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集まれ スピーカー好き!

スピーカーやオーディオに興味がある方に、いろいろな情報を発信していきたいと思っています。

真空管オーディオフェアの出品内容について(1)

2010年10月05日 23時50分53秒 | オーディオ


こんばんは。今日はお約束の真空管オーディオフェアの出品内容です。
今日からフェアまで毎日、少しずつお知らせしていきますので、お楽しみに。

さて第一弾は、写真左側に写っている5cmウッドコーン(DCU-F071W)をダブルで使用したシステムです。
実はこのちびっ子ウッドコーンを商品化する時からWユニットの構想は持っており、インピーダンスをPARCで多い6Ωにしなかったのも、そういうことが少しありました。5cmウッドは4Ω仕様ですので、今回のシステムはシリーズ接続にしています。

で肝心の音ですが、予想通りというか、やはりWユニットのおかげで、シングルユニットに比べて余裕たっぷりのゆったりとした鳴り方をしてくれます。シングルユニットのPARC初の塗装付きキット(DCK-F071W-C)も5cmユニットとしてはかなり生意気な音を出してくれていると自負していますが、やはりこのWでの音を聴くと、その差は結構大きいですね。ユニットを複数使いすることのメリットというのは、この余裕感ですが、聴感上の歪み感も大きく改善されるのも忘れてはならない大事なポイントだと思います。

フェアではシングルのものも音出ししたいのですが、さすがに会場の大きさを考えるとやはりこのW使いのお兄ちゃんに頑張ってもらった方が良いかと思っています。別室のセミナー会場では、両方のシステムを用意したいと思いますので、その差を確認されたい方はそちらでリクエストをしてみてください。

明日は、PARCとしては初の試みである1コイン(500円)試作ユニットの販売についてです。では今日はこの辺で。
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10cm限定ウッドコーン(DCU-F122W)入荷日程のお知らせ

2010年10月04日 23時42分33秒 | オーディオ


こんばんは。
今日は10cm限定ウッドコーン(DCU-F122W)の入荷日程のお知らせです。
と言っても、実は予定より遅れて入荷することになりました。先週からずっと中国をプッシュしていたのですが、工場からの出荷自体が少し遅れたことに加えて、中国の通関が大幅に遅れたため予定していた船に載せることが出来なかったことが原因です。
ニュースでも報道されていますのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、最近問題となっている尖閣列島の問題がらみで中国サイドが日本向けへの通関を非常に厳しくする措置をしており、これと10/1から始まった中国の長期休暇(国慶節)とが重なり、想定以上の時間がかかったというのが実情のようです。
ということで、販売店様にお届けできるのが10/25前後になりますので、ご予約をいただいている皆様には何とか10月中にはお渡しできるのではと思います。本来なら、真空管オーディオフェアに是非間に合わせたかったのですが、まぁ上記のような事情もあり、何卒お許しください。ちなみに同じ便で、現在メーカー欠品中の8cmウッドコーン(DCU-F101W)と、13cmウッドコーン(DCU-F131W)も入荷します。
それにしても尖閣の問題がこんなところにまで影響するとは夢にも思いませんでした。一日も早く収束することを祈るばかりです。

ところで今日は真空管オーディオフェアの情報をお知らせする予定でしたが、今回は展示や販売品が多いのでまだまとまっておらず、もう少しお待ちください。では今日は短いですがこの辺で。
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スピーカーとアンプとの接続について

2010年09月24日 23時55分14秒 | オーディオ
今日はよくいただくご質問についてです。
その内容とは、ユニットのインピーダンスとアンプとの関係に関する下記のようなものです。

「PARCのユニットを使いたいのですが、6オームのユニットは真空管アンプのどの端子に繋げばいいですか?」

「PARCの6オームのユニットを2個パラ(並列)接続で使いたいのですが、アンプはOKでしょうか?」


おそらく、このご質問は一番多くいただくものではないかと思います。でいつも私は下記のように回答させていただいております。
「申し訳ありませんが、この質問に関してはスピーカーメーカーではなく、お使いのアンプメーカー様にご確認いただくのがベストです。」

皆さん、最初はこの回答で少し驚かれることが多いのですが、特に最初の質問などはスピーカーメーカー側が回答する内容ではないのです。つまり4Ω端子と8Ω端子のどちらが6Ωユニットと相性がいいかは、アンプによっても相性があるようですし、やはりスピーカーメーカーが勝手にどっちというのはちょっと越権行為といった感じなのです。スピーカー側はあくまでパッシブ(受動的)な立場であり、鳴らされる側ですので。

