大坪文雄社長と津賀一宏次期社長は28日、大阪市内のホテルで記者会見を行った。主な一問一答は次の通り。
――この時期に社長交代を決めた理由は。引責辞任ではないのか。
<大坪社長>
今年1月から新しい事業体制がスタートし、2018年に『環境革新企業』となるための基盤ができた。新トップで結束を進め新たな歩みを始めようと決めた。
今期に巨額の赤字となることは非常に申し訳なく思うが、将来の成長の礎を築くのも経営者の重要な責任。そういう意味では責任は果たせたと思う。
――今の経営状況をどう捉える。
<津賀次期社長>
韓国サムスン電子やトヨタ自動車など成長を続けている企業ほど現状に対する危機感は強いと思うが、当社はそれらの企業以上の危機感を持って臨む。
三洋電機、パナソニック電工との統合で、社内には大きなエネルギーが蓄積している。出口をうまく設定し、衆知を集めて気持ちを一つにする経営をしたい。
――津賀氏を後任に選んだ理由、交代を告げたのはいつか。
<大坪社長>
2月上旬に声をかけた。津賀氏は課題に直面したとき、その奥にある本質を見抜くセンスがある。さらに目も心も常に外を向いている。
社内より社外、海外にも目を向ける姿勢がこれからのトップにふさわしい。
――日本の製造業が置かれた環境をどう見る。
<大坪社長>
電機業界のみならず厳しい時代だが、技術、品質、信頼性は疑ってはならない要素。
韓国や中国と単品で勝負するのでなく、まるごと事業のようにあらゆるリソースを使って新たな競争の土俵を作りたい。
<津賀次期社長>
顧客が求めるものと、自社が提供できるものの擦り合わせができる企業は生き残れる。それができないと技術力が空回りしてしまう。
パナソニックでも高収益事業と低収益事業の差は、顧客に対して新たな価値を提供する活動ができるかどうかだ。
【記事引用】 「日本経済新聞/2012年2月29日(水)/9面」