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京都議定書、目標達成危うく 温暖ガス6.6%増

2012-07-21 | 環境関連


 2011-12年度の温暖化ガスの排出量が平均1億4400万tとなり、京都議定書の基準年である1990年度に比べ6.6%増えることが環境省の試算でわかった。

 原子力発電所事故を受け、代替する火力発電を増やしたため、二酸化炭素の排出量が急増した。特に一時的にすべての原発が停止した12年度の排出量は90年度以降で最も多くなる。

 議定書の目標を達成できるか危うくなってきた。


貯金わずか200万t

 日本は08-12年度の糯暖化ガスの平均排出量について、90年度比6%減らすことを国際社会に約束している。

 家庭や産業部門から出るガス排出量を年平均で11.85億tに抑えれば、森林で吸収する分や、海外から取得する排出枠の分を加えなくても目標を達成できる。

 環境省によると、11年度の排出量は13億300万tで前年度比3.6%増加。12年度は13億8400万tで6.2%増える見通し。

 これにより、08-12年度の排出量は年平均12億8700万tで、90年度と比べ2.1%増えてしまう。

 08-12年度の5年間の合計排出量は64億35、0万tで、「90年度比6%減」を達成するために必要な排出量(59億2500万t)より5億1000万t多い。

 6%減という数字は、「家庭や産業部門などの自助努力で減らす国内削減分」「森林で吸収する分」「海外からの排出枠購入分」の3分野の合計値。

 自助努力だけで達成できない5億1000万tは、森林吸収と排出枠の取得で賄う必要がある。

 森林による吸収は年間約4800万t(5年間で2億4000万t)。官民合わせた排出枠の取得量は08年度以降で約2億7200万t。

 2分野の合計で5億1200万tにとどまり、議定書の目標値を上回る「貯金」はわずか200万tしかない計算だ。


国際的な論議も

 09、10年度の排出量は景気低迷の影響で90年度より減った。

 森林吸収などを加えると6%削減は余裕を持って達成できる見通しだったが、目標が達成できるか微妙になりつつある。

 原子力は温暖化ガス排出量が比較的少ないエネルギー。しかし、東京電力福島第1原発の事故をきっかけに今年5月に全国の原発が停止。

 関西電力大飯原発は再稼働したものの、それ以外の原発の再稼働のメドはたっていない。

 代わりに液化天然ガス(LNG)などを原料とする火力発電に大きく依存する状況が続けば、環境省の試算値よりも温暖化ガス排出が増え、京都の目標を達成できなくなる可能性がある。

 京都議定書には削減義務を達成できなかった国に、排出超過分の1.3倍が次の削減期間の削減義務量に上積みされる罰則がある。

 日本は13年度以降の議定書の第2約東期間には参加しないため、目標が宋達でも事実上の罰則の効果はない。

 ただ、欧州連合(EU)とともに国際社会で温膣化対策を引っ張る日本が末達となれば、国際的な論議を呼ぶ恐れもある。




【記事引用】 「日本経済新聞/2012年7月20日(金)/1面」