後の方の質問は信頼性に関わることでかなり重要なことなので、ここでちょっと補足説明をしておきたいと思います。アンプとスピーカーの関係で皆さんが一番恐れているのは、間違った接続をして機器が壊れることがないかということかと思いますが、ここでアンプとスピーカーの関係で故障が発生するケースはおおよそ下記のようなものになります。

スピーカーが壊れる場合
1)アンプからDC(直流)分が流れて、スピーカーのボイスコイルが+(前面)か-(後面)のどちらかに張り付いて動かなくなり、完全に電気コンロ状態となって焼損する。
 →これは接続の問題というより、アンプそのものの動作不良であり、一般的にアンプではDC分を出さないようにプロテクターが装備されていることが多いようです。昔の話ですが、安いミニコンポなどのアンプとのセットもので、パワーテストをしたらアンプの不良でDCが発生し、結果としてスピーカーが壊れて、最初はスピーカー設計者が犯人にされたなどという笑えないこともありました。

2)スピーカーの許容入力以上の入力を入れて、スピーカーが壊れるもの。
これも接続の問題ではなく、使い方の問題です。

アンプが壊れる場合
3)上記のように大パワーを入れすぎたりしてスピーカーが壊れた時に、スピーカーのボイスコイルの線材が絶縁不良を起こしてショート状態になった場合、アンプの負荷がショート(短絡)状態つまり(インピーダンスは0Ω)となり、結果としてアンプに過電流が流れて壊れる場合。
→これはアンプから見れば、ショート状態になったスピーカーが犯人ということになりますが、スピーカーから見れば壊れるような大入力を出したアンプが悪いということになり、まぁ微妙なところです。(^^;
ただこれも一般的なアンプでは、過電流に対してのプロテクターが装備されていることが多いようですので、最近ではアンプが壊れるケースは少ないのかも知れません。なお知人の話では、真空管アンプでは入力電源のところにフューズを入れているだけのものもあるようで、この場合は最終的にはフューズが切れてストップしますが、それまでに結構深刻なダメージを受けることもあるようですので、まぁ保護回路が働くような状況にしないようにするのが基本でしょう。

ちなみに、スピーカーが壊れる時にボイスコイルがショートになるかオープンになるかは結構微妙で、必ずオープンになるように設計することは難しいので、ユニットが壊れた場合に最悪はショートになることもあると覚悟しておいてください。また許容入力が高いユニットほどなかなか死なず電気コンロ状態になって最後は煙を出したり最悪発火なんていうことも無いとは言えませんので、まぁそれを防ぐ意味でも、スピーカーに実力以上の入力を入れないようにすることが最善の方法かと思います。

4)ユニットのインピーダンスが低すぎて、アンプの設計時に想定された以上の電流が流れて、アンプが壊れる場合。
冒頭のご質問はこのケースになります。ただこの場合、壊れるのはあくまでアンプであって、スピーカー側はインピーダンスが何Ωだろうが全く関係ありません。そのため、重要なことはお使いのアンプが最低インピーダンスを何Ωまで保障しているかということであり、これを確認するためにはやはりアンプメーカー側に聞くしかないのです。
基本的な話ですが、スピーカーを複数個接続する場合、シリーズ(直列)に接続する場合はインピーダンスは足し算でどんどん大きくなりますので、アンプは全く問題ありません。ただパワーが出せなくなるということだけです。
問題になるのはパラ(並列)接続する場合で、この時は総合インピーダンスは例えば2個パラの場合半分になってしまうので、要注意です。ユニットを4個使うような場合は、シリパラ接続が可能で、この場合は総合インピーダンスは同じになるので、一番楽な方法です。下記にそれぞれの接続についてまとめましたので、参考にしてください。特に各ユニットの極性には注意してくださいね。+-を間違うと逆相になって、とんでもないことになってしまいますので。




さて今日は非常に基本的な内容でしたが、参考になりましたでしょうか。次回は、そろそろ近づいた真空管オーディオフェアの出展内容について少しお話したいと思います。では今日はこの辺で。
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analog誌で記事が掲載されました。

2010年09月15日 23時54分24秒 | オーディオ



こんばんは。今日は、ちょっと嬉しいお知らせです。
本日発売のanalog誌でPARCの17cmユニット3モデル(DCU-C171PP, DCU-C171W, DCU-F171P)と、キットの記事が掲載されました。今回の取材はほんと急に決まったので、準備の時間が全く無く、手元にあったサンプルをとにかく送ったという感じでしたので、どんな記事になるのか心配しておりましたが、記事を見てみると予想以上のご評価をいただき、ほんと安心しました。出来れば、ここに記事の内容を載せたいところですが、それは著作権の関係で出来ないので、ご興味のある方は是非本屋さんに行ってみてください。

