諸般の事情によりブログを休止していましたが、本日より復帰します。
さて、5月の22・23日と小旅行に出かけた。目的は「飯田線に乗る事」。
今まで飯田線に乗ったことがなかったのだが、友人の話などを聞いているうちに飯田線に乗りたくなって
しまったのだ。
ご存じの方も多かろうと思うが念の為に「飯田線」とは何かを簡単に説明する。
飯田線とはJRの路線で、愛知県の豊橋市から長野県飯田市を結ぶ鉄道だ。一般的なローカル線だが、実は
この路線の間に「秘境駅」と呼ばれる不思議な駅がいくつもあるのだ。
で、pcfxは鉄道マニアでも何でもないが、廃墟好きなのでこの「秘境駅」なる所に憧れをもっていた。
pcfxの家は名古屋市近郊。最寄り駅から豊橋駅まで2回乗り換え、片道1300円くらいかかる。豊橋駅から
各駅停車の鈍行「飯田線」に乗り、60駅近く、片道2500円かけて飯田駅に至る。乗車時間にして約4時間。
家から飯田まで、乗り換え時間もいれて約7時間もかかる。金額にして片道3800円だ。
今回の小旅行の目的は「小和田駅で降りる」というものだ。飯田線の「小和田(こわだ)駅」は全国
秘境駅ランキングで堂々の2位に入るほどの秘境駅だ。まずこの駅まで来る道路がない。つまりこの電車
でしか駅に到達できない。近くに民家はない。唯一、駅から数十分歩いたところに民家がある。その家の
人しか必要としない駅だ。以前は橋があり対岸まで行けたようだが、橋が落ちてからは飯田線が唯一の
足となった。だから郵便配達も警官の見回りも電車で行われる。
この駅はトンネルとトンネルの間のごく狭い空間にポツンとあり、片側はすぐ断崖絶壁、もう片方も少し
下ればすぐに天龍川だ。地図を見ると駅まで道路があるように思えるが、実際に行くと徒歩でしか行けない
山道であり、草に覆われて道なのかどうか分からなくなる。このような状況から「秘境駅」と呼ばれる
ようになったようだ。
飯田線には「秘境駅ランキング」の上位30位までの中に5つも秘境駅が存在する。30位まで中の多くが
北海道にある駅だと考えると、飯田線だけでその内5つを占めるというのが、いかに率が多いのかが
わかる。
で、この「小和田駅」は当然無人駅だ。切符売り場もない。電車に乗って車掌から買うのだ。駅舎に
待合室はあるが扉はない。だから外気温そのままであり、台風だろうが雪だろうがそのままだ。
待合室にはベンチと事務机があり、その机にはノートが置いてある。この秘境駅にわざわざやってきた
物好きがコメントを残していくのだ。pcfxも5/22付けで簡単なコメントを残した。
また、豊橋駅で買った「秘境駅弁当」(¥1000)をその机で食べた。オカズが変わってておいしい。
駅舎を出るとトイレがあり、その先に細い道が伸びている。そこを少し下ると民家の廃墟が2軒ある。
その廃墟には入らなかった。
さて、ここまで読んで「なんでそんなところにいくのか」という疑問が当然出てくると思うが、物好きは
意外に多いもので、全国の物好きや鉄道マニアが「割とポピュラーに」訪れているのだ。pcfxが小和田駅
に降りた際にも入れ替わりに電車に乗る老夫婦を見かけた。
今回の目的は「小和田駅で降りる」だったので、そこで折り返して帰る予定だったが、何時間も電車に
乗っていた為予想以上に疲れ、また何時間もかけて帰るのが億劫になった。そこでとりあえず飯田まで
行って宿泊する事にした。途中、「天竜峡」で乗り換え、飯田に到着した時には日が暮れようとしていた。
飯田線の電車は数タイプあるようで、豊橋から乗ったのは2両編成でドアを手で開ける方式、小和田から
乗ったのはスイッチを押してドアを開ける方式だった。共にシートは直角シートで尻が痛くなる。帰りに
