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映画「LOVE LIFE」でパール兄弟の「世界はGO NEXT」を知った

2023-12-19 | 番外編の番外編

最近やたらと「予防線的会話」を挟む補足話法や「もし…でもよければ」などパーミッション話法がぎこちなく振る舞われている現状がある。
今の人は昔の人のようにがさつではなく、気を遣うし優しくなったのだ。
とはいったものの、水面下の要因として「ネット空間の殺伐」が深い影を落としていることは否めないだろう。
巷では過激な言葉や逸脱称賛などがあふれているが、リアルの世界では皆が思うのとは違い、いたって平和であるし人々も穏やかである。
だが現実社会での人々の温厚さは実は立ち回りのための厳しいサバイバル術として生まれた「苦い処方箋」だったのではないか?
ちょっとでも脇が甘いといともたやすくフレーミングに巻き込まれクレームや非難が持ち込まれる。
言葉は額面通りの言語内容だけが含意を持つのではなく、場(語る相手)と時(そこに至る物語・文脈)・身体(心身のコンディション)が合一して起こるかけがえのないものなのだ。
あらゆるものの齟齬は、そこから生まれる。
(のちにエクリチュールとパロールという哲学用語を知る)
日常場面での自然発生的なこうした振る舞いは意識下無意識化に関わらず確実にネット世情が地続きにつながっていて、まるで「言霊虫に包囲されている」という感じだ。

Z世代は、論争や攻撃的な言葉を好まない傾向があります。そのため、まったりとした雰囲気のあるネット空間を求めることがあります。
例えば日本経済新聞によると、Z世代は職場内で上司世代とのコミュニケーションが十分に取れていないとの声が多いそうです。
…とのことですが、これは画期的なプロミネンスであり、極に対して極で対抗するという不毛な議論からいい加減学習して、人々は新たな"トリートメント"(待遇・取り扱い)を模索するフェイズに入ったのかもしれない気がする。
私はまず第一球として極端な論理や逆張りの不快感を押し付けるという場面は忌避され、初手から「極の論理」を提示することは、この先かなり抑制されてくる・言動規範が変わってくる日がもう近いと思うのであります。
問題は世代間の共感性/感受性の違い。
生きているときの異なる2つの世代の隔てはいやが応にもジェネレーション・デバイドを浮かび上がらせます。
若い世代は前のめりに、古い世代は省みながら、それぞれのスタイルは異なるのですが
パロールがエクリチュール化することに対して漠然とした不安があって、取り繕ったり身体性に回帰したりというねじれが生じてしまう。

最近動画配信で「LOVE LIFE」という映画を観て、このへんのディスコミュニケーションをうまく言語化したやり取りがあって
ひどいことを言った後に神妙に謝ったり言葉を補足するにはするのだが、何だか浮いていて心がこもっていないというと語弊はあるかもしれないけれど会話が空々しく感じてしまう描写はなかなかエッジが利いていた。
映画内容にネット社会がなんたら…なんていう要素は一切ないんですけれど地の会話がなんだかとても痛くて、互いの視線も噛み合っていないというのが現代のコミュニケーション不在をよく表しているな、と思う。

コミュニケーションや言語がテーマのエンターテイメント記事については、以下に過去記事で「LOVE LIFE」も採り上げていますので良かったら見てみてください。

「ペルシャン・レッスン」公開近し・言語トピックはまだまだあるぞ[第3弾] - P突堤2


さて、ここでパール兄弟のアルバム「パールトロン」である。ここからは明るいトーンの話題になります。

ぼくの中の貧相な音楽地図によれば、パール兄弟は聞いたことはあるがあまりよく知らない、異色な孤高系な方々なのかな…ということで平沢進やフランク・ザッパと同じ象限のアーティストさんだと思う。
解説を借りると
80年代を代表する無国籍ロックバンド、パール兄弟が1987年のポリドール時代にリリースした2ndフル・アルバム。サエキけんぞうのシニカルでコミカルな歌詞と、窪田晴男が生み出すポップでソリッドなギターサウンドが迫ってくる。(CDジャーナル データベースより) 

ぼくにはあまり縁がない感じかな…と思っていたのですけれど映画「LOVE LIFE」の中で謎のカラオケ場面があって、教会のシスターさん達が主人公のホームパーティーに招かれていてほんわかと熱唱する場面が印象的で
1コーラスぐらいしかそのシーンはなかったんだけど、ノリがピンと来て何回も巻き戻し再生を繰り返して歌詞を追って検索でサーチしたらこのアルバムに出会ったというわけ。
目当てはアルバムの2曲目の「世界はGO NEXT」。

んで、某通販ショップで取り寄せて買っちゃったんですよ。物理CDはなかなか入手困難かな、とも思ったのですが無事入手できました。
とにかく突き抜けた明るさと肯定感で、イントロのギターもカッコいいしクロマティックなオカズ合いの手も独特で好きです。一発でマイ生涯ベスト群の一角に入った曲です。うーん、マンダム。
音楽管理ソフトMusic Center for PCでもすっかりヘビロテで、「LOVE LIFE」っていうプレイリストを作ってしまって脳内にも再生されています。

ついでにちょいちょいDLもして補完曲をラインナップして気分がいいのでプレイリストを以下に挙げておきます。

【プレイリスト:LOVE LIFE】
1.bloom/ネクライトーキー
2.堕天/Creepy Nuts
3.外道讃歌/FantasticYouth
4.私のヒミツは/harmoe
5.AXIOM/降幡 愛
6.HACK/Shuta Sueyoshi
7.聖夜、蛍の光/マイナス人生オーケストラ
8.Here/JUNNA
9.リフレクティア/eufonius
10.世界はゴー・ネクスト/パール兄弟

映画「LOVE LIFE」は今年サブスクで観た中では出色のデキだったので詳しいネタバレは省きますが興味のある方は事前に検索でネタを仕込んでから各配信サイトでご視聴ください。
プレイリストは全部その時のモメンタムでちゃんぽんで選んだものなので何も脈絡はありません。良かったらこちらもyoutube等で検索してみてください。
というわけで冬至、クリスマスときて年末まで無事に過ごしていきましょう。では。

 

 





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