ちなみに当初の予定ではキットをメインにした自作スピーカーについての記事とのことでしたが、時間の関係で17cmの3つのユニットをメインに、それぞれのユニットの特徴などを試聴を中心に進めるといった感じになっているので、例えばコアキシャルはウッドとPPどちらにしようかなどとお悩みの方には非常に参考になるかと思います。試聴されたのは炭山さんで、前回コイズミ無線様で行われた10cm限定ウッドコーン試聴会でもお世話になった方です。先日の試聴会でも、「私はスピーカークラフトの世界を盛り上げられることなら、何でも協力していきたい」とおっしゃっていましたので、PARCに限らずクラフト業界には強い味方となっていただけるのではと思います。



それとこれも急遽決まったことですが、5cmウッドコーンに続き、17cmでも塗装付きキット(DCK-171-C)を正式にレギュラーモデルとして発売することを決めました。本当は限定生産で来月の真空管オーディオフェアで販売する予定で進めていたのですが、せっかく雑誌に紹介していただくのに限定生産というのもちょっともったいないなぁと思い、急遽レギュラー化を決めたところです。まだHPには掲載していませんが、定価は58,500円(1ペア・税込み)で、例えばPPコーンコアキシャルとNWのセットで定価が10万円をほんのちょっぴり超える感じですので、おそらく店頭での実売価格では十分10万円以下でシステムが完成します。自分ではかなりコストパフォーマンスの良いものに出来たのではと、ちょっと自己満足しております。(^^;
これの仕様は、昨年の真空管オーディオフェアで限定発売したものと全く同じですが、内寸は推奨箱と同じで、MDF(t18)+補強桟となっています。国内製のMDF(t21)補強桟無しと比べると、ウレタン塗装ということもあって、よりゆったりと鳴ってくれる感じですので、初心者の方にも非常に扱いやすいものになっております。現物は今年のフェアでもデモ予定ですので、是非お聴きいただければと思います。では今日はこの辺で。
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第16回真空管オーディオ・フェア出品について

2010年09月07日 23時13分47秒 | オーディオ


こんばんは。今年も早いものであと1ヶ月ほどで真空管オーディオ・フェアの開催となりました。前に少し速報したかと思いますが、PARC Audioは今年も出展いたします。もちろん、一番安価な大部屋ですが(^^;)  今年は不景気のせいか大部屋を希望する出展社が増えたため、大部屋は4Fと5Fの2フロアとなり、1部屋あたりが昨年の6社から5社へ減りましたので、若干ではありますがデモの時間が増えることになりそうです。PARCは4Fに出展しますが、同じ部屋で長谷弘工業様とファインウェイブ様が出展予定です。長谷弘工業様ではこのフェアに合わせて限定発売されるDCU-F122Wを使ったバックロードモデルを、ファインウェイブ様では17cmコアキシャルウッドコーンのDCU-C171Wをデモスピーカーとしてご使用予定ですので、3つのブースでPARCのモデルをいろいろとお聴きいただくことができそうで、今から本当に楽しみです。ちなみにPARCのブースでは、17cmPPコーンコアキシャル(DCU-C171PP)と5cmウッド(DCU-F071W)というPARCの一番のちびっ子モデルと一番大きいモデルをデモしようかと大胆に考えています。それから、現在進行中のプロジェクトFの試作ユニットも何とか展示だけはしたいと考えています。ただしこちらは音出しは間に合わないと思いますので、ご勘弁を。

それと今年はそれに加えて、セミナールームにもTAKET社様と共同出展することになりました。場所は同じ4Fの408号室で、こちらは1日1回、計2回のデモとなりますが、基本的にはお客様からの希望のシステムを使い、各1時間出来るだけ音出しを中心に行いたいと考えていますので、是非お好きなソフトをお持ちいただければと思います。私はPARCのブースもあるのでこちらにはフルで参加できないとは思いますが、まぁ音出し中心ですので何かご質問等があればセミナーの終了後にブースの方にお越しいただければと思います。当日デモするモデルはまだ最終確定はしていませんが、一応今の予定ではDCU-F071W(5cmウッドコーン)、DCU-F101W(8cmウッドコーン)、DCU-F121W(10cmウッドコーン)、DCU-C171W(17cmウッドコーンコアキシャル)などを考えています。もちろん全てのモデルで、TAKET社のいろいろなスーパートゥィターをON/OFF切り替えて視聴できますので、ウルトラハイが音質にどのような影響を与えるかという楽しみ方もありますね。デモの日時は下記になります。お時間の調整が可能であれば、是非下記の時間にお越しいただければ幸いです。

