海外旅行ガイド等で必ず使われている「南米のパリ」というキャッチコピーは、どこの都市のことでしょうか…?
筆者は2023年2月に、その都市、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスを訪問してきました。前年12月にサッカーW杯カタール大会でフランスを破り優勝したお祭り騒ぎの余韻がまだ街のいたるところに残っていました(写真①)。
①有名な7月9日通りに建つ「オベリスク」(左側の塔)近くの真っ赤なコカ・コーラのW杯優勝記念の広告。
アルゼンチンは中南米でブラジルに次ぎ2番目、世界でもロシア・カナダ・中国・米国・ブラジル・オーストラリア・インドに次ぐ8番目に面積の大きな国です。総人口は約4,500万人ですが、首都ブエノスアイレスの都市圏は人口約1,500万人の大都市圏です。
街中を観光してみると、建物・建造物や道路、カフェ等が確かに「南米のパリ」に相応しい欧州的な感じを受けます(写真②③④⑤)。加えて、筆者は中南米を代表するブラジルのリオデジャネイロとサンパウロ、メキシコのメキシコシティを同時期に訪問しました。どこも長く植民地時代を経た多民族国家なのですが、ブエノスアイレスには、黒人やアジア系、先住民系(インカ帝国等を築いた人々の子孫)の人々が少なく、むしろ白人や白人系が多い感じを受けました。
②ブエノスアイレスのシンボルである1936年に建てられた高さ67mの「オベリスク」。
③1908年に開場した座席数約2500席の「コロン劇場」。
④5月広場に建つカサ・ロサーダと呼ばれるピンク色の大統領府。
⑤街中のカフェ。この時店先で男女のカップルがタンゴを踊っていた。
◆何故、白人が多いのか?
歴史と文化を調べると、ブエノスアイレスの人種的特徴に納得しました。アルゼンチンは、19世紀半ばに国家の西欧化(白人化)を目指し、移民法を制定し国策として欧州からの移民を積極的に受け入れました。最も多かったのがイタリア人とスペイン人で、ドイツ人、イギリス人、フランス人、ユダヤ人等も少なからず、戦争や貧困等から逃れ、より良い生活を求めて移民してきたのです。もともと16世紀からの植民地時代以来スペイン人と先住民の混血(クリオーリョ)が国民の多数を占めていたのに欧州から大量の移民が加わることで、他の中南米諸国よりはるかに白人化が進んだのです。彼らヨーロッパ移民が築いた街並みが「南米のパリ」と親しまれるようになったのです。
アルゼンチンは、マラドーナやメッシ、バティストゥータ等が活躍したサッカーW杯で3回優勝を誇りますが、ラグビーも盛んで、W杯第1回大会から第9回2019年の日本大会までベスト8に4回進出し、その内第3位1回、第4位1回という日本をはるかに上回る実績の強豪国です(※2023年大会では決勝トーナメント進出1枠をかけて日本とアルゼンチンがガチンコ勝負します)。まさに南北アメリカ大陸で最強であり、欧州のチームと肩を並べるラグビーをみても欧州的で、ブラジルやメキシコとは文化の違いを感じさせます。
音楽ではアルゼンチンタンゴ発祥の地です。食べ物では世界有数の食肉生産国で、アルゼンチンのハンバーガーも美味しかったです。
⑥アルゼンチンと言えば牛肉、とにかく迷ったらハンバーガーを注文すれば問題なし。
以上
※追伸:2023年10月8日のラグビーW杯フランス大会で、アルゼンチンは日本を39対27で破り、決勝トーナメントに進出しました。日本は2大会連続のベスト8は叶いませんでした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます