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福田はふくた?

2005-05-14 16:03:05 | 眇め草紙
福田はふくた?

 福田は「ふくた」か「ふくだ」か?
これに関し、新潟大学の福田アジオ教授は自著:『番と衆 日本社会の東と西』(吉川弘文館)で、非常に興味ある研究結果を述べておられるのでご紹介する。少々長いが抄きながら引用する(p7~p11)。

 私の名字は福田である。福田と漢字で書いた名字は鈴木や田中ほど多くはないが、日本各地に分布しており、珍しいものではない。そして、この名字にはルビなどは必要としない。だれでもが読める漢字である。そこで試みに人に読んでもらうことにする。すると東京であれば、百パーセントの人が間違いなく「ふくだ」と読むものと思われる。ところが、関西でこの名字を名乗っている人々が多く住んでいる所に行って発音を聞くと、もちろん「ふくだ」という人も少なくないが、しばしば「ふくた」と読むのである。実は筆者もその「ふくた」の一人である。私は三重県四日市市の出身であるが、その四日市のある一つのムラには福田という姓が多く、皆「ふくた」と呼んでいる。
 東京では、各種の書類に福田を書き、「ふくた」と振りかなを振っても、その書類が関係者を一巡してくると必ずどこかの段階で「ふくだ」と点を打たれて戻ってくる。私は「た」に濁点を付けるのを忘れた愚か者か慌て者と思われているのであろう。確かに東京で出会う福田さんは皆「ふくだ」である。(略)

 このように、本来清音で発音していた単語や漢字が他の単語や漢字に複合し連続したときに、濁音になる例は日本語では珍しくない。たとえば宿は「しゅく」であるが、これに新がつくと「しんじゅく」(東京での実際の発音は「しんじく」)となる。袋は「ふくろ」であるが、池が前に付くと「いけぶくろ」となる。東京の山手線を一巡して駅名を確認すると、そのことがよく分かる。(略)新橋、品川、五反田,目黒、恵比寿、原宿、新宿、大久保、目白、池袋、巣鴨、駒込、田端と続き、秋葉原、神田となる。(略)濁音化は東京や関東では当たり前のことである。(略)
 社は「しゃ」であるが、神社となれば「じんじゃ」である。(略)ところが、「ふくだ」「ふくた」のように、標準語と同じ音になる関東と、清音で発音することもある関西に分かれることも珍しくない。(略)関西ではしばしば神社を「じんしゃ」と発音する。東京大学社会科学研究所は「けんきゅうじょ」であり、京都大学人文科学研究所は「けんきゅうしょ」である。(略)標準語に基本があって、それに関東地方の言葉が合わせているのではなく、これはもちろん関東地方の発音が結果として標準語にされたに過ぎない。それに対する関西の人間の抵抗は強いものがある。(引用了)

 フクタ先生によれば、民俗学者の柳田国男、折口信夫は、それぞれ「ヤナギタ クニオ」「オリクチ シノブ」だという。何れも、関西の出身であるそうだ。

平成17年1月27日

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