*10/10(日) 12:30~13:30
*10/11(月) 14:00~15:00


それからフェア好例の会場特価モデルですが、今年は昨年以上にいろいろと面白いものを用意しようと考えていますので楽しみにしていてくださいね。詳細は10月になってから正式に発表させていただきますが、レギュラーモデルの会場特価での販売はもちろんのこと、1コイン(500円)での試作ユニットの放出とかもあったりして・・・・。まぁお楽しみは10月にということで、今日はこの辺で。
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マグネットについて(おまけ編)

2010年09月01日 23時55分29秒 | オーディオ

こんばんは。前回マグネットの最終回がちょっとあっさり過ぎたとのコメントがありましたので、今日はおまけ編として今までの経験での私の各マグネットについての印象をちょっと書いてみようと思います。今日の話はかなり個人的な思い入れや私見ですので、その辺はお許しを。

マグネットについての印象と言えば、私が一番強烈な印象を持っているのはやはりアルニコマグネットです。今まで設計した中で、何回かアルニコとフェライトとの音質差について検討を行いましたが、一番分かりやすい例としてはSONYのプロ用ユニットのSUP-T11とSUP-T12でしょう。



この2モデルは、全く同じ振動系を採用しており、違いはフェイズプラグとスロートの材質差(これの影響ももちろんありますが)とマグネットの差(T11はアルニコ、T12はフェライト)だけなのです。当然特性などは全く差が無く、特性だけで言えば同じ音が出てもいいはずなのですが、まぁそんな甘い話にはならないのがスピーカーの奥深いところです。両モデルの音質の違いを一言で言えば、私は音の柔らかさの差だと感じています。音が柔らかいというと、なんか音が甘いというような印象を持たれる方もいらっしゃるかも知れませんが、むしろ逆でアルニコのT11の方がはるかに解像度は高いのです。別の表現で言えば、音が自然な感じということになりますね。フェライトのT12の方は音の細部にちょっと余計なヒゲがつくような感じで、これをシャープな音と好意的に感じる方もいるかも知れませんが、私自身はこの手の音は苦手で、歪みの多い音という印象が強く、音量を上げていくとその差はさらに大きくなっていきます。前にも書いたかも知れませんが、解像度や音の分解能を上げながら、聴きやすい柔らかい音を出すということは技術的に本当に難しいものです。単に柔らかい音を作るのは簡単なんですけどね。

ではその音質差はどうして出るのか? これもいろいろなメーカーが研究していたことかと思いますが、私の知る限りこれが決定的な要因だというレポートは見たことがありません。私が若い頃(随分昔です)、某大手マグネットメーカーがアルニコの導電率の低さに着目して、導電率をかなり改善したフェライトマグネットを開発していましたが、確かに若干ではありますが音質は良くなった記憶があります。ただそれでアルニコと同等のものができたかと言えばそんなことはなく、結局その開発品も量産にはなりませんでした。

それ以外の要素として、前にも説明したように内磁型と外磁型の差がありますが、私自身はこれも結構大きい要素ではないかと感じています。量産化はボツとなりましたが、T11を開発している時にネオジムの外磁型と内磁型の試作品を検討したことがありました。同じ材質で内磁と外磁を検討するにはネオジムは最適なのです。マグネットは同じネオジムでしたので、正に外磁と内磁の差を確認することが出来たのです。その時の音の印象としては、同じネオジムでも内磁型の方が音が自然で少しではありますがアルニコ的な方向になるなぁというものでした。ちなみに、JBLではプロ用の4インチドライバーはネオジムの外磁型を使い、ホーム用のK2などではあえてネオジムの内磁型を使っているのを見ても、彼らも同じような印象を持っているのではと勝手に思っています。

ネオジムに関して世間ではかなり好印象を持たれているようですが、私の印象では少なくとも音質に関してはアルニコとの差はかなり大きいと感じています。音の自然さ(これが一番重要です)で言えば、アルニコ内磁>ネオジム内磁>ネオジム外磁>フェライト外磁 といった感じでしょうか。

