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今月の売れ筋商品(試食感想等)・流通革新レポート

PosBankシニアアナリストの村上が、座長を務めます。(尚、POSBANKは、商標登録済みです)

三、雑用から逃れて、日本流の単品管理体制に向けて組織改革

2010年06月23日 | 流通革新             
三、雑用から逃れて、日本流の単品管理体制に向けて組織改革

商品部にとって、役割分担(与えられた仕事)を責任(数値責任も含めて)を持って行うことが段々と難しい時代になってきた。
米国と決定的に違う点は、各店舗に自主性(商品の品揃えや発注数量等)を持たせたという点であり、それによって、米国流組織が日本の小売業にそぐわなくなってきた。
数名のバイヤーの業務を一ヶ月間、分析した結果、問題点と思われるところを順不同で抜き出してみると、

① 事故商品が発生し、その対応に追われる
② 商品の投入管理(店舗へ)業務が定常的に発生する
③ 同僚バイヤーとは、雑談程度であまり情報交換はしない
④ 会議用の資料作り(ワープロ)に追われている
⑤ 店舗からの問い合わせ(納品)や相談等の電話対応

等であり、その合間を縫って、本来の業務である、

① 商品政策業務(方針、仕入基準、品揃基準等の作成)
② 商品計画業務(商品の仕様の確定、契約、売上計画の立案等の作成)
③ 販促業務(チラシと商品とのチェック、各種予算とのチェック)
④ 仕入先との商談(商品見本のチェック、契約)
⑤ 単品ABC分析(消化率のチェック、値下指示)等のデータ分析、傾向分析
⑥ 店舗向け商品案内書の原稿作成

等の業務を行っているが、各業務とも時間が足りないため、雑な処理で済ませている。
また、その他に以外と無駄な時間を費やしているのが、

① 手作業での各種分析資料(会議用、報告用、資料用)
② 単純な転記作業
③ コンピューター出力帳票の分析(異常値等の数値チェック)

等であり、現状の作業をこなすのが精一杯で、顧客ニーズの把握やニーズ商品のイメージ(対応)等の商品企画まで、手が回っていない。
しかも、顧客情報の収集は、極端な言い方をすれば、POS分析と仕入先からの情報だけを吸い上げて、商品を契約(仕入)している。
これに並行して、店舗側の業務分析も行っているが、結論は、「商品に関することは、すべてバイヤーに」であり、商品に関する疑問、仕入、発注、品揃、陳列、値下処理等で分からないこと、確認したいこと、相談したいことは、すべてバイヤーに直接電話をして聞いている。これでは、バイヤーは仕事にならないのも無理はない。
どの小売業でも、バイヤーの仕事には、書類上での業務分担と実際に行っている業務内容との間に大きなギャップがあり(雑用が多い)、それなりに努力をして、「売れるだろう」商品を導入しているつもりだが、実際にはなかなか売れず、販売指導、陳列の仕方、商品のトラブル等の後処理に時間を費やしている。
本来の商売は、一人の人が良い商品を仕入れ、その商品の良さを勧めながら売り、お客様に喜んでもらうことが理想である。
しかし、企業として、あるいは、チェーンストアとしては、それぞれの業務を分担し、組織として商売を行うためには、分業化する必要がある。が、今のチェーンストアにおいて、ほとんどが個人商店の出身である。それゆえ、売上が上れば、人を増やし、店を作り、そして、組織ができ、職務分担ができ上がった、後追いの体制が採られている。そのため、上流工程である商品計画、商品企画等は、バイヤー個人が商品情報やノウハウをしまい込みがちで、店舗や同僚とのコミュニケーションが悪く、組織が硬直化している。
業務改革で一定の成果をあげたI社は、業務改革を継続しながら、次は、店舗に焦点をあて、店舗自らがマーケットニーズを把握し、その状況と商品計画(企画)を踏まえた上で販売計画を立てる方法に変えた。
従来は、企画部が大枠の販売予算を立て、店舗と調整し確定する方法が採られていた。店舗とすれば、どちらかと言うと予算を押しつけられた面があり、積極的に達成しようという意欲にかけていた部分があったため、店舗が自主的に販売予算を立案し、責任を持って達成する仕組みに変えたのである。
そのため、バイヤーが立てる商品計画の精度や店舗に対する販売面の支援体制が課題として上がり、バイヤー、ディストリビューター、スーパーバイザーの役割を明確にして、それぞれの業務を無理なくこなして行けるような組織の整備を行った。
ここで、第三章の一(売れ筋を探す・創る・把握する)で取り上げた各担当者の役割分担を更に、詳細に説明すると、

