「ふっ!!」
そんな風に息を吐いて、なんとか花の砂獣の足元にたどり着いた奴がその武器をふるった。それだけで花の砂獣の体がスパッと斬れる。でも……その瞬間だった。一気に花の砂獣の花の部分が膨らむ。一気に嫌な予感……いや周囲の者たちに死の予感が走っただろう。
そしてそのまま花の砂獣が爆発した。無数の種が周囲四方に飛び散る。しかもそれだけじゃない。今回飛んできた種はどうやらスペシャル使用らしい。
なにせ……だ。なにせ今回の種は最後の抵抗なのか、より多くの道連れを出すためなのか、ぶつかった時に爆発したのだ。周囲が一気に爆発に包まれた。沢山の断末魔の声。その一帯が黒い煙に包まれた。一体どれだけの被害が出たのか……そんなことを後方の将軍の一人は考える。
でもその時だ。
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! 進めええええええ!!!」」」
なんと勢いは全く落ちてなかった。「なぜ?」そんな風に大将軍の一人は思う。なにせ信じられない。今のを防ぎきる? そんなことは不可能だ。確実に甚大な被害が出てておかしくない。なくした戦力をどう補って戦っていくか……それを考えないといけない……と思ってた。でもその必要はなかった。でも原因は知っておきたい。そう指揮官クラスなら思うのは当然だろう。
なにせ幸運……そんな言葉で治められるものではない。
「簡単ですよ」
もう一人の大将軍の一人がいう。
「我らにはよくわかりませんが、もう一人の聖女の力です」
「あの女か……」
こくり……とうなづく。あの女……もう一人の聖女。けど決して敬称をつけることは許されない存在。それは教会からこちら側に寝返った存在。いや違う。この世界の者たちの方に寝返ったんじゃない。この世界の外側の者たち……勇者側へと寝返った聖女。この出来事はどうやらその聖女『ミレナパウス』の仕業らしい。
その魔法……という事だろう。確かにそれなら納得できる――と大将軍の一人は思った。