パナソニックは2013年初頭から、新開発の光配向技術を採用した中小型液晶パネルの量産を始める。
従来技術に比べて10%以上の高開口率化を実現し明るい表示が可能で、コントラストも20%以上向上する。消費電力は同輝度のパネルに比べ約1割下がる。
タブレット端末向けなどに超広視野角の1インチ当たり300画素(300ppi)超の高精細液晶パネルを量産する。
●量産技術を確立
新技術を姫路工場(兵庫県姫路市)に全面適用し、韓国や台湾、日本の競合メーカーに対する競争力に結びつける。
パナソニックはIPS方式と呼ばれる液晶パネルを製造しており、これに光配向技術を適用する。約10年前から開発を進め、焼き付きなどの課題を解消し、このほど量産技術を確立した。
従来は「ラビング法」と呼ばれ、布を巻いたローラーを配向膜に接触、摩擦することで、配向膜に溝のような構造をつくり、液晶分子を並べていた。
パナソニックは光配向技術を高級テレビ用液晶パネルに一部採用を始めており、他社に先駆けて中小型に適用する。
従来技術に比べて歩留まりが改善し、製造コストも下がるという。
例えば光配向技術による10インチの解像度WQXGA(2560×1600画素)のタブレット端末向け液晶パネルは、300ppiの精細度を持ち、輝度1平方m当たり450カンデラ。
今後、光配向技術を武器に、医療機器用など各種モニター、超薄型ノートパソコンなど非テレビ用パネルを幅広く展開する。
●中小型にシフト
パナソニックはテレビ事業の構造改革の一環で、液晶パネルの姫路工場をテレビ用から中小型にシフト。
12年度は5割強を非テレビ向けにする方針で、第1弾として7月から7インチ級のタブレット端末向けパネルを量産する。
シャープも亀山工場(三重県亀山市)を中小型液晶に転換するなど、コモディティー化(日用品)したテレビ向けパネルを縮小し、新技術を採用した高付加価値パネルの生産を広げる。
【記事引用】 「日刊工業新聞/2012年7月20日(金)/1面」