沖縄のある村では、大砲(キャノン)をご神体に、ノロ(巫女)たるマカトが行政的にも支配していた。
マカトの盟友には、大規模な盗難を行うチヨ、暗殺(?)を行う樹王がいる。
彼ら3人は1つの秘密を共有し、集落の繁栄に身をささげていた。
ところが最近、謎のアメリカ人やデベロッパーの紫織が、村の秘密を暴こうとしていた。
マカト、チヨ、樹王のそれぞれの孫である10歳の雄太、美奈、博史の目を通して、村の秘密をめぐる村の攻防を描く。
常識ある博史の苦悩と、ほどよく抑制された作品エネルギーで、非常に読みやすかった。
抑制を取り払うと「シャングリ・ラ」になるのだろう。
シャングリ・ラとの共通点がたくさんあった。
他の作品に比べるとオバァが思慮深い分だけ、無茶なエネルギーはない。
今回のオバァには使命があるからね。その分、好ましい。
お色気系変態女も出てこないし(今回のお色気系女性は総じて純情)、マカトの指示を受け、隠密行動を取る「男衆」とお色気スパイ活動を取る「寿隊」、も「シャングリ・ラ」のゲリラや美邦の側近のような無茶がない。
オカルトもファンタジーのようなレベルで留まっている。
樹王だけが、ラノベのキャラクターになっている。あの義手の動きだけが・・・
確かに、池上永一らしさ、は出ていないのかもしれない。
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