さてそんなアルニコですが、最大の欠点はパワー減磁です。まぁPARCのような通常のホーム用ではそんな簡単にパワー減磁するということはないのですが、私が開発を担当したプロ用モデルでは実際にスタジオで減磁が発生して問題になっており、開発をスタートする時点で現行モデルよりも耐パワー減磁特性を上げることが重要なテーマの一つでもありました。下の図は当時の生データです。もう15年以上も前のものですので、時効ということでお許しを。

これらのデータは、単体のユニット(BOX無し)に150Hz、2kWの入力をほんの3秒間だけ印加し、前後の特性差を測定したものです。38cmウーファーなのに低域が全く出ていないのは、測定を簡単にするためにユニット単体でやっているためなので無視してください。要はその変化率が大事なのです。正直なことを言えば、こんなテストで減磁が簡単に測定できるのかと最初は半信半疑でしたが、やってみると見事にデータに差が出て、本当にあらためて驚きました。理屈では分かっているものの、パワー減磁はほんの数秒で起こります。まぁ実際のスタジオで2kWが入力されるかは微妙ですが、間違ってケーブルにタッチしたりして瞬間ブーンとノイズが発生したりすることもあるので、安心は禁物です。

一番上から、A社のモデル1、A社のモデル2、SONYのSUP-L11となりますが、モデル1に関しては実際にスタジオで減磁が問題となり、その対策品としてモデル2が発売されたという経緯があります。でそのモデル2もやはり改善はされたものの完璧ではないとのことで、何とか内製で完全なものをということになったのです。下記のデータを見れば一目瞭然ですが、その差ははっきりとしていますね。ちなみにL11のマグネットはパーミアンスを目いっぱい上げるために、モデル2のマグネットの2倍のサイズ(同じマグネットを2段積み)にしていますが、検討段階では1.5倍のもので十分OKという結果になりました。では何故2倍まで大きくしたのか? 実はそれは音質差だったのです。もちろん、1.5倍から2倍にしたと言ってもそれはパーミアンスを上げるためにやっていることで磁束的には殆ど誤差の範囲だったのですが、その音の差は一言で言うと非常に安定しているという感じだったのです。まぁパワー減磁に強いということはそれだけ磁束が外部磁界に対して安定しているということで、スピーカーの基本動作原理として磁束は安定して動かないという前提があるので、後から考えれば音がいいのは当然かも知れません。ちょうどアンプの電源部をしっかりしたものにしていくと、音も良くなっていくということと似ているのかも知れません。ただ経済原理で言えば、やはりその設計はちょっとやり過ぎで、当時のソニーだからこそ出来たことではあります。他社のエンジニアから見れば、何と効率の悪い不経済な設計をしているんだろうと思われたかも知れませんね。





以上マグネットに関して今までで印象の強かったものについて書いてみましたが、今回でマグネットは本当に終了ということにしたいと思います。次回は、あと1ヶ月となった真空管オーディオフェアに関連した内容をお話したいと思います。では今日はこの辺で。




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マグネットについて 5

2010年08月17日 23時51分03秒 | オーディオ

こんばんは。だいぶ更新が遅れてしまいましたが、今日はマグネットについての最終回です。ちょっと難解なこのシリーズもこれで完結ですので、ちょっとなじめないと言う方ももう少しだけご辛抱を。

前回まででマグネットの基本的な特性や減磁などについてお話しましたが、今日は各マグネットについて特徴をまとめてみたいと思います。

1)フェライトマグネット
 長所
*一般のスピーカーで使われているマグネットの中では一番価格が安く、最も多く使われているマグネット。
*パワー減磁に強く、高温特性に優れているので、大パワーユニットやウーファーには最適。
*錆に強いので、アウトドアや車等での環境には最適。

 短所
*低温特性が悪く、低温減磁を起こすことがあるので、車用や極端な低温環境での使用には注意が必要。
*磁束をかせぐには大きな外径が必要で、小口径で高磁束が必要な場合などではサイズの問題で使えないこともある。
*特性的に外磁型に向いており、内磁型での使用は不可能。
 そのため、防磁型として使用する場合はキャンセルマグネットやバックカバーを併用することとなる。
*一般的に、音質評価はアルニコに比べ高くない。電気抵抗が高いことが一因とも言われている。

2)ネオジムマグネット
 長所
*現存するマグネットの中で最強の磁気特性を誇る。
*特性的には外磁型での使用が効率的だが、Brも高いため内磁型での使用も可能。
 そのため、トゥイターや小口径ユニットなど、外径規制のあるユニットではこれしか使えない場合もある。
 高性能トゥイターでは定番のマグネットとなっている。

 短所
*高温特性が悪いのが最大の欠点で、高温減磁を起こす。
 そのため、大パワーウーファーや高温環境下での使用は非常に厳しい。
*高価な希土類が素材であることと、日立金属(旧住友特殊金属)の基本特許があるため、価格が高い。
*非常に錆びやすいので、防錆処理が不可欠。これもコスト高の要因。
*非常に強力な着磁パワーが必要なため、大口径マグネットを使うには強力な着磁機が必要。
 そのため他のマグネットのように逆磁界をかけて行う簡単な脱磁が出来ないため、高温脱磁を行う必要がある。

3)アルニコマグネット
 長所
*特性的に内磁型に向いており、音質的にも最も評価が高い。
 私見ではありますが、経験的には同じ内磁型でもネオジムよりも音質的に良いと思います。
*低温、高温ともに温度特性は非常に優れており、精度を要求される測定器等にも使用される。
*内磁型を使うことでフェライトよりも外径を抑えることができ、ウーファー等での背面のエアーフロー処理に有利。
 (これについては、内磁型でのネオジムも同じ)
*機械強度が強く、取り扱いが楽。
*大きな着磁パワーを必要としないので、小型の着磁機でも簡単に着磁が可能。

 短所
*パワー減磁に弱く、パーミアンスを高くする必要がある。
*大型のものは使用例が激減していることもあり、以前にも増して高コストとなっており、
 磁気回路全体としてはネオジム以上に高価なマグネットである。

4)サマリウムコバルト(サマコバ)
 長所
*ネオジムマグネットの次に強力なマグネットで、初期のウォークマン等にも使われた。
*ネオジムと同じ希土類系ですが、ネオジムよりも温度特性が大幅に安定しており、高温特性も良い。
*錆にも強く、この点でもネオジムよりも優れている。
*ネオジム同様にBrも高いため、内磁型での使用も可能。

 短所
*希土類が素材のため、非常に高価である。アルニコよりも更に高価。
*脆くて欠けやすいので、取り扱いには注意が必要。


以上簡単にまとめてみましたが、何とか全体のイメージをつかんでいただけたでしょうか。さて次回は少し気分を変えて、もう少し身近な話題を書いてみようと思います。では今日はこの辺で。

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ちょっと補足

2010年08月05日 00時29分45秒 | オーディオ
前回のエントリーで文章だけでは分かり難かったので、BHカーブを追加して補足説明を加えました。前回ちょっと?という感じだった方は、これを見ていただければ少しは分かりやすいかと思います。
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マグネットについて 4

2010年07月29日 23時55分14秒 | オーディオ
こんばんは。今日はマグネットの続編です。
各マグネットについて個別にお話を進めたいところですが、その前にマグネットの減磁について説明をしておく必要があります。というのがマグネットについて非常に重要なポイントである減磁は、各マグネットによって事情がかなり違うので、先に説明しておいた方が話が分かりやすいのです。

さて減磁とは何かですが、これは名前のとおりマグネットの磁力が減っていく(弱くなっていく)現象です。そもそもマグネットとは永久磁石とも呼ばれるように、一度着磁をして磁力を与えると、その磁力が半永久的に持続するものですが、実はいろいろなタイプの減磁という現象が存在します。

減磁には現象面で大きく分けると下記の3つになります。

1)可逆変化
 状態によって磁束が変化するもので、一度減磁しても状態が元に戻れば磁束も復帰するもの。これは減磁の中では、あまり大きな問題にはなりません。ある範囲内での温度差による変化などがこれになりますが、詳しくは各マグネットの項目で説明することにします。

2)不可逆変化
 これは一度減磁するとそのままでは元には戻らないので厄介ですが、再着磁をすれば元の磁束に復帰します。ただ一般の使用事例では再着磁というのは難しいので、設計的に一番考慮しないといけないのはこれになります。これにあたるのは着磁後の経年変化や高温減磁、低温減磁、パワー減磁などがありますが、経年変化以外の3点は設計的には慎重に検討する必要があります。

3)永久減磁
 これは一度減磁すると、その名のとおり永久に元に戻らない減磁で、例としてはアルニコマグネットの熱処理温度以上の温度(500~600℃)に対してマグネットを構成する組成や組織が物理的または化学的に変化してしまうために起こるものなどです。ただ実際での使用環境ではあまり考えられないので、ユニットの設計上ではあまりこれを考慮することはないと思います。


