旅行者の笑い話にある「世界3大がっかり名所」には諸説あり、有名なのがシンガポールの「マーライオン」、コペンハーゲンの「人魚姫像」、ブリュッセルの「小便小僧」だそうです。他にシドニーの「オペラハウス」、ローマのサンタ・マリア・イン・コスメディン教会にある「真実の口」、ドイツのライン川流域にある「ローレライ」・・・という意見もあるそうです。
さて、2023年(令和5年)大晦日にあたり、定年退職して旅行がもっぱらの趣味となった筆者が今年に初めて訪問した海外の観光地を振り返り、その中で感じた「3大がっかり名所」を順不同で記します。イメージ(先入観・前宣伝)と実態に差があったという観点からの、あくまで個人的な見解ですのでお許しください。個々には、旅行の際には絶対外せないとても魅力的な観光スポットです。
◆ブラジル・サンパウロの「日本人街」
最初のブラジル移民が始まった1908年(明治41年)以降の約100年間で約26万人の日本人が移住しました。現在は世界最多の約200万人の日系人人口を誇ります。当初は貧しい農業労働者でしたが、2世・3世以降は勤勉さと教育程度の高さから多くが一般企業や公的機関等に勤めるようになりました。それに伴い日系人はブラジル社会に同化し日本人街を離れ、その空き家・空き地が中国系や韓国系に買い取られていきます。少し前の観光ガイドではサンパウロの「日本人街」として有名ですが、既に現地では「東洋人街」と改称されています。確かに赤い鳥居が通りを飾り、日本食レストランや日本食品・商品を扱う店舗も多いのですが、実態は日本人街というより東洋人街になっています。特筆すべきは、街中に「ブラジル日本移民史料館」があります。博物館と呼ぶほど大きくありませんが、血と汗と涙と喜びでつづられた日系人の歴史と文化が収集され展示されていて感動しました。
①日本人街
◆米国・マイアミの「リトルハバナ」
キューバ革命後の1960年代にキューバからの難民や移民が多く住むようになりました。市内を巡る観光バスツアーでは下車してフリータイムとなり、キューバ料理レストランやキューバ音楽が流れる居酒屋、特産品の葉巻・コーヒー・お土産を売る店が並ぶ通りに沿って観光します。街全体がスペイン語で満ち、別世界です。しかしながら、イメージ的に、例えば横浜中華街のようなそれなりに大きく広いエリアのように思っていたのですが、実態は商業施設の店舗数もそれほど多くありませんでした。温暖な気候に恵まれた商業都市・港湾都市として大きく発展しているマイアミ市の中にあっては、「リトル」が相応しい観光スポットでした。
②リトルハバナ
◆米国・ハワイのワイキキビーチ
地理的にワイキキは8つのビーチで構成されています。しかし、観光ガイドで紹介される中心は、デュークカハナモク像(ハワイ出身の五輪金メダル水泳選手・サーファーの父)のあるクヒオ海岸です。ワイキキは有名ホテルやレストラン、ブランド店、スポーツや文化施設等が充実していて活気があります。しかしながら、外部から白砂を運び込み人工的に作られた砂浜自体は、筆者が今年訪問したメキシコ・ユカタン半島の「カンクン」やフロリダの「マイアミビーチ」、地中海に面したイスラエルの「テルアビブ」等と比較すると小規模です。ビーチとしては、江の島や湘南海岸公園周辺の湘南海岸と大差がないように感じてしまいました。それでも、海外旅行の魅力が凝縮されているコンパクトで常夏のワイキキは、休暇が短い日本人には適したリゾートと思います。
③ワイキキビーチ
以上