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UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第十七話part4

2024-10-09 23:54:48 | 日記
「なあ……」
「ん? なに?」
 
 そういって寝ころんだままこっちを見てくる育代。彼女のそこそこいい体があらわになってるスク水姿。だからこそ、その胸が上下するのもわかる。彼女のゆっくりとした呼吸。
 力を使ってる足軽にはわかる。彼女には一切の緊張はない。足軽はそこそこ緊張してるというのに、育代は全然そんなことない。実際二人は年頃の男女だ。
 
 しかも育代と足軽は同年代くらいのちょうどいい年齢だろう。思春期の男女がキラキラと輝く海で二人……いや小頭もいるが……今は並んで二人だ。
 
 普通なら男と女ってだけで意識するものではないだろうか? 一切意識なんてしてなくても、それでも異性と一緒にちょっといい雰囲気になってたら、ドキドキ――くらいはしないか? 
 そんな風に足軽はおもってるわけだ。でも力で見てる限り、育代にはそんな感じは一切ない。顔に出してないだけ……とかじゃなく、本当に一切の脈が足軽にはないみたいな……そんな感じだ。
 
(そんなに魅力ないかな?)
 
 実はちょっと落ち込んでる野々野足軽である。確かに足軽は別にイケメンか? と言われると違うとは思ってる。地味なモブ系顔をしてると自負だってしてる。
 教室に40人の人がいたら、その大半はあいつは目立たない奴だと認識するような……そんな存在だってちゃんとわかってる。
 でも……だ。それは沢山いる……40に埋もれるからだ。埋もれる事は得意なだけだ。寧ろ特技だと胸を張れる足軽だ。けど既に育代はちゃんと足軽を認識してて、異性だってのもわかってるだろう。
 それにこうやって何回も既にあそんでる。二人っきりではないが、育代から乱雑に扱われてるとはおもってない。つまりは好感度的には下の方……ではないと思ってるわけだ。
 
 と、なると……である。となると、普通は好感度が下に振り切れてもない限り、こんないい雰囲気ならちょっとは意識するのが『普通』ではないか? と足軽はおもってる。
 別に事前に『好き』とかいう感情がなくても、思春期の男女が海辺でいい奮起になってたら、それを想起させるには十分な筈だ。なのに、全く育代にはその気配が微塵もない。
 それはただ単に足軽をそう言う相手として微塵も見てないという事なのか……それとももっと別の……なにか理由があるのか……
 
「えっと……その……ほら、最近ちょっと世間がおかしいなって……さ。そう、思わない?」
「どういうことなのそれ? あははは」
 
 足軽の突拍子もないその言葉に意味が分からずに育代はケタケタと笑う。本当はまっすぐに自分の能力をカミングアウトして、それで育代の力の事も聞こうと思ってたわけだけど……足軽は日酔ったのだ。まずはジャブから……とかいう思考に陥った。
 
「いやほら、最近力が……超能力が世間では目覚めたり……してるじゃん?」
「……そう、だね」
 
 ちょっと探るような向けてくる育代。超能力という言葉に関心を示してるのはきっと間違いない。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第十七話part3

2024-10-09 02:48:55 | 日記
 ザザー、ザザー
 
 そんな波の音が聞こえる。はっきりいってスクール水着といっても、脚は丸出しだし、腕だってそうだ。女子はあんまり気にしないけど、脇とかが野々野足軽の視線を吸い寄せる。もちろんだけど幾代の脇には毛の一つもない。
 
「んんー!! ほらほら、足軽も寝転んで! ほらほら」
 
 上半身だけ起こしてそんな風にいってくる幾代。ねじれた体のラインが煽情的に見えてしまう足軽。とりあえずちょっとそっぽを向いて「そ、そこまで言うなら」――と言う感じで同じように砂に背中をつけた。すると足軽の目に広がるのはスカイブルーの空。実際空を飛んでる足軽である。普通の人では絶対に観れないような光景を普段から見てたりする。
 
 けど空からみる水平線と、寝転んでみる視界全ての空はやっぱり違った。まるで吸い込まれそうな空だ――と思った。
 
「どう? 都会の空とは違うでしょ?」
 
 いつの間にか幾代もまた同じように寝転んで空をみてた。
 
「そう……だね」
 
 とりあえずそんな風に言っておく野々野足軽だ。都会の空は狭いとかいうが、空を飛べる足軽はもうそこらへん超越してる。けどこれだけ澄み切った青はやっぱり珍しい。それには感動してる。だから否定はしない。
 
「ごめんね」
「なにが?」
 
 いきなりの謝罪。それが何に対してなのか足軽にはわからなかった。だから普通にそう返した。
 
「怖い思い……させちゃったなって。小頭ちゃん夜とか泣いてない?」
「そんな繊細な奴じゃないから。そこまで心配する必要なんてないって」
 
 確かにあのコケシみたいな靄と出会った夜は寝つきはわるかった。でもそこは足軽である。力で無理やり楽しい夢を見せて寝せた。その間に外に行ったわけだからな。途中で起きられても困るから、かなり楽しい夢を見てたはずだ。実際何を観てたのかは野々野足軽も知らないが、幸福を感じるような夢を見るようにサイコメトリーで気分よくして力を使って睡魔を呼び起こしたのだ。そして結界で外の音を完全に遮断。
 それだけやったのだから、熟睡だった。まあほぼ意図的だが。でもその次の日からは目覚めがよすぎて嫌な事はさっぱり忘れてるようだった。
 
「そっか……まあ確かに……」
「確かに?」
 
 なんで幾代がこれだけの情報で納得できたのか、ちょっと疑問に思った足軽。
 
「いや、ほら小頭ちゃんと今日も元気だったし! でしょ!?」
「それはそうだな」
 
 なるほど、確かに今日の様子的にはもう何かに怯えてる……なんて言えないだろう。めっちゃ満喫してるし。
 
「でもよかった……うん、本当に……」
 
そういう幾代の横顔を盗み見する足軽。そして思う……
 
(今じゃないか?)
 
 とね。だってなんか雰囲気がいいのだ。今なら勢いで行けそうな気が足軽はしてる。