夜明けの曳航

銀行総合職一期生、外交官配偶者等を経て大学の法学教員(ニューヨーク州弁護士でもある)に。古都の暮らしをエンジョイ中。

「春の雪」竹内結子の役作り(ネタばれ注意)

2005年06月05日 | 読書
三島由紀夫の「豊饒の海」四部作の第一部「春の雪」が映画化される。

前から、「覇王別姫」の陳凱歌(チェンカイコー)が映画化したい、といっていたので、期待していたが、セカチューの人か…。

三島ファンの友達と話したが、もちろん、松枝清顕役も綾倉聡子役も気に入らない。
しかし、では誰ならいいか、というと、今の若い役者でこういう重厚な原作の人物を演じられるような奥行きのある人っていないよな…と思う。

それよりも、本多繁邦や蓼科の役の方が難しいので、誰がやるか、そちらの方が、気になるな。
蓼科は樹木希林あたりかな。いずれにせよ、この二人は主人公以上に演技がうまくなければ台無しになる。

本多繁邦は、松枝清顕の親友で、次々と生まれ変わっていく主人公を見守る四部作全体を通じての狂言回しのような登場人物。控訴院判事になり、弁護士に転じて大成功するが、自らを「最醜の機構」と呼び、「人生が不如意である」ことを体現するような人物であり、私は、感じ方がこれほど自分と似ている人間はいないと、中学生ではじめてこれを読んだときから自分を投影し、法学部に移って司法試験を目指したのも、「どうせ私は本多、それなら法曹になるべき」というきわめて文学的な動機だったのだ。

本多繁邦は、晩年本郷の屋敷に住む。
法学部に進学しても、法律の勉強になじめず、小説ばかり読んでいた私は、大学の行き帰り、今にも、小路から、絹江の押す車椅子に乗った本多繁邦が現れそうな気がしていた。私にとっては、そちらの方が、大学の講義で聞く根抵当権や訴因変更よりも、よほど現実的な世界だったのだ。(それが法科大学院で教鞭を取るようになったのだから運命とは面白い)

竹内結子をはじめて見たのは、つかこうへい原作のドラマ「ロマンス」で、宮沢りえの妹役で出ていたとき、そのあと朝ドラのヒロインに選ばれたのは知っていたが、ずいぶん売れているようだ。

2001年の『白い影』では、30年前に山本陽子がやった役をやっていた。
田宮二郎の方が圧倒的に良かったが、小橋医師役をやっていた上川隆也とその後しばらく付き合っていたのは非常に気がもめた。(前のドラマでは小橋医師の役は、山本旦がやっていた。直江医師の恩師の役で今回出ていた山本学の弟。間に山本圭がいる)

昔2時間ドラマでは、古谷一行と市毛良枝がやっていたが、市毛は今回竹内の母役というのが時代の流れか。

その後、藤木直人と「あすか」で、堤真一と「ランチの女王」で、内野聖陽と「不機嫌なジーン」で共演し、好きな役者はほとんど公私いずれかで共演されてしまった、ととても悔しかった。

今度、妊娠・結婚という報道がされたが、聡子は妊娠するという役なので、妊娠中に撮影しているというのは、役作りにはいいのかもしれない。

と思っていたら、「あすか」で、菓子職人になるために断髪式をやるというシーンがあり、これも、落飾して門跡寺に入るという聡子の役作りにいい経験になっていたのだなあ、と思った次第。

それにしても、父親で上司役の藤岡弘、1970年代の和菓子職人なのに、あの髪型は変だ。
仮面ライダー1号の本郷猛のときとおんなじだもん。
断髪後は娘の方が短いぢゃないか。短髪にできない事情があるに違いないと、雨の中のシーンとか、乱闘シーンとか、つい食い入るように頭部を見てしまう。
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