① バイヤーの役割(商品企画のコーディネーターであり、商品のプレゼンテーター)
・ 商品情報(素材、デザイン、色等の傾向・開発、生産、販促等の計画情報・新商品のアイデア、既存商品の問題点等)の収集および分析
・ 商品の企画、開発(メーカーとの開発チーム)、仕入、(仕入先との交渉・契約・納入方法、代替仕入ルートの確保)
・ 商品の導入理由(なぜ仕入れたのか、いくらでどのように売って欲しいのか)

② ディストリビューターの役割(商品の物流コントローラー)
・ 商品物流に関するすべての窓口(対店舗、対仕入先)
・ 店別数量の決定と納品(衣料)、市場等からの商品仕入(生鮮)
・ 発注から納品までのシステム上の改善

③ スーパーバイザーの役割(販売のコンサルタントであり、商品のコミュニケーター)
・ 販売・商品等の商品経営に関するすべての窓口(対店舗…商品の説明や導入した理由)
・ 単品管理の指導(品揃えや陳列を含めた売り場の状況)
・ 店舗で捉えた商品の反応等の情報を報告(対バイヤー、対ディストリビューター)

等である。
バイヤーには、ルーチンワークをはずし、本来のバイイング活動に専念できるように、また、ディストリビューターには、商品が必要な時に、必要な量を店舗に届けることができる仕組み作りに専念できるように、更に、スーパーバイザーには、「売れる商品」を店舗に紹介する役割を持たせ、なぜ仕入れたのか、いくらでどのように売って欲しいのかを理解した上で店舗に売り込む、等と言った各々の体制を整え、役割分担を明確にする。
その後の商品の販売に関する責任は、店舗が負い、運用上のフォローは、ディストリビューターやスーパーバイザーが援助するという大胆な組織改革を行う。
日本の小売業の場合、中々業務の機能がうまく機能しない、長年の士農工商と言うか、
リーダーシップの在り方が欧米と基本的に違うため、一人の親方日の丸的な指導者と黙ってついていく従業員(考えることをしなくなる)に慣れきってしまい、自分から仕事を作り出すことができない体質を、180度変革(自分で考えて、積極的に行動を起こす体質)をする必要がある。


二、ますます、厳しさが増す小売業

2010年06月17日 | 流通革新             
二、ますます、厳しさが増す小売業

つい数年前まで、「小売業は、簡単に儲かっていいですね」とか「小売業は、楽でいいですよね」等と言われ、「何故ですか」と聞き返すと、

① 売れている物を安く仕入れて、高く売れば良い
(客は、高ければ値打ちがあると思っているのだから)
② もし売れなければ、値下げして売れば、大半は売れる
(店は、もう、十分儲けているのだから、もっと安くしてよ)
③ 売れ残りは、メーカーに返品すれば良い
(メーカーが絶対売れると言ったけれど、やはり、売れ残ったので返す)

等と言う答えが返ってくる。現在の状況が、嘘のようである。
現在、どの小売業も「業務改革」、「業務の再構築」、「B・P・R」に取り組んでいるが、子会社等からの撤退、部署を廃部、新入社員の削減、高年齢者の早期退職勧奨等、人員削減、人件費削減と言ったことが中心で、実質的な「業務改革」自体は、はかどっていないのが現状である。
業務改革がはかどらない上に、現在の消費不況では、物が売れない、店頭の過剰在庫、利益の低下、資産の目減りと言う、八方塞りの状態に於いてはどうすることもできない。会社が、何も変わらなければ、最悪の状況が訪れることは間違いないだろう。
そこで、業務改革が先行している数社を参考しながら、マーチャンダイジング・サイクル(図表4 ─ 21、4 ─ 22参照)の変革方向の手順を挙げてみると、

① 意識改革(方針・考え方の意思統一)
・ 「お客の立場」で、考え、判断する(会社の立場は二の次)
・ リスクを安易なやり方で回避しない(他社に押し付けない)
・ 与えられた役割は責任を持って遂行する(当たり前のことを当たり前にする)
・ 行動は実行計画を立て、結果を検証する(プロセスも重要・失敗を次に生かす)
・ 地域(商圏)に密着した、品揃えをする(全国統一ではない)

