ドラゴンライダー3「ブリジンガー」と、テメレア戦記2を続けて読んだ。
どちらも、アン・マキャフリーの「パーンの竜騎士」シリーズと、指輪物語を影響を受けている。
(テメレア戦記は明言している)
続けて読むと、テメレア戦記の独創性が際立ちます。
どちらも、卵から孵ったドラゴンと、1人の人間が強い絆を結ぶという点で、パーンの竜騎士と同じ。
ドラゴンライダーは、世界観は指輪物語で、ストーリーはアーサー王やハリー・ポッターに見られる典型的な貴種流離譚。
つまり、ものすごい血筋の子供が、出生を隠されて苦労して成長した後、元の地位に戻るという形式。
聖剣エクスカリバーの代わりに、選ばれた人のところでしか孵化しない竜(メスドラゴンのサフィラ)の卵が割れて、農民の息子だった主人公エラゴンが伝説の悪の帝王と戦う戦士になる。
3巻では、兄マータグと因縁の戦いを続け、自らの出生の秘密を知り、新たな魔法と剣を入手して、着々のパワーアップ中。
他にない特徴は、エラゴンの従兄ローランが、魔法を身に付けることなく、着々と(エラゴン以上に)パワーアップしている様子がくわしく書かれていること。
ある程度強くなってしまって、あとは悩むだけのエラゴンより、愛する女性のために迷うことなく強くなり、大槌をふるうローランのほうが面白い。
観たこともない映画「コナン・ザ・グレート」を連想してしまう。
一方、テメレア戦記の世界観は、ナポレオン帝政時代のイギリス。
飛行船ではなく竜に20名前後の乗組員が登場し、竜が編隊を組んで戦争している。
魔法は一切なし。
人であるローレンスを主役と考えると、不幸に巻き込まれ型の展開。
海軍で着々と出世して艦長までたどり着いていたのに、竜に選ばれたばっかりに空軍の新人に。
竜のために、大枚をはたいて首飾りを送ってやったり、興味もない本を読書してやったり。
与えられた環境下で、できる限りのベストを尽くすという、愛すべき人。
2巻ではテメレアの生まれ故郷・中国で、政争に巻き込まれている。
一方、テメレア(オス)が主人公とすると、これは明らかに、(人間の)皇位継承にからむ高貴な双子の竜の片割れが海外をさまよっていたわけなので、貴種流離譚。
でも、ローレンスが視点になっているところが、悩ましくて面白い。
ドラゴンライダーは何となく次が読めるんだけど(ローランの強さ以外は)、4部作の最後も読もうかな、という感じ。
テメレア戦記は次が気になって仕方がない。