4月から開幕した大阪・関西万博。国内企業から世界各国まで、夢洲には数多くのパビリオンが並んでいます。その中でも、いくつかのパビリオンには、大阪芸大の学生のアイデアが反映されています。<狭間翼、伊藤望、曽我亮翔、北垣内隆一、吉岡心、原田大也、神農雄>
●「人間洗濯機」をPR 放送学科生
「REBONE」をテーマに、未来に向けて実現を目指す健康維持や、都市生活の新技術を発信する「大阪ヘルスケアパビリオン」。ここでは、株式会社サイエンスが開発した浴槽「ミライ人間洗濯機」が展示されています。この企画のPRに、放送学科生たちが参加しました。
先端メディアコミュニケーションコースの授業「クリエイティブ実習I」。元大手広告代理店勤務の教授から、PRの技術を学ぶ授業です。この授業では、2025年日本国際博覧会協会が実施する「共創チャレンジ」に参加しました。
2023年度からの2年間は、サイエンスとの産学連携で、大阪万博が開催された1970年当時の情報収集や今回出展する企業への取材などを行い、万博関連のコンテンツを作成。集大成として「大阪芸大的EXPO2025サイエンス大博覧会」と題したウェブサイトを作成しました。
実習を担当した教授の有澤卓也さんは、「万博記念公園(吹田市)の視察に加え、博覧会マニアの方や、万博を題材にしたテレビドラマのプロデューサーなど、外部の方も招いて授業を行った」と振り返り、「段取りや締め切り管理など、学生たちは本当によく頑張っていた。大阪での万博はおそらく二度とないと思う。学生たちの一生の思い出になってくれたらうれしい」と学生たちを労いました。
(画像:大阪芸大的EXPO2025サイエンス大博覧会の公式H P)
大阪芸大的EXPO2025サイエンス大博覧会のHPはこちら=
https://oua-bcast.studio.site/。
●放送学科長も「入浴体験」
5月19日には、大阪芸大を代表し、放送学科長・榊原廣さんら教授陣。そして、授業で交流を深めた、70年万博で人間洗濯機を展示した、三洋電機株式会社のサンヨー館でコンパニオンを勤めた女性らが、大勢の来館者に囲まれながら「入浴」しました。
人間洗濯機を開発した、サイエンス専務取締役の平江真輝さんは、「浴槽に入り、あとは機械に任せることにより、全身の洗浄に加え、その人の精神状態がわかる。入浴時の介護にも革命を起こせるのではないかと思う」とミライ人間洗濯機が将来担う役割を話しました。
(画像:ミライ人間洗濯機)
10分程のバスタイムでくつろいだ榊原さんは、「入ってみないとわからない感覚だった。ぜひ皆さんも体験してほしい」と、さわやかに応じました。
(画像:人間洗濯機に入浴する榊原さん)
●デザイン学科生が発案「世界のおにぎり」
大阪外食産業協会が運営する「ORA外食パビリオン宴~UTAGE~」では、象印マホービン株式会社が展開する「ONIGIRI WOW!」で、デザイン学科生が発案したおにぎりを味わうことができます。
(画像:「ONIGIRI WOW!」の店舗外観)
象印によるおにぎりを楽しめるブース「ONIGIRI WOW!」。象印最上位モデルの炊飯ジャー「炎舞焚き」で炊き上げたご飯で握られていて、定番の日本のおにぎりのほか、4種類の世界各国のソウルフードを具材に取り入れた、「世界のおにぎり」が月替わりメニューで味わえます。
取材した5月19日には、メープルサーモンキャンディー味のおにぎりが販売されていました。美味しいお米と甘塩っぱい燻製サーモンの相性が抜群でした。昼食どきには、世界の味と日本のお米の意外な組み合わせを味わおうと、来場者の長い列ができていました。
(画像:当日販売されていたメープルサーモンキャンディー味のおにぎり)
「世界のおにぎり」のアイデアを編み出したのは、デザイン学科で行われている「ハイパープロジェクト」という授業です。1年生から3年生が、7コースの枠を超え、作品やプロジェクトを創り出す内容です。
その中のひとつ「わたしぼくデザイン」チームは、世界の食文化を知ってもらうきっかけやコミュニティをデザインするというコンセプトのもと、「世界のおにぎりプロジェクト」を立ち上げました。
メニューの開発やデザインなどを行い、大学内のキッチンカーで販売。オープンキャンパス時の販売では、高校生たちがおにぎりを求めて並びました。
●象印、ニコニコのりとコラボ
そんな芸大生の取り組みに目をつけたのが象印。大阪・関西万博に向け、同社でも同様のプロジェクトが立ち上がろうとしていたこともあり、コラボすることになったのです。
「リサーチした上で試作したおにぎりの中には、水っぽくなったり、味が薄くなったりしたものもあった」というのは、デザインプロデュースコース4年の吉田早希さん。「難しかったけれど、おいしさとコスト面を両立するため、メンバーで何回も話し合った」と完成までのプロセスを明かしました。
同コース3年の島本若葉さんは、「デザイン学科に入り、まさかおにぎりを作ることになるとは思わなかった。今後もワークショップを予定しているので、引き続き世界の味や芸大生の活動を知ってもらえるよう頑張りたい」と意欲を見せています。
デザイン学科教授の清水征行さんは、「この授業の目的は、学生自らがデザインしたものが、いかに社会に届けられるかを実践することなので、万博に参加することだけがエンドではないと考えている。まだ開幕したばかりなので、教員も含めこれからも学びは続いていくと思う」とコメントしました。
(デザイン学科写真提供:世界のおにぎりプロジェクトの様子)
芸大生のアイデアが光る大阪・関西万博は、2025年10月13日(月)まで開催されています。
了
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