② 業務改革(業務遂行上の矛盾・慣習等の問題点抽出と改善)…顧客と店の関係
・ 売上が伸びなくても、利益を上げる体質
・ 顧客ニーズの先取りではなく、追従して素早く対応
・ 商品経営(お客様中心・売れ筋、死に筋)
・ 業務分担(役割)の明確化(業務分析)
・ 情報の集中化と共有化
③ 組織改革(論理的業務の遂行、業務内容の見直し)…店と本部の関係
・ 業務内容の明確化(業務分析)
・ チーム、リスク、グループ、マーチャンダイジング(量から質へ)
・ 顧客ニーズの対応(情報源を幅広く求める…バイヤーはコーディネイター)
・ 商品経営の深耕(個店対応…スーパーバイザー機能の強化)
・ 単品管理の徹底(本部割付から店発注・販売、売れ筋・死に筋管理)

である。
しかし、意識、業務、組織を改革しても、基本は、顧客ニーズに対応した商品を「売る」のではなく、「売れる商品」を選択するのである。あるいは、開発し、販売すると言うことである。そして、それぞれの業務を牽制する仕組みを目指す必要がある。
ある特定の店舗や特定の部門の業績が悪いと、店舗の担当者がバイヤーに泣きついて数字(リベート等)を操作したり、売上を上げるために店舗で勝手に、安い商品を仕入れたり、決められた範囲外の値下げを行ないながら、管理資料等に計上している。また、月末の仕入を翌月に計上したり、棚卸の時には、シーズン終了後の売れ残り商品(翌年には売れない不良在庫)を正常在庫として処理し、粉飾利益を出す等、店舗、バイヤー間で馴れ合いの部分が多く残っている。
このように、店舗の数値を粉飾した場合、本部では、店舗の実態が見えないので、販売面でのサポート(不振店対策)ができない等の弊害が発生する。その後、実態が判明した時にはもう既に手が着けられず、スクラップ&ビルドもできない状態で放置され、全体の数値に影響を及ぼすようになってから始めて、対策が練られる。しかし、この段階ではほとんど手後れという状態になっている(ガンの発見とその処置と同様である)。
業績を粉飾する原因の一つが、馴れ合いである。そのため、I社グループでは、業績管理(店別部門別損益、部門別店別損益等の金額管理)のために、企画部所属でコントローラーと呼ばれる計数管理者が各部(店舗では、統括マネージャーが代行)に張りついて数値等を管理する制度が従前からあり、各部が相互監視(それ程大袈裟ではないにしても)できる体制を整えていたため、ある意味では不正防止(数値改ざん等)が図られていた。
ただし、このコントローラー制度には、各部部長をサポートする機能やシステム(仕組み)を円滑に運用する、あるいは、予算の作成、その他各種の問題を部門間で調整する役割を持っている。
この仕組みで、経営管理面(ダラー・コントロール)での運用は、効率的に行われていたが、問題は、単品管理面(ユニット・コントロール)にあった。
小売業の商品部組織及び役割を簡単に要約すると、ほとんどの企業が米国の小売業の影響を受けて、職務分担、職責名等も同様に使われている。基本的に商品政策、商品計画(開発)、仕入・納品、販売指導まで一貫して行う人をマーチャンダイザーと呼び、商品について最初から最後までマーチャンダイジング・サイクル全体の面倒をみている。
ただし、店舗への安定供給(配荷)管理を行っている人をディストリビュータと呼び、物流センターに常駐して、店別単品データを分析して、商品を店別に振り分けている。
日本の場合も基本的には、同様で、マーチャンダイザー(MD)、あるいは、バイヤー(BY)と呼んでいる。そして、店舗の発注数を管理し、店に商品を安定供給(ルーチンワーク)する役割を担っている人をディストリビュータ(DB)と呼び、本部、あるいは、地区別に配置され、本部集中管理でマーチャンダイジングを行っている。
商品が売れている時であれば、この組織において大した問題はなかったが、現在のように商品が売れない、利益が上がらない、しかも、急激な環境の変化が起こっている中では、数々の問題が発生している。
21世紀に入り、初めの10年が過ぎようとしていますが、新たの言葉としてファスト・ファションという言葉が生まれた、20世紀には、マクドナルドのハンバーガーをはじめとしたファスト・フードの対抗として衣料の分野に出てきた。
今や、ユニクロ、H&M、そしてフォエバー21と続々とファスト・ファション企業が名乗りをあげている、これらの企業の特長は、製造機能付き小売業である。
21世紀は、製造業と小売業がドッキングして、製造から販売迄、一貫した企業形態になるだろうし、業務改革の手順①まず、改善②そして、価値の追求③さらに、無駄や不要なものを省いた改革というステップになる。


