大阪教育条例NO!

2012年、大阪で成立した教育関連条例の具体化と、「君が代」不起立処分に反対する運動の交流ブログ

高校教科書問題で大阪府教委を独禁法違反で公正取引委員会に告発

2013-11-30 22:46:40 | 高校教科書採択
子どもたちに渡すな!あぶない教科書からのメールの転載です。

11月27日、高校教科書採択に係わって、大阪府教委を独占禁止法違反で、公正取引委員会に告発しました。申告人は、全国から146名があつまりました。

以下に申告文の全文を置いていますのでご覧ください。
公取の審査には、数ヶ月はかかるそうで、結果が出るには時間がかかります。

また、場合によっては、追加の申告も行う予定です。
ご協力、ありがとうございました。

https://www.data-box.jp/pdir/3924d0516d8f42b38ea90f1df972e11a

**********************************

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第45条1項にもとづく申告

2013年11月27日


公正取引委員会
    委員長 様
                  申告人 子どもたちに渡すな!あぶない教科書                         の呼びかけに応えた146名



Ⅰ 申告の趣旨

(1)違法行為者

 中原徹大阪府教育委員会教育長及び大阪府教育委員会

(2)中原教育長と大阪府教育委員会は独占禁止法に定める事業者に該当

 独占禁止法第2条1項には、「『事業者』とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう」とある。また、公正取引委員会のホームページには「独占禁止法は、事業者又は事業者団体の行為を規制する法律です。したがって,国や地方自治体が事業活動を行っている場合には、独占禁止法上の事業者として規制対象となります。」とあり、独占禁止法における「事業者」には、政府、自治体、公社、公団なども含まれる。
 高校での教科書採択は、各学校が検定合格した教科書の中から、ぞれぞれの学校の特性や生徒のニーズを考慮して使用教科書を「選定」する行為である。その際、教育委員会は各学校の「選定」に当たっての方針や「観点」「留意事項」を決定し、各学校が「選定」した教科書を「了承」する。つまり、教育委員会は教科書採択において、各出版業者間での公正な競争を確保すると同時に、特定の出版業者を差別的に扱ったり、もしくは優遇したりすることは許されない。特定の教科書を「中傷・誹謗」することも許されない。そうでなければ、公正な教科書採択など望めないからである。
 従って、高校教科書採択に当たり、中原教育長と大阪府教育委員会は事実上の「事業者」に該当し、独占禁止法の規制を受ける。

(3)違法不公正な取引行為

1.中原教育長は、7月9日付けで、8~10社ある日本史教科書の内から実教日本史の記述だけを検討し、国旗国歌に関して「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」とする記述に対して「一面的である」との「見解」を各校に送付したこと。

2.中原教育長は、8月8日の大阪維新の会府議団の教育専門委員会(以下、「勉強会」)で、まだ採択過程にもかかわらず、特定の教科書(実教日本史)を「選定」した学校名を明らかにしたこと。

3.この「勉強会」の場で学校名を知った維新の会議員が、特定の教科書の実名を示して「府教委が止められないなら、皆で大挙してその学校に行こうか」と発言したことに対して、中原教育長は「是非、大いに議論してもらってかまわない」と発言し、学校に圧力をけることを奨励したこと。

4.中原教育長は、5月にいったん今年度の採択方針を教育委員会議で議決しておきながら、上記の「勉強会」で「(採択の)プロセスを見直すと議決をやり直す」と表明し、教育委員会議での議決を経ずに特定の教科書である実教日本史をチェックするための「教科書全冊調査」をおこなったこと。

5.大阪府教委は9月27日付で、府立高校の校長・准校長あてに「教科用図書の補完教材に関する指示事項(通知)」を発した。「通知」は、当該の教科書を使用する生徒全員に、「補完教材」を配布した上で、 教員が「それを使用し、その内容に従って指導を行うこと」を求めるものとなっている。また、全クラスでの授業終了後に「確認報告書」の提出を求めていること。

 上記の「見解」、大阪維新の会府議団の「勉強会」での行為等は、中原徹氏が教育長を務める大阪府教育委員会の行う教科書の採択において、公正・中立が求められているにもかかわらず、自身の有する権限を逸脱する違法な介入であると考えられるが、違法行為とまでは言えないと判断される場合であっても、権限を行使して一部商品の公正取引を阻害したことは明らかである。

