P突堤2

「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

補助線・勇み足

2020-12-05 | 文解析は副詞が鍵
前回の記事、
活用形の拡張:接題目形…補助線 - P突堤2
で考察していた中で出していた例で
耐えかね:(VN+接辞)"導入フレーズ"とするのは早合点でした。ちょっと練り込みが足りなかったかな?
やはり「--かね」の部分はまがいもなく複合動詞であり、それは今回意図したような接辞の類とは分けた方がいいようです。
ちょっと言い訳をさせてもらえば以下の理由があります。

耐え[かね]の部分に関して:
・自立V+付属Vの形に引っ張られ過ぎた。後部要素がなまじ付属Vだっただけに接辞的にとらえてしまっても構わないんだ、という気のゆるみがあった。
・[かね]はテ形・タ形にしたとき音便形にならず[かねて]と素直な形になる。
 他の複合動詞後部要素に着目してみると、「切り(きった)」「込み(こんだ)」「付き(ついた)」「合い(あった)」「上がり(あがった)」「抜き(ぬいた)」
 …等々ある中で、音便形を取らない[かね]のような語に法則外のニュアンスを(勝手に)感じて、何やら特別感の計らいで[--かね]は例外的に接辞的にとらえても構わないという先入観があった。
 これには語彙イメージ的背景がありまして、複合動詞型の連用形転成名詞をざっと列挙してみると
 「焼き増し」「申し開き」「置き去り」「出涸らし」「浮き彫り」「走り書き」などのように容易には音便のテ形タ形に接続しにくい、これは格助詞の「で」と混線しているせいもあってますます[かね]のような音便形にならない後部要素に稀少性を感じてしまう一因かもしれなかったかもしれない。
 しかし実際には音便形を取らないでテ形やときにはサ変兼務可能な複合動詞由来の転成名詞はいくらでもあります(「やり直し」「受け取り」「聞きかじり」等)。

いずれにしましても[--かね]は複合動詞のカテゴリーのものとして組み入れるよう軌道修正し、接辞運用の利便性の誘惑をさっぱり断ち切って、動詞としての振る舞い、文構造解析のさばきに立ち返って連用中止法の構成構図を地道に究明していくほかないかと思います。

…とは言うものの接題目形を適用したい狙いの最たるものとして[--すぎ(過ぎ)]があります。これは活用形の着目は置いておくとして
多すぎ 高まりすぎ 痛がり過ぎ 汗ばみ過ぎ しょぼくれすぎ なさすぎ
などのように形容詞語幹との接続はとりわけ特殊でもありますし、形容詞語幹+「がる」からの接続、さらには
活用接尾辞一体型動詞「汗ばみ-すぎ」の例や打ち消しの助動詞「ない」&形容詞語幹につく付加の「さ」のカタチ「居なさすぎて」からの[すぎ]
等々のように純動詞+[すぎ]のカタチよりももっと拡張されて文法的許容性バリエーションも多彩なものになっています。
もはや[すぎ]は一般動詞とりまわしで済みそうな接題目形でカバーできる範囲を大きく超えてなにぶん文法的な要素も絡んできそうですのでここで結論を急ぐのはやめてもう一層の掘り下げが必要かと思います。

以上、接題目形についてはこれで完成形とはせず、もっと材料を集めて反芻・咀嚼・消化してより一層のパースペクティブを確立したうえで練り直していこうかと思います。
なんだか、一度振り上げたこぶしを納めどころに困ってしどろもどろとカッコ悪い感じではありますが、これはこれでいいのです。
なにしろ今は膨大なインプットの最中でありますから、知識を定着させるためにはこういったアウトプットを適宜織り交ぜながらやっていった方が断然有意義なのです。
インプットばかりしていてはちっとも完成形には届かない、まずは「早くプロトタイプを作る→評価と調整を繰り返す」の黄金律にしたがって前進していくしかありません。
なのでこれに懲りずに予定通り「接頭辞接尾辞」まとめ記事を形にすべく、年末追い込みをかけていこうかと思います。

この頃は記事のペースも亀の歩みとなってしまい心中もどかしい気持ちもあるのではありますが、読者様にはどうぞ温かい目で見守っていただけますようよろしくお願いします。



<おまけ画像:日本語入力の新しい試み>


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