聞きしにまさるものでした。
短い曲を何十曲も立て続けに演奏し、レパートリー300曲以上という全米有数のライブバンドの底力を見せつけました。
会場で耳にした「奴等はわざと売れないことをしている」という噂に、男気のようなものを感じて、私は呆然と円山町を後にしました。

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