(4)求める措置

 よって、独禁法2条9号に基づき、中原教育長と大阪府教委に対して以下の3点の勧告を行う措置をとられたい。
 ①中原教育長に対して「見解」を撤回すること。
 ②中原教育長の大阪維新の会府議団の教育専門委員会での行為の違法性を認    め、再発防止策を講じること。
 ③大阪府教育委員会会議において実教日本史を採択した学校のみに「補完教材」  の使用と使用報告を義務づけたことを撤回すること。


Ⅱ 申告の理由

(1)事実経過

①2012年3月末、実教日本史が文部科学省の検定を合格した。当初実教日本史は、国旗国歌法について「政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし現実はそうなっていない」と記述した。しかし、文部科学省は「国民に強制されていると誤解する恐れがある」と検定意見をつけ、「しかし」以下を「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と修正して合格させたのであった。従って、今回問題視されている記述は、文部科学省の検定意見によって書き加えられたものであった。
 その結果、昨年度は各高校の選定どおりに大阪府立高校5校を実教日本史を採択し、今年度から使用が開始されている。

②5月17日、大阪府教育委員会議で今年度の採択方針が議決されている。その場で、中原教育長は、「どのような教科書を採用し、教科とどのように連携を取るのかというのは、全て学校長に任せる形を作った。教育委員会が行う採択とは、教科書の中身の話ではなく、ルールが守られているかをチェックする最小限の仕事とした。これは、守備範囲の線引きを明確にしたことの一つの表れ。・・・法解釈上、カリキュラムや教科書を最終的に決定し、学校を運営していく権限は学校長にある。」(5月17日教育委員会議議事録より)と、学校選定を尊重する基本姿勢を明らかにした。

③2013年7月9日、大阪府教育委員会は、教育振興室長名で各府立学校長・准校長に対して、「実教日本史」にある国旗国歌に関して「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」との記述を「一面的」とする「見解」をメールで送付した。

④「見解」は中原教育長が専決でおこなっており、教育委員会議にはかけられていない。教育委員へは7月17日になって事後報告している。小河教育委員は、教育委員会議で「メールそのものの指示内容を我々教育委員は全く知らずに後で知らされた。」と発言している。(8月30日教育委員会議議事録より)

⑤この結果、「実教日本史」の「選定」を撤回した高校も現れた。8月8日15:32、中原教育長は教育委員へのメールで、「同教科書を選定していた高校のうち、『見解』を見て同教科書の使用を撤回した学校もあった」と表明した。

⑥採択途中である8月8日午前、中原教育長と教育振興室長、高等学校課長らは、大阪維新の会府議団の要請により、同府議団の「勉強会」に参加した。その場で、同府議団の要請に応じて、「実教日本史」を選定した学校名と「選定理由書」を公開した。これらの文書は、教育委員にさえ見せていないものであった。小河教育委員は、このことについて「学校名と我々が読んでいない選定理由書まで渡している。本来なら我々が討議して検討すべき課題である。こんなことを外に向けて、言われたから資料を出すなんてことはありえないですよ。」「まだあの段階では我々が検討する資料でしょう。まだ我々も読んでない。教育長一人の判断で許されますか。」と中原教育長を厳しく批判した。(8月30日教育委員会議議事録より)

⑦さらに同「勉強会」で、「実教日本史」を選定した学校名を知った維新の会議員が「府教委が止められないなら、皆で大挙してその学校に行こうか」と発言した。それに対して中原教育長は「是非、大いに議論してもらってかまわない」と発言した。(9月30日大阪府議会 小河教育委員の発言)

⑧小河教育委員は、中原教育長がこの「勉強会」の場で、「虚偽の報告に基づく決定であり無効となるためプロセスを見直すと議決をやり直すと維新の会に言ってしまっている。」(8月30日教育委員会議議事録より)ことを明らかにした。
 中原教育長は、「教育委員会事務局が実教教科書をチェックする基準をつくっていなかった」(9月12日 中原教育長が府民との面談で発言)ために、改めて「調査の観点」を設定し「教科書全冊調査」を実施した。
 今年度の教科書採択方針は、5月17日の教育委員会議で議決され、その内容はすでに各学校に伝えられている。採択途中で、教育委員会の再議決もなく、特定の教科書をチェックすることを主要な目的とした「教科書全冊調査」をおこなったのである。

⑨中原教育長は、実教日本史を選定した学校に対して、選定を取り下げるように「一度打診」した。(8月30日教育委員会議議事録より)