次に上記の中で一番注意しなければいけない不可逆減磁について、少し個別に話を進めたいと思います。

2-1)経年変化
 マグネットは着磁した状態で室温で放置しておいても時間とともに減磁していきます。その変化は時間の対数に対して直線的に起こることが知られています。経年減磁は、マグネットの種類や磁気回路の状態などによって変化率が変わりますが、たまに見かける「アルニコマグネットは未使用の状態でも10年間に5%以上減磁する」などということはありません。アルニコである減磁は殆どがパワー減磁であって、それと経年変化がごっちゃにされている悪い例ですね。
ちなみに古い資料ではありますがアルニコの経年変化についてちょっと変化率を計算してみましたが、10年で0.17%、20年で0.18%くらいでしたので、実用上大きく問題になることはないと思います。もし実際に数%も自然放置で経年変化しているとしたら、それはその磁気回路の設計がよほどまずくてパーミアンスが異常に低いというような場合ではと思いますが、実際の製品ではまず無いのではと思います。私自身、長年ユニットの設計をやっていますが、この経年変化で何か設計上問題になったということはあまり記憶がありません。

2-2)高温減磁
 これはネオジムマグネットに多く見られる減磁で、ネオジムの最大の欠点と言えます。ネオジムは温度によってBHカーブが大きく変わりますが、温度が高くなるとカーブが立ってきて屈曲点が上に上がってくるので、磁気回路のパーミアンス係数を予想される最高使用温度でも動作点がその温度での屈曲点よりも下にならないようにしておかないとその温度になった時に大きく減磁が起こり、元に戻れなくなります。
う~ん分かり難い説明ですよね。まぁ簡単に言うと、ネオジムは実際に使われる最高の温度の時(ボイスコイルの温度上昇なども考慮して)のBHカーブで設計をしておかないと、減磁するということです。ウーファーでネオジムの使用例が少ないのはこのためです。

分かり難いので、実際のBHカーブを見ながら説明しましょう。



上の図は、ネオジムマグネットのBHカーブの例ですが、温度によってBHカーブが大きく変わっていることが分かります。ここで20℃の時に最大効率となるように動作点A点(P=0.4)で磁気回路を設計したとすると、この磁気回路が100℃まで上がるとその時の動作点はBHカーブが変化することにより、A点→B点に移動します。この時のB点は、屈曲点よりもかなり下になっているので、温度が20℃になっても磁束は元に戻れなくなり、減磁が起こります。この例で言えば、例えば100℃まで動作保証をしようとすると、動作点は100℃での屈曲点よりも上にもっていかないとだめなので、動作点はC点(P=2.5)以上に設定する必要があります。

2-3)低温減磁
 ネオジムとは逆にフェライトマグネットは温度が下がるとBHカーブが立ってきます。そのため、フェライトでは低温になると減磁が起こることがあります。ただ低温といっても-40℃以下というようなレベルなので、カーオーディオ用など特殊な用途を除けばよほどパーミアンスが低くなければ、低温減磁の発生はあまりないと思います。実際のユニット設計でも、ホーム用ではあまり低温減磁については心配しなくてもよいと思います。ちなみにスピーカーは動作するとボイスコイルの温度上昇で自然に温度が上がるので、その点でも低温減磁は起き難いと言えます。

こちらも実際のBHカーブで説明しましょう。



フェライトの場合はネオジムと逆で、低温の方がカーブが立ってきます。そのため、例えば20℃の最大効率を狙って動作点をA点(P=0.3)で設計すると、この磁気回路が-100℃まで温度が下がると動作点はBHカーブの変化に伴いA点→B点に移動するので、やはり屈曲点より大幅に下になるので減磁が起こります。この場合-100℃まで保証するのであれば、動作点はC点(P=3.5)くらいまで上げておく必要があります。

2-4)パワー減磁
 実際のユニット(特に古いモデル)で発生している減磁で一番多いのはこれでしょう。これはボイスコイルに大入力が入った時に発生する逆磁界が磁気回路に影響し、動作点を下に移動させることにより発生する減磁で、もともとBHカーブが立っているアルニコマグネットに一番多く見られます。アルニコは温度特性は非常に安定しているのですが、このパワー減磁の弱さが一番の弱点と言えます。これを防ぐためには、パーミアンスを余裕をもって高くしておくのがベストですが、それは言い換えれば効率を落として大きな(高さのある)マグネットを使うということで、コスト的には非常に不利なので、昔の効率最優先のユニットでは結構厳しいものが散見されます。