乗った特急はリクライニングシートで快適だったが、特急料金が割高だ。
ところで名古屋には「飯田街道」と呼ばれる「国道153号線」がある。わりとポピュラーな道なので
名古屋人には馴染み深いものなのだが、pcfxは「飯田街道」とわざわざ呼ぶくらいだから飯田はきっと
栄えている街なのだろうとずっと思っていた。だが数年前、初めて飯田に行った際(車で)、飯田駅前
周辺のあまりの寂れっぷりに驚いた。駅前商店はシャッターが降りまくっており、飲食店も異常に
少ない。
そんな飯田駅に再びやってきたのだが、やはり寂れっぷりは記憶通りだった。これだと宿泊にも困るんじゃ
ないかと心配になったが、タクシーの運ちゃんに聞くと、幸いなことに割り安に泊まれるビジネスホテル
は駅近くに二軒あった。どっちに泊まるか悩んだが、駅前唯一のコンビニに近いという理由で、駅から
少し下った所にある「飯田ステーションホテルまつむら」に決めた。受付に人がおらず、備え付けの電話
で呼び出すと女性が出てきた。部屋は空いているという。宿泊料金を聞くと¥5000。まあビジネスホテル
としては普通だ。外観を見ると割と大きなホテルだが、割り当てられた部屋は2階。今まで空いてる時期の
ビジネスホテルで2階の部屋を当てられたことがなかった。大抵は上階から埋めていくものだからだ。
下の階ほど地上の騒音に近いため上から埋めるのがセオリーだ。しかしどうみてもガラガラなのに2階で、
他の客もどうやら全部2階に集中させている。まあ理由は想像できるがここでは書くまい。
部屋に入ると、元からあった照明器具は使えなくなってるようで、後付の蛍光灯がぶら下げてある。
テレビはちゃんと液晶になっていたが、ケーブルTVは引いてないので地デジのみ。アダルト番組はない。
有料ビデオデッキはあるものの故障中。備え付けのアダルトビデオもあるがえらい古い。
要するに古いホテルを頑張って延命させて営業しているわけだ。テレビが新しいということだけでも相当
頑張ったのではないか。部屋は割と清潔でベッドも寝心地がいい。ユニットバスもヒビや水漏れはあるが
キレイにしてある。
このホテル一つから飯田駅前の衰退ぶりが見えてくる。以前は部屋が埋まるくらい客がいたのだろう。
しかし皆が車で移動するようになり、不便な電車を使わなくなったために駅前が衰退したのだ。
翌日朝、朝食を取ろうと思ったが、飯田駅前には朝に開いてる飲食店がない。仕方ないのでホテルの向い
にあるローソンで弁当を買って電車の中で食べた。朝10時に車内で弁当を食べているpcfxを見て、切符
を確認しに来た車掌が笑っていた。
普段名古屋市で生活していると、豊橋などは小さい不便な都市という印象しかないのだが、こうして
飯田から豊橋を見てみると大都会にみえる。飯田線沿線に住む人達は、ネット社会以前にはわざわざ豊橋
まで買い物に出たのだろうと思う。ちなみに飯田から豊橋まで特急に乗ると片道¥5000近い。往復すると
約1万円だ。この価格からしてそう頻繁には豊橋まで出られないだろう。
友人も言っていたが、飯田線をじっくり楽しむには1日や2日では足りない。それを今回身を持って体験
した。せめて3~4日ほしい。次回は「秘境駅」の一つである「中井侍」(なかいさむらい)にあるという民宿
(調べても出てこない)に宿泊するプランも織りまぜて本格的に楽しむつもりだ。
「こんなこと当然知ってるよ」という方も多かろうが、pcfxは「へ~そんなのあるのか」という物好きで
ない方に強くこの「飯田線の旅」を強く勧めたい。起点となる豊橋に割と近い所に住んでいる方に特に