第14回・・・アイスクリーム(5月9日アイスクリームの日です。~勝手な感想)

2010年06月14日 | ランキング上位試食・試飲
 POSBANK売れ筋商品分析10人の会 第14回 報告書                
日  時: 平成22年6月8日(火曜)15時~     場  所:805 F
                
出 席 者: 村上氏・井上氏・広瀬氏・介田氏・宮崎氏・白石 (6名)

≪まとめ≫:
お忙しい中、10人会に参加くださいまして、大変有難うございました。
第14回のテーマはアイスクリーム(スティック)です。

アイスクリーム(5月9日=アイスクリームの日)
日本アイスクリーム協会が1965(昭和40)年に制定しました。
 1869(明治2)年、町田房蔵が横浜の馬車通りに開いた「氷水屋」で、日本初のアイスクリーム「あいすくりん」を製造・販売したのがこの日です。
 1人前の値段は2分(現在の8000円相当)で、一般に普及し始めたのは30年後でした。


今回アイスクリーム(スティック)をとりあげます。
季節は梅雨の時期、ムシムシジメジメしてきます。そして暑い夏ももうそこまできています。
冷たいアイスクリームが欲しくなりますね。そこでコンビニアイスを覘いてみましょう。    





内容(商品チャート)については添付資料の通りです。

≪次回10人会について≫:
日  時: 平成22年7月13日(火曜)15時~     場  所:805 F
カテゴリー:・・・お茶(特定保健用食品)

 以上です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。





                              


第四章  マーケット・マーチャンダイジング戦略 一、現在の商品情報では、真の顧客ニーズは捉えられない

2010年06月07日 | 流通革新             
第四章  マーケット・マーチャンダイジング戦略

一、現在の商品情報では、真の顧客ニーズは捉えられない

現在のチェーンストア、コンビニエンス・チェーンでの商品情報は、自チェーン・自店での範囲内顧客(来店客)から収集し、単品管理、すなわち、部門別単品ABC分析を行い、Aランク商品は売れ筋商品、Bランク商品は死に筋に近い商品、Cランク商品は死に筋商品としている。Bランクにしろ、Cランクにしろ導入日が浅い商品については、売れ筋予備軍として捉えている。
システム上、Cランク商品については、本部バイヤーが残して欲しい商品(商品を導入してから日が浅い)のみシステム担当に申請して残してもらい、後の商品は、自動的にカットされる仕組みになっている。
それは、本来であれば、バイヤーがCランクの続いた商品について、一つ一つ吟味し、カットする商品の対象を判断しなければならないところを、バイヤーの「手間」を省くためだけに二、三ヶ月間Cランクの続いた商品をカット対象として、無条件に、かつ、「自動的」にカットしてしまい、扱い商品を減らしてきたのである。
さらに、バイヤーの判断(顧客ニーズにあった商品)だけで、売れると思った商品が選定され、あるいは、開発して商品が投入されるのである。結果的に売れる商品(Aランク)はたったの1割程度ではあるが、それでも、今までは何とか利益を出すことができた。
しかし、現在の消費不況では、顧客自身、必要最低限の商品、必要量だけに絞って商品を購入しているため、店舗内には在庫が多い。しかも、ほとんどが不良在庫になってしまう。
前に記述した内容からも伺えるように、小売業にとって、基本的な問題点がいくつも内在している。

① バイヤーの手間を省くことが、商品選定上の慎重さを欠いていたのではないか
(省力化優先で、手間をかけなければいけないことまで省力化していたのではないか)
② バイヤーの判断(少ない情報源)だけで、顧客ニーズ商品として良いのか
(商品知識優先、思い入れ商品が優先され、本当に顧客ニーズ商品だったのか)
③ 顧客ニーズの収集に偏りがなかったのか
(来店客のみの単品ABC分析で、商圏ニーズが把握できたのか)
④ 店舗内の在庫過多による利益の圧迫
(新商品の導入抑制と補充・追加発注抑制によるメーカー経営の圧迫)
⑤ 店舗内の不良在庫の処分方法
(値下げしても売れない、不良在庫による他商品への影響)