以上駆け足で説明しましたが、ちょっと今回の説明は分かり難かったですかねぇ。本当は各BHカーブの実例を見ながら説明すれば少しは分かりやすいのですが、なかなか転載OKのデータが見つからず今回は文章だけの説明となってしまいました。次回は各マグネットの説明をして、一応このシリーズは完結させたいと思いますので、もう少しだけ我慢してくださいね。では今日はこの辺で。

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5cmウッドコーン用スピーカーキット発売のお知らせ

2010年07月20日 23時04分30秒 | オーディオ

こんばんは。今日は、5cmウッドコーン用スピーカーキット(DCK-F071W-C)発売のお知らせです。このキットは、5cmウッドコーン(DCU-F071W)発売時に限定で2ロットほど発売したものですが、前回2ロットともに発売前にメーカー完売となり、その後もユーザーの皆様から追加発売についての問い合わせをいただいたこともあり、PARC Audioのキットモデルとしては初の通常在庫商品としてレギュラー商品化をすることになりました。ご存知のように今までのキットモデルは全て受注生産対応のため、お客様からご注文をいただいてから1個ずつ手作りで生産していましたので、長いものになると1ヶ月近くお待たせすることもありましたが、今回は中国で少量ではありますがまとめて生産し、日本で在庫を持つようにしましたので、在庫がある間は数日でのお届けが可能となりました。キットと言っても箱はしっかりしたウレタン塗装も付いて完成しているので、あとは吸音材、内部配線、端子、ユニットを付けるだけの簡単なものです。手作りスピーカーはできるか不安といった方も是非一度挑戦してみていただければと思います。たぶんその後には楽しいオーディオライフが待っているかと・・・。

このキットは前回限定の時にも書いたかも知れませんが、国内で最初に作った手作りのデモ機よりも音が良く、自分で言うのも何ですがかなりの完成度に出来ていると思いますので、このサイズでは他社比でも十分存在価値があると感じています。今までは数に余裕が無かったため店頭でこのキットの音出しはあまりやっていませんでしたが、近いうちに店頭でもキットの実機でのデモが出来るようにしたいと考えていますので、ご興味がある方は是非一度お聴きいただければと思います。地方の方や、店頭まで行く時間がないといった方には、貸出しデモ機も用意できましたので、そちらをご利用いただければと思います。ちなみに肝心の5cmウッドコーンの方ですが、販売店様のお話ではその後も安定して売れており、「このクラスの定番になりましたね」との嬉しいお言葉もいただいており、今回のキットと共に5cmクラスでの強力な定番モデルとなれるよう願っております。

それと前回ご報告しました真空管オーディオ・フェアの件でうれしい続報です。今回のイベントでは通常の出展ブースとは別にセミナールームというのがありまして、ここでは各社が1時間単位で自由なテーマでデモやセミナーなどをやるのですが、PARCもここに出展することになりました。ただ皆さんご存知のようにうちは代表一人の超零細会社で2つのブースを掛け持ちするのは厳しいので、このセミナールームでのデモは別の会社と共同開催することにしました。その会社とはテイクティ。代表のTさんはソニー時代の先輩で、起業家としても私の大先輩になります。ここの会社のメインモデルには独自方式のスーパーツィーターがありますが、これをPARCのいろいろなモデルと一緒に再生を行い、ウルトラハイの領域が加わることによる音質改善効果についてデモするという内容です。たぶん、こちらのブースの方はTさんにまかせっきりになると思いますが、お時間のある方は是非参加してみてください。せっかくのチャンスなのでこのイベントでは出来るだけ多くの曲をかけるようにしたいと思っていますので、お好きなCDをお持ちになられたり、鳴らすスピーカーをリクエストしたり、どうぞ自由にしていただければと思います。何かご質問がある場合は、あとでPARCのブースで私に声をかけていただければと思います。ウルトラハイの効果はもちろんですが、PARCのいろいろなモデル(何を持っていくは検討中)の比較試聴も可能ですので、これはこれでおもしろいと思いますよ。またこのブースは何と言っても1時間もあるので、ゆっくりと音楽が楽しめるのではと思います。(4Fのブースは毎回15分だけですので) 当日の状況が見えないのでお約束は出来ませんが、私も余裕があれば少しは顔を出したいと思っています。セミナールームのスケジュールは下記になります。
*10/10(日) 12:30~13:30
*10/11(月) 14:00~15:00
場所:4F408号室

マグネットの続編をお待ちかねの皆様には申し訳ありませんが、今日はこの辺で。次回は続編頑張ってやりますね。



コメント (14)
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