お勧めだ。途中の車窓の風景だけでもきっと驚くことになるだろう。
さて、5月の22・23日と小旅行に出かけた。目的は「飯田線に乗る事」。
今まで飯田線に乗ったことがなかったのだが、友人の話などを聞いているうちに飯田線に乗りたくなって
しまったのだ。
ご存じの方も多かろうと思うが念の為に「飯田線」とは何かを簡単に説明する。
飯田線とはJRの路線で、愛知県の豊橋市から長野県飯田市を結ぶ鉄道だ。一般的なローカル線だが、実は
この路線の間に「秘境駅」と呼ばれる不思議な駅がいくつもあるのだ。
で、pcfxは鉄道マニアでも何でもないが、廃墟好きなのでこの「秘境駅」なる所に憧れをもっていた。
pcfxの家は名古屋市近郊。最寄り駅から豊橋駅まで2回乗り換え、片道1300円くらいかかる。豊橋駅から
各駅停車の鈍行「飯田線」に乗り、60駅近く、片道2500円かけて飯田駅に至る。乗車時間にして約4時間。
家から飯田まで、乗り換え時間もいれて約7時間もかかる。金額にして片道3800円だ。
今回の小旅行の目的は「小和田駅で降りる」というものだ。飯田線の「小和田(こわだ)駅」は全国
秘境駅ランキングで堂々の2位に入るほどの秘境駅だ。まずこの駅まで来る道路がない。つまりこの電車
でしか駅に到達できない。近くに民家はない。唯一、駅から数十分歩いたところに民家がある。その家の
人しか必要としない駅だ。以前は橋があり対岸まで行けたようだが、橋が落ちてからは飯田線が唯一の
足となった。だから郵便配達も警官の見回りも電車で行われる。
この駅はトンネルとトンネルの間のごく狭い空間にポツンとあり、片側はすぐ断崖絶壁、もう片方も少し
下ればすぐに天龍川だ。地図を見ると駅まで道路があるように思えるが、実際に行くと徒歩でしか行けない
山道であり、草に覆われて道なのかどうか分からなくなる。このような状況から「秘境駅」と呼ばれる
ようになったようだ。
飯田線には「秘境駅ランキング」の上位30位までの中に5つも秘境駅が存在する。30位まで中の多くが
北海道にある駅だと考えると、飯田線だけでその内5つを占めるというのが、いかに率が多いのかが
わかる。
で、この「小和田駅」は当然無人駅だ。切符売り場もない。電車に乗って車掌から買うのだ。駅舎に
待合室はあるが扉はない。だから外気温そのままであり、台風だろうが雪だろうがそのままだ。
待合室にはベンチと事務机があり、その机にはノートが置いてある。この秘境駅にわざわざやってきた
物好きがコメントを残していくのだ。pcfxも5/22付けで簡単なコメントを残した。
また、豊橋駅で買った「秘境駅弁当」(¥1000)をその机で食べた。オカズが変わってておいしい。
駅舎を出るとトイレがあり、その先に細い道が伸びている。そこを少し下ると民家の廃墟が2軒ある。
その廃墟には入らなかった。
さて、ここまで読んで「なんでそんなところにいくのか」という疑問が当然出てくると思うが、物好きは
意外に多いもので、全国の物好きや鉄道マニアが「割とポピュラーに」訪れているのだ。pcfxが小和田駅
に降りた際にも入れ替わりに電車に乗る老夫婦を見かけた。
今回の目的は「小和田駅で降りる」だったので、そこで折り返して帰る予定だったが、何時間も電車に
乗っていた為予想以上に疲れ、また何時間もかけて帰るのが億劫になった。そこでとりあえず飯田まで
行って宿泊する事にした。途中、「天竜峡」で乗り換え、飯田に到着した時には日が暮れようとしていた。
飯田線の電車は数タイプあるようで、豊橋から乗ったのは2両編成でドアを手で開ける方式、小和田から
乗ったのはスイッチを押してドアを開ける方式だった。共にシートは直角シートで尻が痛くなる。帰りに