⑩大阪府教委は9月27日付で、府立高校の校長・准校長あてに「教科用図書の補完教材に関する指示事項(通知)」を発した。「通知」は、当該の教科書を使用する生徒全員に、「補完教材」を配布した上で、 教員が「それを使用し、その内容に従って指導を行うこと」を求めるものとなっている。また、全クラスでの授業終了後に「確認報告書」の提出を求め、「学年・組」「実施日時」「担当者」を報告させ、12月末に中間集計を行うとしている。そのことは、来年度以降、各学校に実教日本史の「選定」を事実上控えさせる圧力となることは間違いない。

(2)本件行政行為の違法性

①中原教育長と大阪府教委の今回の行為には、独占禁止法2条9号が厳格に適用されるべきである。
 国定教科書制度の廃止は、無用で有害であった国家的統制を廃した上で、公正で自由な選択によって教科書が採択され、それによって、憲法26条・教育基本法の精神に則った、現場での実践にふまえた、また、学問的・教育学的に高い水準の教科書が教育現場で使用されることを目指している。
ところで、教科書の自由競争は、上記趣旨からしてそれ自体は望ましいものであるが、しかしかつて、勢いの赴くところ過当競争として現象したことがあった。
 そこで、御庁はその弊害に鑑み、教科書の採択・・・各学校と教科書出版社の取引・・・について特別に、独占禁止法2条9項6号(当時は7項)による指定(いわゆる「教科書特殊指定」)を行った。この「教科書特殊指定」に明白なように、教科書の選定・採択等に於いては、教育制度の理想からして、完全な自由かつ公正な取引が実現されなければならないのであるから、独占禁止法が厳格に適用され、その趣旨が実現されなければならない。
 この特殊指定は2006年に、各界からの強い反対の声にもかかわらず廃止された。しかし、その際、御庁から「この特殊指定のその趣旨は、一般指定各号になお生きているから、従前同様に規制される」旨の説明がなされている。文部科学省も「他社の教科書の中傷・誹謗や採択に際しての不当な利益供与は、独占禁止法第2条第9項の規定により指定された『不公正な取引方法』(いわゆる一般指定)により、引き続き、禁止されております。」との通知を各都道府県教委に発出しているのである。
 前述の通り、中原教育長と大阪府教委は、独占禁止法が定める「事業者」に該当することから、独占禁止法第2条第9項の規定に厳密に従わなければならない。

②中原教育長と大阪府教委の行為は、以下に述べるとおり、独禁法第2条9項の「不公正な取引方法」に該当する違法なものである。
 同条項第6号は、「次のいずれかに該当する行為であって、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの」を不公正な取引方法として違法とし、排除の対象としている。
 御庁は、公正取引員会告示第15号「不公正な取引方法」(平成21年10月28日 公正取引委員会告示第18号)において15類型を定めて告示している。
 これらのうち、本件に関係があるのは、以下の諸号である。
2(その他の取引拒絶)不当に、ある事業者に対し取引を拒絶し若しくは取引に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限し、又は他の事業者にこれらに該当する行為をさせること。

4(取引条件等の差別取扱い)不当に、ある事業者に対し取引の条件又は実施について有利な又は不利な取扱いをすること。 

14(競争者に対する取引妨害)自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引について、契約の成立の阻止、契約の不履行の誘引その他いかなる方法をもつてするかを問わず、その取引を不当に妨害すること。

)第2号(その他の取引拒絶)について
 第2号は、「不当に、ある事業者に対し取引を拒絶(する)・・・こと」を禁じている。大阪府教委の発出した「見解」は、事実上、実教出版との取引を拒絶するように府立学校長に迫ったものである。「見解」だけ読めば、強い強制力がないようにも読めるが、教育委員会による各学校への「指導」は年々強まっており、現場の校長に取っては強い圧力と受け止められるものであった。東京都教委の実教日本史を「不適切」とした「見解」によって、東京では実教日本史を選定した学校はゼロとなったのであった。神奈川県教委は、公の「見解」を出していないにもかかわらず、「公開の教育委員会議で不採択になる可能性もあり、学校名が公になって混乱を招く」と校長会で口先介入を行った結果、実教日本史はゼロ採択となった。教育委員会の「見解」や口頭での指示が校長に強い強制力を与えている実態をうかがい知ることができる。
 しかも、中原教育長は、実教日本史を選定した学校に対して、選定を取り下げるように「一度打診」している。その結果、実教日本史の選定を取りやめた学校が現れたことが明らかになっている。

