ビデオに録ったままでずっと見ていなかったドラマをやっと正月休みにまとめて見た。
やはりまじめな医療ドラマで見応えがあった。
とくにパート2では、患者のエピソードと医師個人の悩みがシンクロしているという特徴が顕著だった。
父に見捨てられたと思う藍沢が、最後に息子を置いて事故現場から逃げた父親に対峙するところは、臭いと思いながらもつい涙した。
彼女と友達と事故で一緒に串刺しになるという状況で、しかも彼女と友達がつきあい始めてしまったことを知り、しかも、その二人を助けるために自分の命を犠牲にしなければならない患者を濱田岳が演じたのは、山下とは『プロポーズ大作戦』以来の共演だったが、ここでは、藍沢より、同期の足を引っ張ることに悩む浅利を持ってきた方が、より自分の立場と重ね合わされて説得力があったのではないかと思う。
ただ、パート1からの整合性がない部分がある。
たぶん、パート1では祖母は母方という設定だったし、リリーフランキーが,母親がぼけているときは来ない(そもそも認知症があんなにころっと治るのも非現実的)で元気になると来るとか、息子に会ってしまうのは必至な状況であえてくるとか、母親に養育費の仕送りもしていなかったのかとか、冴島の彼氏はパート1では自殺を図ったりして弱々しかったし、外科医という設定は2で作ったな、とか。
母親が死んだのが6歳でその日に投函した遺書の消印が86年とあって(それ自体、本来消印は元号だからおかしいのだが)、じゃあ、藍沢は30歳という設定、えーと思った。
ただ、リリーフランキーが「優秀なお母さんを子供を産むことで自分と同じレベルに引きずり下ろしたかった」というのはリアリティがあった。
大学院に行っても大学で職を得られるとは限らず、年喰っていてつぶしがきかないので、ドラマのように塾の講師になる人もたくさんいる。
藍沢の頭の良さは両親が理系の大学院卒でとくに母親が夫から嫉妬されるほど優秀だったことからくるのか、とか、ここだけは脚本家に優秀なブレーンがいたのかな、と。
また、藍沢がエレベーターの中などで、手先の訓練なのか、いつも指を動かしているのはパート1からの特徴だったが、パート2の最後、母の墓前で父と和解するシーンで、父にも同じ癖があるのをみて、「若手の中でも自分は手先が器用で、それはお父さんからの遺伝だと思う」というのは、考え抜かれているなあと感心した。
これは、ストイックな仕事ドラマに徹しているのがいいので、パート3をやったら、どうも藍沢と白石が恋愛モードになりそうなので、やらない方がいいと思う。
彼女や家族のために料理などする男の子(山下智久)が主人公で、彼より料理が下手な彼女(北川景子)は仕事のために彼と別れ別れになり、1年も連絡も取らないなど(山下の『最後のラブ・ソング』の「叶えたい夢のために遠い街へ君が行く」という歌詞が重なる)など、ジェンダー的には感心な設定だった。
ただ、主人公は草食系といっても「男は妻を養わなければならない」という性別役割分業にとらわれているので、「この給料じゃ結婚できない」と消極的になってしまうのが、最初の彼女(相武紗季)と別れる原因になる。
時代を感じたのは、年収315万円(のっけから実業団の幹部に「年俸315万円、いやなら契約更改はなし」と宣告されるシーンが出てくるのだ)とか、お別れのプレゼントがシールを集めてもらえるマグカップとか、とにかくリアルに貧乏くさいこと。
(でも、主人公がたくさんの色のG-Shockをいつも服とコーディネートしているのをおばさんはしっかりチェックしたぞ。スタイリストは主人公の経済事情も考えなきゃ。)
とくに、1988年のW浅野の『抱きしめたい!』では浅野温子演じるスタイリストは家賃200万円のマンションに住んでいた(けど携帯はものすごくでかかった)ので、それから20年以上たって一体社会は進歩しているのかそうでないのか、ということをつくづく考えさせられた。
このドラマでは携帯解約したから連絡手段がなくなるというのも、時代を反映している。
ただ、途中、視聴率が伸び悩んだせいか、必然性もなく海に行くシーンがあったり、やたらロッカールームが出てきた(1997年の『ビーチボーイ』が主人公二人の裸のせいで数字がとれたことのひそみにならったのか)のが不自然な気がした。
それから、プロの選手なのに、公園みたいなところで練習するか、とか、バイオリニストを目指しているヒロインが、クラブのバイトでスカウトされるとか、リアリティの点では突っ込みどころ満載だった。
大森美香は秀作が多いが、いろいろな制約があり難しかったのだろう。
コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 2nd season DVD-BOX | |
