凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

吉田拓郎「大阪行きは何番ホーム」

2004年12月04日 | 好きな歌・心に残る歌
 フォークが好きだと言うと暗いと言われる。

 まあしかしその話をしだすと僕の場合どんどん横道にそれていって収拾がつかなくなるのでやめる。好きなものはしょうがないということにしていこう。

 僕は吉田拓郎の世代ではない。拓郎世代はもうひとつ世代は上だろう。音楽を聴き始めたころにはもう既に拓郎さんは大スター。「襟裳岬」が9歳のとき。だから伝説の中津川フォークジャンボリーは知らない。
 「旅の宿」や「結婚しようよ」はもうスタンダードだったのでよく耳には入っていたけれども子供にはなんの感慨もなかった。だが中学生ともなり思春期を迎え、ギターを手に持つようになると視線が少しづつ変わっていったと思う。
 あるとき「春だったね」という曲を聴いて、僕は吉田拓郎にのめりこんでいくこととなる。

  僕を忘れた頃に君を忘れられない そんな僕の手紙が着く

 まだ恋という恋も知らず、若者特有の熱狂の中で生きていた僕に、ちょうど沁みいる感性だったのだと思う。淡い想いや切なさや翳りを初めて経験した頃だった。

  ああ僕の時計はあのときのまま…

 その頃の気持ちが僕の原点であり、あれから四半世紀が過ぎてもまだ「僕の時計」はあのときのままなのだ。

 僕は高校、大学と進み、旅行や酒を覚えていく事になる。吉田拓郎はいつもバックグラウンドに在った。
 「落陽」「春を待つ手紙」「7月26日未明」「この歌をある人に」「誕生日」等々、好きな歌は多いのだが、中でも「大阪行きは何番ホーム」は何度も何度も聴き続けている。

  19の頃だったと思うけれど 家を出る事に夢をたくして
  1人きりで暮らしてみようと 希望に満ちていた時があった

 傷つくことも多かったし、裏切られることも多かった。しかし、若い僕は何かを探して生きていた。それは何だったかは未だにわからないし、わからないにも関わらずまだ探している。答えは出ないけれども、それは「僕の時計はあのときのまま」の「あのとき」なのかもしれない。

  外の景色が変わって行く中で
  人とのかかわりがわずらわしくなり
  1人の男であった筈だと 真実を隠したまま旅に出た

  家を捨てたんじゃなかったのか?
  家を捨てたんじゃなかったのか!

  今 東京駅に立ち尽す僕は 長すぎる人生の繰り返しと同じ
  大阪行きの電車は何番ホーム
  繰り返し 繰り返し旅に出ている

 同じように僕もまた繰り返し、繰り返し旅に出ている。
 探し続ける心はまだ変わらぬまま。

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14 コメント

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礼文、で検索して辿りつきました (にゃつ)
2004-12-09 16:17:20
はじめまして。

私も北海道、そして吉田拓郎さんの曲に魅せられています。

旅が好きで、毎年のように出かけていますが、やはりフォークの歌詞に乗せて車窓の風景は流れてゆくように思えます。

最近は小檜山博さんという作家の本も携えて・・・。

これからも、よい旅を!!!
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いらっしゃいませ♪ (凛太郎)
2004-12-09 22:32:42
旅好き、北海道好き、拓郎好きと…同じ方向をむいている方ではないかと拝察します(笑)。来てくださってありがとう。

これからも、旅の話、フォークの話も続けていきたいと思いますのでぜひご愛顧の程を。小檜山博さんをはじめ、更科源蔵さんから八柳鐡郎さんまで、北海道が香る本の話もぜひしたいと思いますねー。



そちらこそ、これからもよい旅を♪
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あっ (にゃつ)
2005-01-05 16:09:04
こんなとこに自分のコメントが。。。

