goo blog サービス終了のお知らせ 

大阪芸大ジャーナリズム研究会

ツイッター @oua_journal
メール oua_journal@goo.jp

9号館前のケヤキ急きょ伐採 デッサンの学生らは困惑

2025-06-29 18:49:51 | ニュース

 9号館前にあったケヤキが6月21日に突然姿を消しました。9号館の完成した1986年から枝を伸ばした、いわばシンボルツリーでしたが、木の根元が腐っていて急きょ伐採されたというのです。デッサンや写真撮影の対象にしていた学生からは困惑の声が聞かれますが、庶務課は「申しわけなかったが、安全第一の苦渋の判断だった」と話しています。<伊藤望、木下由翔>


(画像:木が伐採された9号館前)

 9号館前にあったケヤキの木が伐採されました。大学内の植栽の管理を手がける田中造園によると、全学休講だった6月21日の塚本英世記念日、朝8時ごろから夕方17時ごろまでに伐採作業が行われたということです。

 庶務課によると、このケヤキは、9号館の完成した1986年からあり、樹齢は40年を超えていました。
 高さ20m近くと枝ぶりもよく、スタイリッシュな9号館とのコントラストも魅力的でしたが、毎年オープンキャンパスなどの度に、「周辺の路面がデコボコ」「来校者が転ぶ危険があり修繕工事を行いたい」という意見が、学内から出ていたということです。

 6月10日(火)に樹木医に診断してもらったところ、木の根元が「根株腐朽菌」という菌に感染していて、すぐに倒れる危険があったため、2週間ほどの短期間で急きょ伐採が決まりました。

 現場で診断した樹木医の笹部雄作さんは、「診察をした際は根元に棒を突き刺すと中までズブズブと入って行った。根株腐朽菌に感染したケヤキの特徴として、風が吹いていない時に突然根元からパタリと倒れることがある。安全面を考慮して、すぐに伐採する必要があると(大学側に)伝えた」と話しました。

 学内の他の木については伐採がすぐに必要と判断されたものはないということですが、「長年の経験から、他の木も点検が必要だと感じた木があった」と話しています。


(画像:伐採された後に残った切り株)

「スッキリして清々しい」「デッサンの途中だったのに」学生たちの声

  学生たちや大学関係者の間からは、突然の伐採にさまざまな声が聞かれました。

 「スッキリしてよかった。歩く時に暗いなと感じることがあったので、ガラリと変わって清々しい気持ちになる」(放送学科1年)と、賛成の声がある一方で、デザイン学科1年の学生からは、「デッサンの途中で木が切られたので困っています。(伐採予告の)通知は事前になかったので、自分で木があった時の景色を想像しながら描かないといけないので大変です」と困惑の表情。写真学科1年の学生は「1年を通して木の季節の変化の写真を撮る色彩の課題ができなくなってピンチです」といった声も上がっています。

 庶務課は「安全第一のため、すぐに伐採する必要があり、学生へ事前に通知することができなかった。申し訳なかったが、大学側としても苦渋の判断でした」と学生に理解を求めています。

 6月29日には残った切り株を掘り出す作業が、重機を現場に入れて行われ、業者がドリルで幹を砕き、ショベルカーで掘り出しました。
 伐採にも携わったという作業員の男性は、「根元を掘り出す作業も時間がかかり大変」と話しました。また、取れる範囲まで根元は全て掘り出し、後日同じ場所には新たな木を植えると話していました。

 


(画像:根元を掘り出す作業が行われた9号館前)

 倒木による被害が各地で報告されています。
 2024年には、東京・日野市でイチョウの木の枝が落下し、下敷きになった男性が死亡。広島では、公園の倒木があいついで問題になっています。

 また、6月13日、台湾の大学で学内にあった樹齢60年のガジュマルの木が倒れ、下校途中の大学院生が下敷きとなり、1人が死亡、3人がけがをしています。


芸大とともに40年、OB、OGが思い出語る

  6月25日、特別講義のため訪れた放送学科OGは、「よく木の下を待ち合わせや涼むのに使っていた。久しぶりに来て変わっていたので驚いた」と話していました。

 9号館が完成した1986年に入学した卒業生で、写真学科の林直客員教授は「当時から学内でのびのびと育つ樹木が好きだったこともあり、眺めたり、写真を撮ったり、癒されたりしてきたことを思い出します」と振り返りました。


(画像:9号館前にあったケヤキ 2020年5月11日撮影)

 了



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。