)第4号(取引条件等の差別取扱い)について
 第4号は、「不当に、ある事業者に対し取引の条件又は実施について有利な又は不利な取扱いをすること。」を禁じている。中原教育長の以下の行為は実教日本史を「不当に不利な扱いをする」に該当する。  

○中原教育長は、実教日本史の「一部の自治体に公務員に対する強制の動きがある」との記載(それ自体全く正確で正当な記載である)を「一面的」と断じ、実教日本史を選定した学校に対して、選定を取り下げるように「一度打診」した。中原教育長は、「見解」を出すに当たって全ての出版社の記述を検討するのではなく、実教日本史だけを検討の対象にした。

○中原教育長は、採択過程中の8月8日、実教日本史を選定した学校名を大阪維新の会府議団に公表した。「実教日本史」を選定した学校名を知った維新の会議員が「府教委が止められないなら、皆で大挙してその学校に行こうか」と発言したことに対して、中原教育長は「是非、大いに議論してもらってかまわない」と維新の議員の介入を誘発する発言を行った。これは実教日本史を「選定」した学校への脅迫であり、実教日本史の「選定」を取り消すように求めるものである。

○中原教育長は、5月に教育委員会議で議決した教科書採択方針を、採択の途中で変更し、実教教科書をチェックする基準をつくって「教科書全冊調査」を実施した。採択方針は、教育委員会議で議決されているにもかかわらず、採択プロセスの変更を意味する「教科書全冊調査」について、教育委員会で議決されていない。中原教育長は、採択の途中に自ら決定したルールを、自ら変更して実教日本史を「課題のある」教科書としたのである。

○大阪府教委は9月27日付で、府立高校の校長・准校長あてに「教科用図書の補完教材に関する指示事項(通知)」を発し、その使用を義務付けるだけでなく、授業終了後に「確認報告書」の提出を求めている。そのことは、来年度以降、各学校に実教日本史の「選定」を事実上控えさせる圧力となるものである。

)第14号(競争者に対する取引妨害)について
 第14号は、「自己・・・・と国内に於いて競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引について、契約の成立の阻止、契約の不履行の誘引その他いかなる方法をもってするかを問わず、その取引を妨害すること」を禁じている。
これは直接的には、教科書の場合、各出版業者間での競争の公正性の維持を命じたものであって、各業者の取引の相手方である教育委員会を規制したものではない。
しかし以下に述べるとおり、本件の場合、教育委員会は本号の規範を犯したものとなすべきである。前述の「教科書特殊指定」の実質は、その廃止後も一般指定に生きていることは、御庁・文科省の認めているところである(例えば、「18文科初第952号」他)。そこでは、「他の教科書に対する中傷・誹謗」が禁止されている。
大阪府教委の「見解」は、何ら合理的根拠が無い。「見解」が「一面的」とする記述は、文科省の教科書検定によって加筆された部分である。平野文科相(当時)自身も、「権限のある者が職務命令をもって命ずるということを『強制』と表現することは誤りとは言えない」と表明している。この「見解」の決定・公表は、明らかに、大阪府教委自身による実況出版社の本件教科書に対する「中傷・誹謗」に該当するものである。
 したがって、大阪府教委の本件行為は、特定の教科書に対する中傷・誹謗をなすことにより、教科書をめぐる取引関係に不公正なアンバランスを招来したものである。
 このような事態は、通常は同業者間における特定の業者によって行われることが多いので、本号が設けられたのであるが、しかし、本件のように、圧倒的優位にあり取引の独占的地位にある中原教育長及び大阪府教委が行う「中傷・誹謗」の取引社会に及ぼす効果・悪影響の大きさは、特定の同業者によるそれの比では到底ないことは改めて言うまでもない。
したがって、公正な取引秩序の維持という本来の趣旨からすれば、教育委員会は本号の準用を厳格に行うべきである。そもそも、本号は一般指定として、普遍的適用が当初から予定されているものであるという点も、この準用を根拠づけるものである。

(3)結論

 以上、中原教育長と大阪府教委の本件一連の行為は、独占禁止法第2条9項に違反する違法・不公正なものである。従って、厳正な審査の上、本件請求にかかる措置を早急に講じられたく、申告に及ぶものである。
以上

最新の画像もっと見る

コメントを投稿