世界の人口の半分はアジアである。世界最大の市場を持つアジアは、まさに世界経済を牽引している。しかし、そのアジアが2050年までに例外なく高齢社会になり、生産年齢人口の多い人口ボーナスといわれる時期が終わることは明らかになってきた。日本より合計特殊出生率の低い韓国や一人っ子政策をとってきた中国は特に高齢化のスピードが速い。このことは、藻谷浩介氏が日本の社会について指摘するように、人口ボーナスが終わるとともに、消費が落ち、それにつれて生産が落ち、経済力が落ちることを意味する。
今、アジアの中で、社会保障制度が一応存在しているのが、日本を除けば、韓国、台湾、シンガポール、中国の香港と上海である。これらの国は、いち早く西洋の諸制度を採り入れた日本に学びつつ、同時に、アジアの価値である「儒教的発想」も包含する社会保障制度を整備しようとしている。シンガポールは、「西洋的福祉国家を目指さない」とまで言っている。アジアの国々に共通の、長幼序があり、勤勉で子弟の教育に力を入れている家族単位を重視する社会にとって、日本の社会保障制度は一番の参考になると思われている。
しかし、その実、日本の社会保障は、家族単位を離れつつあり、社会介護、一人一人の基礎年金、離婚後の年金分割などが制度化され、世代間の扶養である「賦課方式の年金制度」に批判が集まり、もはや儒教的発想は後退している。今日では、若者は、個人年金を選び、必ずしも家庭を持たない生き方、不安定雇用の人生が当たり前になり、制度は多様性のある個人対応でなければならなくなった。アジアの国々も日本と同じ経過をたどるかもしれないが、一方、おばあちゃんの子育てが一般的なタイの母系社会や、インドや中国のように男系家族しか認めない社会もあり、それぞれの文化独自の社会保障制度もありえよう。
日本の社会保障は、アジアの中では突出しているので、老人医療、介護の人材養成、介護方法論のサービス貿易などで「社会サービスの供給者」としての日本は期待されるはずである。現に、日本の有料老人ホーム産業は、富裕層を対象とし、中国に進出している。
すでに、東アジア共同体の政策は後退しているものの、アジアの自由貿易圏が広がるのは自然であり、次にくるのは、EUのような経済共同体を飛び越えて、高齢社会を共有するアジア社会共同体のようなものかもしれない。さらには、アジアにおける国際結婚が一般化し、出生率にも影響を与えていくかもしれない。目覚ましい経済発展から、やがて成熟を迎えるアジアの社会に超高齢社会先進国の日本が大きく貢献していくように思えてならない。
今、アジアの中で、社会保障制度が一応存在しているのが、日本を除けば、韓国、台湾、シンガポール、中国の香港と上海である。これらの国は、いち早く西洋の諸制度を採り入れた日本に学びつつ、同時に、アジアの価値である「儒教的発想」も包含する社会保障制度を整備しようとしている。シンガポールは、「西洋的福祉国家を目指さない」とまで言っている。アジアの国々に共通の、長幼序があり、勤勉で子弟の教育に力を入れている家族単位を重視する社会にとって、日本の社会保障制度は一番の参考になると思われている。
しかし、その実、日本の社会保障は、家族単位を離れつつあり、社会介護、一人一人の基礎年金、離婚後の年金分割などが制度化され、世代間の扶養である「賦課方式の年金制度」に批判が集まり、もはや儒教的発想は後退している。今日では、若者は、個人年金を選び、必ずしも家庭を持たない生き方、不安定雇用の人生が当たり前になり、制度は多様性のある個人対応でなければならなくなった。アジアの国々も日本と同じ経過をたどるかもしれないが、一方、おばあちゃんの子育てが一般的なタイの母系社会や、インドや中国のように男系家族しか認めない社会もあり、それぞれの文化独自の社会保障制度もありえよう。
日本の社会保障は、アジアの中では突出しているので、老人医療、介護の人材養成、介護方法論のサービス貿易などで「社会サービスの供給者」としての日本は期待されるはずである。現に、日本の有料老人ホーム産業は、富裕層を対象とし、中国に進出している。
すでに、東アジア共同体の政策は後退しているものの、アジアの自由貿易圏が広がるのは自然であり、次にくるのは、EUのような経済共同体を飛び越えて、高齢社会を共有するアジア社会共同体のようなものかもしれない。さらには、アジアにおける国際結婚が一般化し、出生率にも影響を与えていくかもしれない。目覚ましい経済発展から、やがて成熟を迎えるアジアの社会に超高齢社会先進国の日本が大きく貢献していくように思えてならない。