山下智久,新垣結衣,戸田恵梨香 | |
フジテレビ |
やはりまじめな医療ドラマで見応えがあった。
とくにパート2では、患者のエピソードと医師個人の悩みがシンクロしているという特徴が顕著だった。
父に見捨てられたと思う藍沢が、最後に息子を置いて事故現場から逃げた父親に対峙するところは、臭いと思いながらもつい涙した。
彼女と友達と事故で一緒に串刺しになるという状況で、しかも彼女と友達がつきあい始めてしまったことを知り、しかも、その二人を助けるために自分の命を犠牲にしなければならない患者を濱田岳が演じたのは、山下とは『プロポーズ大作戦』以来の共演だったが、ここでは、藍沢より、同期の足を引っ張ることに悩む浅利を持ってきた方が、より自分の立場と重ね合わされて説得力があったのではないかと思う。
ただ、パート1からの整合性がない部分がある。
たぶん、パート1では祖母は母方という設定だったし、リリーフランキーが,母親がぼけているときは来ない(そもそも認知症があんなにころっと治るのも非現実的)で元気になると来るとか、息子に会ってしまうのは必至な状況であえてくるとか、母親に養育費の仕送りもしていなかったのかとか、冴島の彼氏はパート1では自殺を図ったりして弱々しかったし、外科医という設定は2で作ったな、とか。
母親が死んだのが6歳でその日に投函した遺書の消印が86年とあって(それ自体、本来消印は元号だからおかしいのだが)、じゃあ、藍沢は30歳という設定、えーと思った。
ただ、リリーフランキーが「優秀なお母さんを子供を産むことで自分と同じレベルに引きずり下ろしたかった」というのはリアリティがあった。
大学院に行っても大学で職を得られるとは限らず、年喰っていてつぶしがきかないので、ドラマのように塾の講師になる人もたくさんいる。
藍沢の頭の良さは両親が理系の大学院卒でとくに母親が夫から嫉妬されるほど優秀だったことからくるのか、とか、ここだけは脚本家に優秀なブレーンがいたのかな、と。
また、藍沢がエレベーターの中などで、手先の訓練なのか、いつも指を動かしているのはパート1からの特徴だったが、パート2の最後、母の墓前で父と和解するシーンで、父にも同じ癖があるのをみて、「若手の中でも自分は手先が器用で、それはお父さんからの遺伝だと思う」というのは、考え抜かれているなあと感心した。
これは、ストイックな仕事ドラマに徹しているのがいいので、パート3をやったら、どうも藍沢と白石が恋愛モードになりそうなので、やらない方がいいと思う。
ブザー・ビート ~崖っぷちのヒーロー~ DVD-BOX | |
山下智久,北川景子,相武紗季,貫地谷しほり,溝端淳平 | |
ポニーキャニオン |
彼女や家族のために料理などする男の子(山下智久)が主人公で、彼より料理が下手な彼女(北川景子)は仕事のために彼と別れ別れになり、1年も連絡も取らないなど(山下の『最後のラブ・ソング』の「叶えたい夢のために遠い街へ君が行く」という歌詞が重なる)など、ジェンダー的には感心な設定だった。
ただ、主人公は草食系といっても「男は妻を養わなければならない」という性別役割分業にとらわれているので、「この給料じゃ結婚できない」と消極的になってしまうのが、最初の彼女(相武紗季)と別れる原因になる。
時代を感じたのは、年収315万円(のっけから実業団の幹部に「年俸315万円、いやなら契約更改はなし」と宣告されるシーンが出てくるのだ)とか、お別れのプレゼントがシールを集めてもらえるマグカップとか、とにかくリアルに貧乏くさいこと。
(でも、主人公がたくさんの色のG-Shockをいつも服とコーディネートしているのをおばさんはしっかりチェックしたぞ。スタイリストは主人公の経済事情も考えなきゃ。)
とくに、1988年のW浅野の『抱きしめたい!』では浅野温子演じるスタイリストは家賃200万円のマンションに住んでいた(けど携帯はものすごくでかかった)ので、それから20年以上たって一体社会は進歩しているのかそうでないのか、ということをつくづく考えさせられた。
このドラマでは携帯解約したから連絡手段がなくなるというのも、時代を反映している。
ただ、途中、視聴率が伸び悩んだせいか、必然性もなく海に行くシーンがあったり、やたらロッカールームが出てきた(1997年の『ビーチボーイ』が主人公二人の裸のせいで数字がとれたことのひそみにならったのか)のが不自然な気がした。
それから、プロの選手なのに、公園みたいなところで練習するか、とか、バイオリニストを目指しているヒロインが、クラブのバイトでスカウトされるとか、リアリティの点では突っ込みどころ満載だった。
大森美香は秀作が多いが、いろいろな制約があり難しかったのだろう。