等が挙げられる。
それでも、以前は、店舗内の改善、あるいは、本部内の改善だけで、何とか利益を圧迫せずに吸収してきたが、現在の経済環境、消費不況下では、いかんともしがたい。抜本的、根本的に、「改革」を行わないと、小売業だけでなく製造業も、ほとんどの企業は自然淘汰されてしまう。
では、何から「改革」していかなければならないのか。焦点は一つ。いかに「死に筋」をなくすかと言うことである。その上流工程は、「売れるであろう商品」ではなく「売れる商品選択であり、売れる商品作り」しかない。
そして、どちらも、商圏内の顧客ニーズを的確に捉え、それに対応した商品をいち早く店頭化(陳列し、訴求)して、販売する仕組みを構築しないと、変化に追従できない。
今までのマーチャンダイジング・サイクルでは、「顧客ニーズを捉える」時に優先されていた情報がPOS分析データ(図表4 ─ 11参照)である。
これは、あくまでもお買上客の情報であり、導入した商品が来店客のニーズに対応しているかどうかの検証用の分析であって、商圏、あるいは、見込客(マーケット)のニーズではない。このことに、チェーンストア側は、気付くのが遅過ぎたし、また、過大な期待をかけ過ぎていた。
お買上客のデータだけで単品ABC分析を続けて行くと、売れ筋商品がだんだん限定(縮小)されてくる。また、同時にニーズの変化によって、売れ筋だった商品も死に筋商品となってしまうこともあり、限られた情報の元での分析では、死に筋商品を増やしてしまう結果になりかねない。
もしかしたら、その中の商品に、見込み客や商圏内顧客のニーズ商品が含まれていた可能性が多分にあり、浮動客を集客できない(何も魅力のない)店舗では、チャンスロスが発生することになる。
商圏、あるいは、見込客(マーケット)のニーズを把握する上では、単品ABC分析のデータは「属性」(素材、色、サイズ、デザイン、量、価格、添加物、機能等)を指すが、これらの「属性」を分析すると言うことは、お買上客の傾向の把握や、商圏、あるいは、見込客(マーケット)のニーズを想定するに過ぎない。
従来は、マーケット・ニーズを把握する役目をメーカー、あるいは、仕入先にお願いしていた(情報の提供)。しかし、これも、自社や自社扱い商品の情報と他チェーンでの動向が中心で、商品情報による売り込み(自社都合が優先)と言ったようなものであり、とてもとてもニーズ情報とは言い難い、偏った情報であった。
たとえば、自社で抱えている在庫品の処分(安く)をすすめたり、他チェーンで売れているのか、いないのか調べもしないで、さも売れているように商談したり、理論武装(素材、機能、ターゲット、流行等)なしに良い商品だからと言って押し込んでみたり、やり方は、いろいろあるが、「情」=ウェットの商売が中心であった。
これからの、営業は、「理」=ドライの商売に変革して行く必要がある。すなわち、データに基き、顧客ニーズ(環境問題等含む)をどう捉え、捉えたニーズをどのように「商品に反映」するのか、その商品の効果等は、どの程度保証できるのか、鮮度維持、使用上における注意点はあるのか、商品の差別化なり価値は何なのか、等を理論的に説明する必要がある。
一方、小売業は、顧客ニーズを的確に捉えるために、正確な情報(現状・先取り)を提供してくれる情報源、すなわち、「仕入先で言えば、営業情報ではなく開発情報の入手」等の整備(多い程良い)とその情報の真贋を見極める機能・判断を持つ必要がある。
判断した結果、開発・導入した場合の販売責任は、当然ながら小売業が全責任(リスク)を負い、製造責任はメーカーが負うことで、各々の責任範囲を明確にする。
そう決めても、売れ残った商品は返品できる。あるいは、返品しても良いという条件は、過渡期には残ってしまうかもしれないが、絶対に無くしていかなければならない。
コンビニのPOSデータを分析してみると、スーパーマーケットの売れ筋商品が如何に偏っているかがわかる、すなわち、コンビニの客層別データの女性の大人(主婦層)とスーパーマーケットの売上データが全く似通っていることが判明した、これは、何を意味するかと言うとスーパーマーケットのデータは、顧客データではなく購買者(主婦層)中心のデータであり、顧客全体のニーズではない。(スーパーマーケットのデータは、価格弾性…低価格や特売商品やタイムセール、訳あり商品等数量が大幅に変化する)