大泉ひろこ特別連載

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リベラチェ アット ハート余禄(4)アパレル業界とゲイ

2018-10-16 09:35:11 | 社会問題

 縁あって、今年2度目、世界的デザイナーであり企業家であるポール・スミスに会った。背が高く、スリムでシャツとパンツが綺麗な姿を表現する72歳の英国紳士。エリザベス女王からナイトの勲章をもらい、サーの称号を持つ。暫しの会話でも、彼の「日常的な優雅さ」がほとばしり出る。70歳代でこんな素敵な男性はちょっと見当たらない。

 その日は、多くのアパレル業界の人々が集まったが、男も女もみなスリムでお洒落で、さっそうとしている。まるで、パリかマンハッタンを歩いているような光景だった。パリは申し合わせたような黒い基調の、速足歩きの女性たち。マンハッタンは、全米に多いはずのデブは見当たらず、生地の良いスーツの細身のビジネスマンたち。そうか、お洒落というのは、自分に自信のある人のやることなのだ。そう思って疑わない。

 ポールスミスの定番で細かい花柄のシャツを私も着て、その着心地の良さ、自分をくるむ「包み紙」への誇りで満たされる。長年の選挙生活で、すっかり忘れていたお洒落の気分が甦ってくるようだ。そして、業界の女性から「この業界はゲイが多い。ポールは例外だけれど」と聞いた。ゲイは美しい人が多く、したがってお洒落なのだ。まさにリベラチェがそうだった。いち早くマエストロの着る黒の燕尾服を脱ぎ捨て、白や金やピンクのスーツにふんだんに宝石を縫い付けた舞台衣装をまとった。その上にミンク、バージンフォックスの毛皮のコートを羽織って出場する。「私を見てください」で始まる彼の音楽ショー。

 男の本性とは、本当は美しくありたいのではないか。孔雀を観れば納得だ。男に強さや金を求めすぎるから、成熟した現代の社会で男は嫌になってしまったのかもしれない。少子化の遠因かもしれない。

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