乗った特急はリクライニングシートで快適だったが、特急料金が割高だ。
ところで名古屋には「飯田街道」と呼ばれる「国道153号線」がある。わりとポピュラーな道なので
名古屋人には馴染み深いものなのだが、pcfxは「飯田街道」とわざわざ呼ぶくらいだから飯田はきっと
栄えている街なのだろうとずっと思っていた。だが数年前、初めて飯田に行った際(車で)、飯田駅前
周辺のあまりの寂れっぷりに驚いた。駅前商店はシャッターが降りまくっており、飲食店も異常に
少ない。
そんな飯田駅に再びやってきたのだが、やはり寂れっぷりは記憶通りだった。これだと宿泊にも困るんじゃ
ないかと心配になったが、タクシーの運ちゃんに聞くと、幸いなことに割り安に泊まれるビジネスホテル
は駅近くに二軒あった。どっちに泊まるか悩んだが、駅前唯一のコンビニに近いという理由で、駅から
少し下った所にある「飯田ステーションホテルまつむら」に決めた。受付に人がおらず、備え付けの電話
で呼び出すと女性が出てきた。部屋は空いているという。宿泊料金を聞くと¥5000。まあビジネスホテル
としては普通だ。外観を見ると割と大きなホテルだが、割り当てられた部屋は2階。今まで空いてる時期の
ビジネスホテルで2階の部屋を当てられたことがなかった。大抵は上階から埋めていくものだからだ。
下の階ほど地上の騒音に近いため上から埋めるのがセオリーだ。しかしどうみてもガラガラなのに2階で、
他の客もどうやら全部2階に集中させている。まあ理由は想像できるがここでは書くまい。
部屋に入ると、元からあった照明器具は使えなくなってるようで、後付の蛍光灯がぶら下げてある。
テレビはちゃんと液晶になっていたが、ケーブルTVは引いてないので地デジのみ。アダルト番組はない。
有料ビデオデッキはあるものの故障中。備え付けのアダルトビデオもあるがえらい古い。
要するに古いホテルを頑張って延命させて営業しているわけだ。テレビが新しいということだけでも相当
頑張ったのではないか。部屋は割と清潔でベッドも寝心地がいい。ユニットバスもヒビや水漏れはあるが
キレイにしてある。
このホテル一つから飯田駅前の衰退ぶりが見えてくる。以前は部屋が埋まるくらい客がいたのだろう。
しかし皆が車で移動するようになり、不便な電車を使わなくなったために駅前が衰退したのだ。
翌日朝、朝食を取ろうと思ったが、飯田駅前には朝に開いてる飲食店がない。仕方ないのでホテルの向い
にあるローソンで弁当を買って電車の中で食べた。朝10時に車内で弁当を食べているpcfxを見て、切符
を確認しに来た車掌が笑っていた。
普段名古屋市で生活していると、豊橋などは小さい不便な都市という印象しかないのだが、こうして
飯田から豊橋を見てみると大都会にみえる。飯田線沿線に住む人達は、ネット社会以前にはわざわざ豊橋
まで買い物に出たのだろうと思う。ちなみに飯田から豊橋まで特急に乗ると片道¥5000近い。往復すると
約1万円だ。この価格からしてそう頻繁には豊橋まで出られないだろう。
友人も言っていたが、飯田線をじっくり楽しむには1日や2日では足りない。それを今回身を持って体験
した。せめて3~4日ほしい。次回は「秘境駅」の一つである「中井侍」(なかいさむらい)にあるという民宿
(調べても出てこない)に宿泊するプランも織りまぜて本格的に楽しむつもりだ。
「こんなこと当然知ってるよ」という方も多かろうが、pcfxは「へ~そんなのあるのか」という物好きで
ない方に強くこの「飯田線の旅」を強く勧めたい。起点となる豊橋に割と近い所に住んでいる方に特に
お勧めだ。途中の車窓の風景だけでもきっと驚くことになるだろう。