On The Road

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かえるの王さま または鉄のハインリッヒ その2

2010-02-16 23:03:20 | 小説の舞台
次の日、お姫さまが食事についていると、「お姫さま、戸を開けてください」と、大きな声がした。お姫さまが戸を開けると、そこにはすっかり忘れていたかえるがいた。驚いて、戸を閉めてしまう。
食事の席にもどったお姫さまの様子がおかしいと思った王さは理由を聞いた。そこでお姫さまは「昨日、かえるに金のまりを泉から取って来てくれたら、何でも言うことを聞くと約束したが、そのかえるが外にいて、中に入れてくれというの」と話した。
王さまが言った。「約束したことは守らなくてはならない。さあ、かえるを中に入れなさい」。
お姫さまは王さまに従った。戸を開けると、かえるがお姫さまの後についてきて、「あなたの隣に座らせてください」と言った。お姫さまはいやだったが、王さまはそうするように命じた。かえるは上にあがると、「それでは、あなたの金の皿から、あなたといっしょに食べさせてください」。お姫さまは従わなくてはならなかった。
かえるはお腹いっぱい食べると、「くたびれました。あなたの部屋のベッドでいっしょに休みましょう」。お姫さまはそれを聞いて驚いた。冷たいかえるに触るのだっていやだったお姫さまは泣き出して、どうしてもいやだと言った。すると、王さまは怒って、約束したことは守るように命じた。お姫さまは命令に従わなくてはならなかった。しかし、心の中では腹を立てていた。かえるを自分の部屋まで連れて上がり、ベッドに入った。そして、かえるを隣に寝かせる代わりに、ビチャっと壁に投げ付けた。「これで静かになった。いやらしいかえる!」
かえるは、壁からベッドに落ちると、美しい若い王子になっていた。王子は今や、お姫さまのお気に入りで、お姫さまは約束したとおり、王子を大切にした。そして、ふたりは喜んでいっしょにベッドで横になった。

つづく

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