かぐや姫の、「遥かなる想い」思い入れのある唄です。まだギターのコード覚えています。

レコードが見つからなくて、ラジオ局にリクエストし、かけてもらいました。

ローカルなFMラジオ局の、その番組は70年代の曲だけかけてくれる、「ベルボトムよナントカ(うろ覚え)」という題名の10分くらいの番組だったのだけれど。

「ささやかなこの人生」も、何年も前だけど、あるユースのミニコン(ミニミニコンサート)で唄いました。

また、じっくり読みに来たいです。

最近はユースに泊まって落書き帳に長い文章を綴るひとが少なくなったのが残念。

旅の途中で、何年も前に書かれた旅への想いが書かれた文章を読むのが何よりの楽しみで、自分も心のままに書き綴っていたようなところがあります。

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仲間だ、仲間♪ (凛太郎)
2005-01-08 13:36:05
まいどご訪問有難うございます。



吉田拓郎、そしてかぐや姫は、数年前までは旅の定番アイテムのような趣きさえありました。僕は歌を知るのが先で、後から旅が追いかけてきたため、余計にシンクロして想いが溢れます。



僕も中年になって家庭も持ち、ユースも遠い存在になってしまってはいますが、あの頃の思いはいつまでも色褪せない宝石であり、遅ればせながら、このブログもユースの落書き帳みたいな気持ちで書いています。昔は落書き帳によく書いたOBとして(笑)。



また是非読みに訪れてください。旅好きに読んでもらえるのがなによりの喜びです。
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わ~い♪ (にゃつ)
2005-01-12 14:58:35
ふたたび、こんにちは♪

ユースホステル関連のホームページを見つけたことはあるのですが、内輪だけ盛り上がってたり、あんまり読んで感動を覚える内容ではなかったり、だったので、ここでこうして落書きできるのをうれしく、楽しく思っています。



落書き帳、ユースホステルだけじゃなくて喫茶店なんかにも置いてあって、時間を忘れて読みふけってた時期もあります。いろんな旅人がそれぞれの思いを持って旅してたんだなあって思うんです。

では、また!
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落書き帳ってのも…。 (凛太郎)
2005-01-30 23:35:02
落書き帳というものを見なくなって久しい気がします。まあ僕がそういうものが置いてある可能性のある場所に出入りする機会が減ったのが原因なのかもしれませんが。ああいうものを読むのは結構楽しかったもんです。無記名であるからこそ本音が綴られた人々の足跡の数々…。まあ今は時代が違うのかもしれませんけどね(ちょっと寂しいけど)。
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こんにちは (にゃつ)
2005-02-04 18:18:39
落書き帳の、手書きの文章が好きでした。

きのう、ある駅の待合室で発見!

列車を待っている時間に走り書きってのが多いけど

それでもとてもいいものだなあと思いました。

そのうち手書きのノートの良さが見直される時期が

戻ってくるような気がしています。
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落書き帳賛歌 (凛太郎)
2005-02-05 11:15:52
手書きの落書き帳には、ネットの掲示板とは違って、なにか想いが凝縮されているような気がしますね。走り書きにせよ、そのときの喜び、寂しさ、哀しさなんかがにじみ出るようなものが多いです。確かに消えていくには惜しいツールだと本当に思います。
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自由な落書き (にゃつ)
2005-02-08 14:45:14
自由に旅への想いを書けるノートがいつまでもあってくれたらいいなと願わずにいられません。



先日ユース協会から、昭和44年にヨーロッパを7ヶ月にわたって旅した人の本がとどきました。

寄せ書きや手紙も手書きの原文で載っていて、心がこもってるなあと思いました。

いまは掲示板を書くことで、なんだか自分の感性というより他人の眼を意識しすぎてる人もいるなあというのが残念。同意同調がないと不安になるのかなあ。



魅力的な人というのはどこか、人の思惑というよりも自分の心の声を聴いてる人だったような気がすると、ふと思うときがあります。

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心の中の吐露を…。 (凛太郎)
2005-02-08 23:56:54
掲示板というツールは便利ですが、やはり相互意見交換の場とみた方がいいでしょうね。いつでもアクセス出来ますし他人の存在が常にあります。ところが落書き帳、特に旅先では、次に自分がこのノートのページをもう一度めくる機会があるやなしや知れず、そのときの思いを筆先に込めます。ただ自分の思いを誰かに聞いて欲しいだけ。そちらの方に真実の思いは溢れるでしょうねぇ…。



自分の心の声に耳を傾けられる人に早くなりたいものです(笑)。
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